シートに座っているだけで、自動運転車が自動で会社まで運転してくれるようになるのはまだ数年先かもしれませんが、自動車OEM(相手先商標製造会社)各社は、運転時により安全な判断を行えるようドライバーを支援するうえで重要な役割を果たす「先進運転支援システム(ADAS)」アプリケーションの展開を進め始めています。コンシューマーとしては、追加の保護機能や、周囲で起こっていることを知らせてくれる機能は大歓迎です。一度そうした機能を備えた車の運転に慣れてしまえば、そうした機能のない車に戻るのは不可能に近いでしょう。
自動運転車のビジョンを実現するには、広範囲に及ぶ複雑な最先端テクノロジーをシームレスに組み合わせ、車両の寿命を通して完璧に機能させる必要があります。完璧な「ビジョン」を実現するために融合させる画期的なセンサーテクノロジーであれ、毎秒数千テラオペレーション(TOPS)を超えるコンピュートパフォーマンスを備えたコンピューティングプラットフォームであれ、完全に機能する自動運転車を実現するために必要なテクノロジーは例外なく、あらゆる市場セグメントで最も厳しい要求を課されます。
この飛躍的進歩を達成するためのメモリとストレージのパフォーマンスに対する要求も例外ではありません。レベル2+とレベル3のADAS機能では、I/O信号レート8.5Gbpsで動作するLP5Xのメモリバス幅256~512ビットの必要性が高まります。また、「車輪のついたデータセンター」とはまさにそのとおりで、自動運転車にはクラス最高のデータセンターパフォーマンス、信頼性、安全性が必要になります。そこでマイクロンは、SAFER車載用メモリを発表しました。これは、エンジニアリングリーダーシップとランダムかつ体系的な故障検出による、機能安全に向けた独自の機能です。このSAFERフレームワークは、画期的な車載用メモリソリューションとサポートを検討する際の指針となります。
極めて高い信頼性と総合的なシステム保全の中核として、システムのさまざまな要素と機能安全全体に与える影響がますます重視されつつあります。ソフトウェアのフットプリントは、今日のハイエンド車における1億行のコードから、将来的には10億行規模のコードに拡大すると予想され、車載用メモリの重要性は最優先事項の1つになりつつあります。
車載用メモリおよびストレージ市場における30年を上回る経験を有するマイクロンは、一層複雑になる機能安全に対応するうえでメモリが果たす役割を理解しています。機能安全は自動運転車を実現するために欠かせないものです。
自動車業界におけるマイクロンは車載用メモリとストレージのリーディングサプライヤーであり、極めて厳しい安全要件を念頭に置いて設計したクラス最高の製品を供給できるよう、機能安全のテクノロジーとプロセスに多大な投資を行ってきました。マイクロンでは、このプロセスは製品の最初期段階から始まっています。ですから、業界で現在、最も安全なメモリとして独自の高い評価を得ていることに誇りを持っています。私たちが提供する安全機能について考えるとき、マイクロンのソリューションは業界で一番安全な(SAFER)ソリューションだと自覚しているのです。
自動運転のレベルと安全コンセプト
FuSaが実現する自動運転車
システムが自動車の制御に与える影響を考えると、システムを構成するすべてのコンポーネントが最も厳しい品質・安全基準を満たしていることが重要になります。ISO 26262規格では、ASIL(自動車安全度水準)規格を定め、車両内のさまざまなシステムに必要な安全レベルをAからDまでの範囲で規定しています。安全性の要求が最も低いのがASIL Aで、最も高いのがASIL Dです。具体的には、1FITとは、コンポーネントが稼動する10億時間に1回、故障が発生するという意味です。これは、デバイスの数とその稼働時間の積が10億になるということです。つまり、FIT率は、1000稼動時間あたりの100万デバイスの故障数、または100万時間あたりの1000デバイスの故障数になります。
自動車の一般的なASIL分類
マイクロンは車載用メモリの世界的リーダーであり、ISOの要件を把握するためにお客様と緊密に協力しています。マイクロンは先日、業界初のASIL-D LPDDR5準拠メモリであるマイクロンSAFER車載用LPDDR5メモリを発表しました。
マイクロンによるSAFER車載用メモリの定義は以下のとおりです。
S = 業界で現在最も安全な(Safest)ソリューション
- 業界初のISO 26262 ASIL D準拠メモリ
- マイクロンの全社的なISO 26262プロセスを管理する安全管理室
A = 自動車に対するマインドセット
- 自動車業界での30年を上回る実績
- 自動車業界におけるリーダーシップ - DRAM、NAND、NORの機能:FuSa(機能安全)、安全性
F = 故障検出
- ASIL Dレベルの体系的な故障検出 - ランダム故障検出の安全要素
- リアルタイム故障検出でトップレベル故障モード(TLFM)、データ破損、アドレス指定、ロストデータをキャプチャ
E = エンジニアリングリーダーシップ
- OEM(相手先商標製造会社)顧客と緊密に連携し、マイクロンのメモリをシステム設計に最適化するアーキテクチャーチーム
- 最小リスクで最短の市場投入ができるように設計の初期段階から立ち上げに至るまで顧客を支援する、世界各地の13の専用エンジニアリングラボ
R = リスク管理
- メモリ削減のインテグレーター支援、トップレベルの安全保証
- 安全関連文書一式、安全分析における顧客支援
マイクロンは引き続き尽力し、車載用メモリの品質基準を引き上げています。基準とは、「……どれだけ優れているかを測定する尺度、または不具合、欠陥、大きなばらつきがない状態……」1を指します。マイクロンSAFER車載用メモリが目指すのは、「作動中に電気/電子(E/E)システムの故障によって引き起こされる危害によるリスクが存在しないこと……安全性の向上、故障の検出、故障の制御……つまり、不確実性の除去または排除」2です。
1. 検出と制御は、サプライヤーレベルまたはシステムインテグレーターレベルで実施可能。
2. ISO 26262文書に基づいて記述。
マイクロンSAFER車載用メモリのブログシリーズ
このシリーズでは、画期的な車載用メモリソリューションおよびサポートを検討する際のインサイトや指針をお届けします。SAFERは5つの重要なコンセプトの頭文字を組み合わせたものです。「S」は業界で現在最も安全な(Safest)ソリューション、「A」は自動車(Automotive)に関する考え方、「F」は故障(Fault)検出、「E」はエンジニアリング(Engineering)リーダーシップ、「R」はリスク(Risk)管理を表しています。SAFERの各頭文字に対応する内容のブログをご用意しています。その他のブログについては、マイクロンの機能安全ページをご覧ください。自動車の機能安全 | Micron Technology, Inc.