NANDセルあたり3ビットのデータを保存するTLC NANDは、まったく新しいテクノロジーではありません。何世代にもわたってプレーナ型2D NANDに使用されてきました。3D NANDの進化はSLC NAND(つまりセルあたり1ビットのNAND)から始まり、最終的にはほとんどの市場でMLC NAND(つまりセルあたり2ビットのNAND)が採用されるようになりました。ビットあたりのコスト効率をさらに高めるために、TLC NANDはニッチ市場の獲得に成功しましたが、高信頼性よりも低コストが優先されることがほとんどでした。
プレーナ型NANDのテクノロジーは、世代ごとにリソグラフィのシュリンクが進む形で進化を遂げてきました。つまり、フラッシュアレイが徐々に小型化されたということです。フラッシュアレイが小型化されると、データビットあたりの電子の数が減り、隣接するフラッシュセル間の容量結合が低下します。
3D NANDの登場により、TLCは根本的に変わりました。3D NANDが世代を経るごとに進化しても、NANDセルのサイズは変わりません。3D NANDテクノロジノードが進化しても、「リソグラフィのシュリンク」や「リソグラフィのスケーリング」といったよく聞かれるフレーズには当てはまりません。3D NANDの進歩は、NANDフラッシュセルを垂直に積み上げていくため、超高層ビルの建設と似ています。スタック内のNANDセル数は世代ごとに増加しますが、セルのサイズと隣接セル間の分離は基本的に変わらないということです。
3D NANDのセルのサイズは、最新のプレーナ型NANDフラッシュ世代より大きくなっています。セルサイズが大きくなったことで、TLC 3D NANDのデータビットあたりの電子数は、MLC 2D NANDの最新ノードと同じかそれ以上になり、耐久性とデータ保持能力はほぼ同等になります。TLC 3D NANDは、10,000回を超えるプログラム/消去サイクルを実証済みで、多くのアプリケーションに適した堅牢性を備えています。車載アプリケーションは極めて過酷な環境で使用されますが、非常に広い温度範囲で3,000回のプログラム/消去サイクルを達成するという要件を満たしており、製品寿命を延ばすことができます。
先進運転支援システム(ADAS)と車載インフォテインメント(IVI) の進化に伴い、自動車業界では、コストを削減しながらも高性能を実現するというニーズに対応するため、ストレージの高密度化が求められています。UFSやPCIeなど、一段と高速化されたホストインターフェースも登場しています。こうした高速インターフェースをサポートするために、内部NANDチャネルの数も増加しています。また、PCIeなどの高速NANDベースのソリューションはクラウドストレージに広く使用されていますが、自動車向けソリューションは異なる進化の道をたどっているようです。自動車向けソリューションは、フォームファクタの小型化、低消費電力、仮想マシンあたりのパフォーマンスの向上、エネルギー単位あたりのパフォーマンスの向上に重点を置いています。
マイクロンは、車載アプリケーションおよび産業用アプリケーション向けの64層TLCベースの2100 SSDを最近発表し、これらの要件を満たす最前線にいます。このDRAMレスSSDは、BGAと22.30 M.2の両方のフォームファクタで利用可能で、既存のソリューション(eMMC、UFSなど)の低コストや低消費電力といった利点を引き継いでいます。さらに、-40C~105C(Tc)という自動車の全温度範囲に対応しながら、大幅に向上したパフォーマンスを提供する、エンタープライズクラスのホストインターフェース(PCIe Gen3)を備えています。
CES 2020でMicron 2100T SSDのデモを実施
HDBaseTテクノロジーの発明者であり世界的リーダーでもあるValensが、2100Tを搭載したHDBaseT Automotive PCIeモジュールのデモを行い、このリモート集中管理型車載ストレージソリューションを紹介します。
Valensの展示ブース:ラスベガスコンベンションセンター、ノースホール、ブース番号9005(展示期間:2020年1月7日~10日)
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