30年にわたり自動車業界の変革を推進してきたマイクロンの歩み

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マイクロンは自動車業界への参入から 30 周年をを迎えましたが、業界との緊密なパートナーシップ、コラボレーション、信頼関係無くして、業界、マイクロン双方の成功の歩みは実現されなかったと認識しています。そして30周年の記念に際し、これまでともに歩んできてくだったすべての関係者の皆様に深く感謝を申し上げます。また、新たにパートナーシップを締結した皆様にも心より歓迎の意を表します。 

メモリとストレージが推進した馬力から知力への転換

T型フォードが組み立てラインで初めて生産されて以降、パワートレイン向け認定 16Kbit EEPROM が自動車業界最大の転換の端緒になると、30年前にいったい誰が想像できたでしょうか。自動車産業は誕生から100 年以上が経ち、その中心も馬力から知力へと転換しています。自動車で生成されるデータ量やソフトウェアの複雑さは急激に増しており、今日では最高級車にはおよそ1億行ものコードが実装されています。そして、業界が完全な自律運転車の実現を推進する今、この数字が3億行を超える日もそう遠くはないでしょう。

コネクテッド・カーでは、1時間当たり最大25GBのデータが生成されます* 。車両のアーキテクチャによっては、先進運転支援システム(ADAS) や自律運転車(AV)のセンサーから生成されるデータが、毎日4TB~20TBにも上るほどです* 。このデータは、人工知能(AI)を搭載したコンピューティング中心のシステムにより即応、リアルタイムで処理される必要があるため、最新の車両は究極のインテリジェント・エッジ・デバイスとも言えます。データ負荷の高いこれらのシステムを駆動させるには大容量のメモリとストレージが必要となるため、25億ドル規模の車載メモリ分野が生まれ* 、半導体市場で最も急成長しているセグメントの1つとなっているのも当然のことです。

今日の平均的な車両には、4GBのDRAMと256GBのストレージが搭載されています。今後、完全自動運転(レベル5)の車両では、総メモリ帯域幅が1テラビット/秒(Tbps)を超えると予測され、メモリ、ストレージ、システム帯域幅を合計するとその総量は驚くほどに達し、16KbitのEEPROM が高密度デバイスと考えられていた時代とは隔世の感があります。

自動運転車に抱いた当初の夢

世界が自動運転車を夢見始めた時期も、T型フォードが初めて組み立てラインから出荷された時とほぼ同じ頃でした。個人所有の車がもたらした変革は周知の事実ですが、量産車登場後の最初の100年ほどは、自動運転車のビジョンの達成という点では実際にわずかな進捗しか見られませんでした。自動運転車を設計しようという試みが記録された最古の事例は1920年代にまで遡ります* 。しかし、センサー、演算処理、AI のアルゴリズム、メモリ帯域幅、無線接続など、複数の技術的進歩と有効性が融合し、自動運転車に抱いた初期のビジョンが現実に近づいてきたのは、わずかこの10 年ほどにすぎません。

現在、量産型の自動運転車は、文字どおり「間近に」まで迫ってきています。しかし、このビジョンの実現には、道路上の物体の動きを検知、認識、追跡、予測するさまざまなセンサーから送られてくる膨大な量のデータを処理しなければなりません。1つの高解像度カメラセンサーだけでも、1 秒間に生成されるデータ量は 1.4ギガビットに達します。完全自律走行車には40以上のセンサーが搭載されることを考えると、毎秒 50 ギガバイトを超えるデータが生成されることになります。完全自律運転には、毎秒約 500 テラ(兆)の演算(ToPS) という、非常に高度なリアルタイムのAIコンピューティング性能が不可欠です。

車内体験の静かな変革

また、自律運転(AD)が大きな注目を集めている一方、半導体コンテンツの成長の大部分をADAS と「充実した車内空間」が担っている点を認識しておくことも重要です。この領域は完全自律走行よりもかなり進んでいます。車内のインテリア/コックピットと「車内体験(IVE)」は、消費者の購入の意思決定や車メーカーのブランド・アイデンティティーを左右する大きな要因となっています。

消費者の期待は、スムーズな接続、指先での情報アクセス、そしてスマートフォンのようなシームレスなユーザー体験、つまりスマートフォンのお気に入りアプリケーションすべてを車内でも同じような感覚で利用できるネイティブサポートにあります。このようなアプリには、臨場感あふれる体験を生み出す高解像度ディスプレイが必要とされ、その種類も広がり、サイズもますます大画面化しています。IVEのイノベーションは衰えることなく拡大し続けています。そう断言できる理由は、将来の自動運転車では、実際の運転体験から、個人の趣味やエンターテインメント、生産性に基づく体験へと重点が移るにつれ、情報にあふれた車内空間と同乗者の体験がますます重視されると車メーカー各社が認識しているためです。

ソフトウェア・コード、ユーザー個人の属性を示す「ペルソナ」、そして 5G

自動車業界がサービスとしてのモビリティ(MaaS)提供の準備を着々と進める一方、消費者が交通サービス・プロバイダーを選択する要因には、車内体験の一貫性とともに、車体の美的センスも挙げられます。これも、従来の「金属を曲げて形成する仕事」という考え方から、今や「シリコンのダイシング加工」によりブランドとアイデンティティーを確立する業界へと大きな変化を反映しています。

自動車のソフトウェア・フットプリントが3億行を超えるコードへと拡大する中で、最新の更新プログラムと機能強化により、車両を最新の状態に保つには、無線(OTA)アップデートへの対応が不可欠になります。また、毎月のサブスクリプション料金やソフトウェアのダウンロードを通じて、自律運転やその他の機能を有効にできる「サービスとしてのソフトウェア(SaaS)」などの機能への対応も重要です。MaaSの場合、ユーザー個人の属性を示す「ペルソナ」はクラウドに保存され、ドライバーが自分の車に乗るときも、同じブランドのレンタカーに乗るときも、そのペルソナが取り込まれるようになります。これらの機能を有効化するには、高性能な5G接続とシステムレベルでのセキュリティーが最重要であり、絶対条件とさえ言えます。信頼を基点としたセキュリティーを提供するマイクロン独自のセキュリティー・ソリューションであるAuthentaは、この複雑なエッジ・コンピューティング環境のニーズに応えるために開発されています。

より安全な自動車の未来を確保

ハードウェアとソフトウェアのいずれでも安全性と信頼性を担保できるように、セキュリティーと機能安全の両方に重点が置かれるようになっています。タイヤが付いた、この複雑で高性能なソフトウェア・コンピューティング・プラットフォームには最大限の信頼性が必要となるため、基盤となる車両アーキテクチャには徹底的な調整が加えられています。今まさに分散型アーキテクチャから、インフォテインメントやADASなどのシステムを単一のアーキテクチャに統合する集中型/ゾーンベースのアーキテクチャへと進化している段階です。

必須の機能安全(FuSa)レベルの達成には、一層、複雑化するこの組込みソフトウェア・プラットフォームにメモリがもたらす影響と役割に一層、注力する必要があります。これらのFuSaレベルを満たすには、従来のシステム・オン・チップ(SoC)とメモリの両方で、ISO 26262 認証を取得したソリューションの採用が不可欠です。もちろん、このすべてが無欠陥レベルの品質を達成し、提供することを目指すという考え方に基づいています。

さらに長期にわたるリーダーシップに向けた計画

マイクロンは30年にわたり自動車業界の変革の最前線に立ってきたことを光栄に思います。自動車業界向けで40%以上の世界市場シェア* を誇る最大手のメモリ・サプライヤーの座を確立できたのは、一貫した注力、投資、コラボレーションの賜物です。マイクロンは、この緊密なコラボレーションを通じて、半導体が現在および今後30 年のデータ主導型自動車をどのように後押ししていくか、その見通しを立ててきました。マイクロンの効率的な設計サイクルがあるからこそ、最新テクノロジーを高品質、低コスト、短いスケーリング時間で実現できます。

マイクロンは今、累計何兆マイルもの走行距離に達するメモリの実績とともに、馬力や加速力ではなく、コンピューティング・パフォーマンスと車内体験によって評価される自動車業界の最前線に立っています。 今後30年で安全性、セキュリティ、パフォーマンス、品質、耐久性、イノベーション、カスタマーサポートのいずれにフォーカスが移ったとしても、マイクロンは車載メモリのリーダーであり続け、現在と今後の要件に適応できる業界随一の車載DRAM、NAND、NORベース・ソリューションによる革新的なポートフォリオを提供していきます。

この歩みをマイクロンと共有してくださったすべての方々に改めて感謝します。どんなことが待ち受けていようとも、私たちは次の30年を、前を向いて進んでいきます。

1 https://www.statista.com/chart/8018/connected-car-data-generation

2 https://iotnowtransport.com/2019/02/12/71015-data-storage-key-autonomous-vehicles-future/

3 Gartner「Semiconductor Forecast Database, Worldwide, 4Q20 Update (世界半導体市場予測データベース 2020年第 4 四半期更新版)」の表 2.1 (2020年12月)

4 Strategy Analytics Report: OEM Autonomous Vehicle Strategies and Roadmaps: COVID-19 Impact, July 2020

5 Gartner、「Market Share: Semiconductors by End Market, Worldwide, Total Memory and Automotive, 2019 (半導体の世界市場シェア: メモリ総合および車載メモリ 2019年版)」、2020年4月

 

筆者経歴

クリス・バクスター(Kris Baxter)は マイクロン の副社長兼組込みビジネス部門(EBU) のジェネラル・マネージャーです。インテル、Numonyx、マイクロンのフラッシュストレージおよびメモリ・ソリューション部門において、20 年以上にわたり、エンジニアリング、セールス、ビジネス開発、マーケティングとさまざまなポジションを担当してきました。この10年以上、バクスターは EBU リーダーシップ・チームに所属し、自動車セグメント向けのソリューション開発に携わっています。カリフォルニア大学デービス校で機械工学と航空工学の2つの学士号を取得し、2009年からは非営利組織 Empowering Lives International の委員を務めています。
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