LPDDR5が広範なスマートフォンにフラッグシップ機能を提供

このストーリーにいいねする
Rating Unavailable
いいねの数

思い描いた通りの完璧な写真撮影やオンラインでのゲームプレイ、快適な4Kビデオのライブ・ストリーミングの可否は画像、動画、ゲーム、そして5Gでの膨大なデータをいかにスマートフォンのプロセッサーに送り込めるかにかかっています。このようなデータの全ビットがメモリを経由するため、スマートフォンの可能性を最大限に引き出すにはマイクロンの高性能LPDDR5が不可欠です。

スマートフォンは現在、消費者にとって最も重要なデバイスと言っても過言ではありません。もはや単なる電話機ではなく、生活のあらゆる場面で欠かせない存在へと一変しています。最近の調査 (英文)によると、スマートフォンの用途で「電話をかける」は11の選択肢のうちで最も頻度が低く、最下位でした。

スマートフォンで増えている用途はコンピュテーショナル・フォトグラフィ、リアルタイムのモバイルゲーム、4K動画のライブ・ストリーミングで、いずれもシームレスなユーザー体験の実現には強力で効率的なメモリが不可欠です。世界中の主要スマートフォン・メーカーは、データ負荷の高いこのようなユースケースの増加を受け、このニーズに応える次世代メモリを求めています。

そして、このニーズに応えるメモリがマイクロンの低電力 (LP) DDR5 DRAMです。フラッグシップ・モデルからミッドレンジのスマートフォンを対象にワンランク上のパフォーマンスを提供します。マイクロンのLPDDR5の勢いは続き、今年だけでもASUS、Motorola、Xiaomiをはじめとする各メーカーから、ゲーム用、あるいはフラッグシップ、ミッドレンジのスマートフォンとして登場しています。LPDDR5を搭載した世界初のスマートフォンとなったXiaomi Mi 10を皮切りとして、マイクロンの2020年マイルストーンはさらに強固になっています。

マイクロン LPDDR5で実現するパフォーマンスと電力効率

マイクロンのLPDDR5は独自の柔軟性を備え、フラッグシップ・デバイスに求められる高速パフォーマンスと電力効率のほか、ミッドレンジのスマートフォンでもシームレスな体験を提供します。優れたユーザー体験の実現は、複雑化するプロセッサーに画像、動画、ゲーム、5G通信の膨大なデータをいかに送り込めるか、そしてオペレーティング・システムがアプリケーションのマルチタスクやアプリケーション間でのスムーズな切り替えをバッファリングできる十分な余地をメモリに残せるか否かにかかっています。

このように最後のビットまで、すべてのデータがメモリを経由することから、スマートフォンの中でメモリは極めて重要な役割を担います。従来、最上級のユーザー体験は上位モデルのスマートフォンだけで得られ、ミッドレンジのスマートフォンには前世代のLPDDR4Xの搭載が一般的でした。しかし、マイクロン LPDDR5の柔軟性により、この障壁が取り払われ、広範なスマートフォンのラインナップで最先端の体験が得られるようになりました。

業界をリードするマイクロン LPDDR5は、最大帯域幅6,400Mb/sというLPDDR4Xとの比較で50%高いパフォーマンスと、電力効率で20%の向上を実現しています。またLPDDR5は、モバイル・プロセッサーに直接組み込まれた人工知能(AI)エンジンへ供給するために必要な速度と最大16GBの容量を備えています。また、5Gのボトルネック解消のため、5Gスマートフォンで4チャネルシステムによるピーク帯域幅51.2GB/sのデータ処理を可能にします。

主要スマートフォン・メーカーが挙げるハードウェア仕様で、メモリの種類と容量は頻繁にトップ3に入ります。一般的に、メモリは処理速度が速いほど品質が良いと捉えられがちですが、コンピュテーショナル・フォトグラフィやリアルタイムのモバイルゲーム、4K動画のライブ・ストリーミングなどのコンピューティング処理においてメモリが重要な役割を果たす点を理解することも重要です。これらのユースケースでは、データを迅速かつ効率的にプロセッサに供給すると同時に、アプリをバッファリングして切り替え時のラグをなくすことが重要です。このような広く利用されるアプリケーションでメモリがどのように機能するかを見てみましょう。

コンピュテーショナル・フォトグラフィ

コンピュテーショナル・フォトグラフィでは、完璧な1枚の写真を撮るために膨大なメモリ容量を必要とし、シャッターを押す前でさえ、カメラは数十枚の画像をすでに撮影を開始し、すべてメモリバッファに保存されます。シャッターを押すと、割り当てられたメモリから、システム・オン・チップ(SoC)に内蔵されたAIエンジンに画像が送られ、そこでメモリバッファからの画像をマージして、完璧な1枚を作成するための処理が行われます。画像プロセッサーで画像の安定化や光補正、フォーカスなどさまざまな技術を駆使して画質が高められている間もメモリは画像を保存しています。

コンピュテーショナル・フォトグラフィのデータフロー

Xiaomi Mi MIX FOLDのようなフラッグシップ・モデルには、広角レンズ、望遠レンズなど複数のカメラが搭載されています。LPDDR5は、複数の異なるイメージセンサーからAIエンジンに画像を高速で送り、リアルタイムで画像処理できるようにする広帯域幅と容量を備えています。完璧な1枚の撮影には、メモリ帯域幅を生かしたカメラ機能の有効化が不可欠です。シャッターを押すたびに、次のようにデータ・パイプラインが開始されます。まずセンサーが未加工の画像をメモリに移動、次に画像信号プロセッサー(ISP)がAIエンジンの画像/情景認識機能によりメモリから受け取った未加工の画像を処理、そして画像の圧縮とエンコードへと続きます。肝心な点は、これらのエンジンへのデータ供給を高速化しているのがLPDDR5メモリである点です。

Xiaomiのフラッグシップ・スマートフォンは、アマチュアショットを最適化し、プロ並みの高画質にレベルアップさせる洗練された撮影技術とAI機能を有しています。これらの豊富なコンピュテーショナル・フォトグラフィ機能を実現できるメモリは、シングルタップから数ミリ秒以内の高負荷処理を可能にするLPDDR5だけです。

4K動画のライブ・ストリーミング

5Gネットワークの拡大とともに、場所を問わず4K動画のライブ・ストリーミングを楽しめるようになりました。また最近の4Kビデオは複数の動画ストリームをデコードするためにLPDDR5が提供できるような帯域幅を必要とします。大容量の動画ファイルを処理し、メモリ内にオペレーティング・システムとバッファリングしたアプリ用のスペースを確保するためには、大容量メモリも必要です。さらに、5Gデータのストリーミングには、ユーザー体験にタイムラグが生じないように超低レイテンシーも求められます。

スマートフォンでのストリーミングはコンピュテーショナル・フォトグラフィと同様、センサー、エンコーダー、AIエンジンのすべてで広帯域幅のパイプラインを必要とします。ビデオデータの最後のビットまで全ビットがメモリを通過するため、すべての段階で広帯域幅のパイプラインが求められます。

4K 動画ライブ・ストリーミングのデータフロー

フラッグシップのスマートフォンの中には、高リフレッシュ・レートのディスプレイ上でフル解像度のライブフィードをリアルタイムで視聴しながら、4K/8Kストリーミングを可能にする製品もあります。音楽フェス、ビデオ・ポッドキャスト、スポーツイベントのライブストリーム配信には、最大のメモリ帯域幅が必要です。加えて解像度、機能、ソフトウェアの複雑さも増す一方で、さらに多くのメモリ帯域幅と容量が求められています。マイクロン LPDDR5は、このような最新の5G体験を支えるために前世代よりもパフォーマンスを50%、効率性を20%向上させました。

ゲーム

最近はモバイルゲーマーがスマートフォンでグラフィックス負荷の高いゲームをプレイしています。LPDDR5はこのようなゲームでバッテリー寿命を長持ちさせる電力効率と、高リフレッシュ・レートのディスプレイ、カスタム・コントロール、ハイレゾのオーディオ、マルチプレイヤー・ゲームに必要な広帯域幅との間で適切なバランスを取ります。

グラフィックス負荷の高いゲームを起動すると、すぐに使用できるようデータはストレージ、またはネットワークからダウンロードされてメモリに読み込まれます。次にSoCがゲームデータを処理して、豊かなビジュアルとオーディオ体験を生み出します。プレイヤーの入力はSoCにより処理され、メモリバッファに格納されます。リアルタイムのゲームプレイでは、5Gネットワークを介して情報が送受信され、メモリバッファは継続的に更新されます。

モバイルゲームのデータフロー

複雑なモバイルゲームでは、アクティブに変化するゲームレベルを読み込むために、大容量のメモリが欠かせません。そして、ゲームデータはスマートフォンのディスプレイにさえ到達しないうちに複数のGPUパイプライン・ステージ(頂点シェーディング、ラスタデータへの変換、フラグメント・シェーディングなど)を通過しますが、これらすべてをLPDDR5 メモリにより高速化されます。

ASUS ROG Phone 5に代表されるパフォーマンス重視のゲーマー向けスマートフォンは、可能な限り広い帯域幅を使用し、極めて精細な画面解像度と高いフレームレートを実現します。このクラスのデバイスは、144Hzのリフレッシュ・レートと300Hzのタッチ・サンプル・レートのディスプレイを特長としていますが、これらの機能で最適なビジュアルとオーディオ体験を実現するには、メモリ内のゲームデータを処理できる十分な帯域幅が求められます。また5G ネットワークを介したマルチプレイヤー・ゲームでリアルタイムのアクションを実行させるには超低レイテンシーが必要です。そして、このような高度なワークロードには、より高いメモリ・パフォーマンスとより低い電力消費が必要となります。LPDDR5は最大 6.40Gb/sのピーク速度でデータを処理し、5Gのボトルネックを解消し、この両方を満たします。

「最近のモバイルゲーマーは、テクノロジーの鑑識眼が鋭く、超低レイテンシー、シームレスなレンダリング、究極の応答性を求めています。ASUSのROG Phone 5は、マイクロン LPPDR5が実現するトップレベルのパフォーマンスを生かし、帯域幅重視のリアルタイム・マルチプレイヤー・ゲームでも超高速で映画のようなグラフィックスを可能にし、モバイルゲーマーに競争優位性を提供できます」と、ASUSのスマートフォン・ビジネス部門でジェネラル・マネージャーを務めるブライアン・チャン (Bryan Chang) 氏は述べています。

フラッグシップの機能を手ごろな価格のスマートフォンに

LPDDR5のパフォーマンスとコストのバランスにより、Motorolaのmoto g100など、手頃な価格のスマートフォンでもワンランク上の写真、ゲームプレイ、ビデオ体験が実現しています。moto g100には、ソーシャルメディアに投稿する写真の撮影や、4K(最大 60 フレーム/ 秒)または 6K(最大 30 フレーム/秒)の動画記録に最適なフロントカメラとリアカメラが搭載されています。ディスプレイのリフレッシュ・レートは、モバイルゲームのグラフィックスをスムーズに表示できる90Hzです。LPDDR5のパフォーマンスをコスト効率に優れた単一のパッケージで提供することにより、従来、フラッグシップ・スマートフォンに限られていたこれらの機能が急速に普及します。

「LPDDR5のフラッグシップ・レベルのパフォーマンスに対応するMotorola moto g100により、さらに多くの人がクラス最高のゲームプレイ、マルチカメラ、5G接続などの最新テクノロジーを手できるようになります。マイクロン LPDDR5の優れた電力効率により、データ負荷の高いアプリケーションでマルチタスクを実行した場合でもバッテリー持続時間が長く、仕事、日常生活、遊びのすべてで利用できる万能性と耐久性がもたらされます」と、Motorolaの製品マーケティング担当責任者、トーマス・ミルナー(Thomas Milner)氏は述べています。

電力効率とパフォーマンスのバランス

業界をリードするマイクロン LPDDR5により、モバイル製品のポートフォリオが広がります。パフォーマンスと電力効率のバランスの妙により、さまざまなスマートフォンのワークロードとシステム要件に適合します。

今度スマートフォンの電源を入れる時、メモリの重要な役割も思い出してみてください。

Carla Christensen

カーラ・クリステンセン

カーラ・クリステンセン(Carla Christensen)は、半導体製造用DRAM 製品エンジニアの経験を生かし、マイクロンの製品マーケティング部門のシニア・マネージャーとして職責に努めています。
+
+