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Mobileyeがマイクロンのメモリとストレージソリューションで自動車の自動化を推進

ドナート・ビアンコ | 2022年2月

午後11時、私は車を運転して家族とパーティーから帰宅します。13歳のサラと14歳のフランチェスコは、座席で深い眠りに落ちました。バックミラーに映る子供たちが夢を見ているのを眺めながら、まるで責任感と保護者意識が本能的に高まったかのように、自分がひときわ注意深くなるのを感じます。車内の誰もそれに気づきません。

ドライバーである私は、車載の先進運転支援システム(ADAS)に支えられていることを考えると、これまでよりも自信を持って運転できます。これは安心感を高め、気持ちにゆとりが生まれます。

家族の安全を守るという私の運転エクスペリエンスにおいて最も重要なのは何かと考えてみると、私が待ち望んでいるのは、より高度なADASシステムと、真の自動運転が可能な自動車の実現です。Mobileye®が先日発表した、マイクロンのメモリとストレージソリューションを採用したシステムは、運転の方法における大きなパラダイムシフトがいかに近いかを明らかにしています。

Mobileyeが見せる自動運転の未来

現在のADAS搭載車は、路上の死角にある物体を認識したり、自動緊急ブレーキ(AEB)を作動させるなど、人間の知覚を超えるセンシング機能を備えています。潜在的に人間のドライバーよりも気づくのが速く、持続性もある機能です。何年もの間、自動車業界が提供してきたADASは、レベル1(加速など、個々の運転タスクの支援)とレベル2(加速とステアリングなど、複合的な運転タスクの支援)の運転自動化であり、車両をコントロールする責任は引き続き、ドライバーにありました。

しかし、より洗練されたADAS機能は、用途の範囲がいっそう広くなり、その結果、自動車をコントロールする責任を担うドライバーをもっといろいろな機会で支援するようになります。何年もかけてADASが進化し、車両操作のより多くの要素を支援するようになった今、私たちはADASから自動運転車へと先を見据えています。私たちは、胸躍る進歩と、より高度な自動運転機能に向かう大きな飛躍を目の当たりにしています。

9月に開催された2021年のIAAモビリティショーで、Mobileyeは新しい自動運転ロボットタクシーを発表しました。Mobileyeのセンサーとコンピュートインフラが車のメインドライバーとなるタクシーです。このシステムは、自動車の未来がどう変化していくかについての印象的な一例です。人間ではなく、機械が車の運転の中心になるのです。

デバイスにあるMobileyeのロゴ

最先端の自動運転機能を実現するために必要なこと

自動運転車のコンピュートインフラの特徴は、さまざまなセンサー(カメラ、LiDAR、RADARなど)からデータを取得する、取得した生データをその環境の数学的モデルに変換する、車両が進む経路について戦略的決定を下す、ステアリングとブレーキとモーターの各コマンドを調節してその決定を実行する、という4種類のタスクを遂行することにあるといえるでしょう。

これは言うは易く行うは難しで、高度な自動運転機能には、車両の周囲にあるものを認識し、そのデータに基づいて意思決定を行うための多数のセンサーと、高速なコンピュートパフォーマンスが必要になります。他のミッションクリティカルなインテリジェントエッジアプリケーションと同様、自動運転も、データをクラウドに送信することで生じるレイテンシーを軽減するために、データが生成される場所の近くに人工知能機能を配置することによってのみ実現できます。つまり、この場合は、その車の中でデータを処理するということです。この機能を実現するには、車載用コンピュートとメモリ、ストレージインフラに以下のような新たな要求が生じます。

  • 低消費電力で高いデータスループット
  • 小さなデータパッケージサイズ
  • 競争力のあるコスト
  • 車載用ソリューション
  • 自動車の過酷な使用環境に耐えられること

つまり、自動運転の実現には、マイクロンが30年にわたり責任を持って提供してきた独自のメモリとストレージソリューションが必要です。

マイクロン、自動運転のためのコンピュート基盤をパートナーに提供

Mobileyeは、Mobileye Drive™自動運転システムで自動運転の要件に対応しており、その中核となるのが最先端のハードウェア、AVKIT58です。AVKIT58は13台のカメラ、9台のLiDAR1、6台のレーダーユニットからデータを収集する8個のEyeQ™ 5H SoCを搭載しています。

MobileyeはAVKIT58システムを構成する主な要素として、5種類(うち3種類については以下参照)のマイクロン製メモリとストレージソリューションを選択しました。

  • 128MB Quad SPI NORフラッシュと512MB Xccela NORフラッシュ - ブートコードの信頼性の高いストレージによく使用されるNORフラッシュは、高速ランダム読み込みパフォーマンスとピン数の少なさ(開発コストと部品の物理的フットプリントを削減できる)から、多くの場合、組み込みシステムに最適なメモリになります。高速ブートパフォーマンスが評価されたXccelaフラッシュは、ブート後わずか数百ミリ秒でコンピュートハードウェアを準備する必要があるアプリケーションで使用されています。
  • 16GB LPDDR4と32GB LPDDR4 - マイクロンLPDDR4車載用ソリューションは、従来製品2よりも転送ビットあたりの消費電力を抑えながら、知覚操作やデータ融合といった高度な機能に対応できるメモリ帯域幅を提供します。マイクロンは車載グレードのポートフォリオにおいて長期的な対応と、これらのソリューションが幅広い温度範囲で動作することを約束しているため、それらのデバイスはMobileyeのような車載アプリケーションにとって最適な選択肢になります。
  • 256GB SSD - ナビゲーション、3D高精細地図、データ記録(ブラックボックス)などの車載アプリケーションで求められるのは、優れたシーケンシャル読み取り/書き込みパフォーマンスを提供しつつ、衝撃や振動に強く、幅広い温度範囲に対応し、データ保護機能を備えた高密度ストレージソリューションです。Mobileyeが選択したようなマイクロンのソリューションは、そうした要件を満たしています。

Mobileyeのような自動車業界のイノベーターがマイクロンを選択する理由としては、この業界向けに構築した車載グレードのメモリとストレージソリューションの主要なポートフォリオで実証済みの自動車に対するマインドセット、自動車業界における30年にわたるリーダーシップの実績に根ざす自動車に対するマインドセット、13か所あるグローバルカスタマーラボなど業界全体の技術的コラボレーションやリソースへの多大なる投資が挙げられます。マイクロンは、安全性、パフォーマンス、品質、長寿命、イノベーションに関する厳しい要件に対応する車載用DRAM/NAND/NORベースソリューションの幅広いポートフォリオを提供することで、今後も自動車業界に貢献していきます。

MobileyeはMoovitAVサービスのブランド名で、2022年からテルアビブとミュンヘンで商業用無人運転サービスのロボットタクシーを展開する予定です

コラボレーションがもたらすイノベーションと自動運転車に対する安心感の向上

マイクロンは数年にわたりMobileyeと緊密に連携し、Mobileyeのソリューションが必要とするコンピュート機能の実現を支援できたことをうれしく思います。Mobileyeは安全性の高い輸送、渋滞の少ない道路、燃費の改善などの可能性を実現する自動運転機能に取り組んでおり、私たちの社会と経済に具体的かつポジティブな影響をもたらすでしょう。

マイクロンとMobileyeとの連携は、マイクロンのDRAM/NAND/NORベースのメモリとストレージソリューションが顧客の自動運転車システムを実現し、ヒューマンエラーを減らして路上での互いの安全を確保できるようにするという、より大きな社会的メリットを可能にすることを再認識させるものです。将来、私たちが皆、自動運転車を運転するようになったら、私は今よりも大きな安心感に包まれ、子供たちもいっそう安らかな夢を見られるようになるでしょう。

1. 原理はレーダーと同じで、レーザーの光を利用するセンサー。

2. LPDDR4のデータシートを従来品と比較したデータ。

Sr. Ecosystem Enablement Manager

Donato Bianco

Attracted to technology since the era of 300 baud modems, Donato Bianco works to drive and develop business with ecosystem partners in EMEA. He endeavors to positively influence the conditions of our communities and the environment in both his personal and professional life. Donato holds a master’s degree in electronics.