すべての人々のための職場を作るには、共通の理解、特に同僚の文化や歴史に対する理解が重要となります。マイクロンは、アジア系および太平洋諸島系アメリカ人(AAPI)のヘリテージ月間を記念し、この多様なコミュニティにとって重要な問題についてチームメンバーの理解を深めることを目的としたパネルディスカッションを開催しました。
アジア系および太平洋諸島系アメリカ人コミュニティが直面している重要な問題を取り上げたパネルディスカッション
米国におけるアジア系および太平洋諸島系アメリカ人の歴史は長く、多様性に富んでいます。アジア系および太平洋諸島系アメリカ人コミュニティの専門家を招き、主催者であるマイクロンとメディアにおけるステレオタイプや歴史について討議しました。あるパネリストは、移住のさまざまな段階と、それぞれのグループがこれまでに直面し、現在もなお直面している多くの障壁について詳しく説明しました。このコミュニティには、メディアによるステレオタイプが非常に限定的であるという歴史もあります。別のパネリストからは、認知度の欠如と広く知れ渡っているステレオタイプが、AAPIである有名人の私生活や仕事にどのような影響を与えているかが紹介されました。
米国のAAPIコミュニティには豊かな歴史があるが、あまり知られていない
最近のメディア報道に見られるように、新型コロナウイルスのパンデミック中に、AAPIコミュニティの人々に対する暴力行為が増加しました。Stop AAPI Hateは、過去1年間の暴力事件は6,600件を超えると報告しています。しかし、専門家は、このコミュニティに対する敵対行為は1800年代半ばに遡ると述べています。
アジア系および太平洋諸島系アメリカ人のヘリテージ101
5月24日、マイクロンのチームメンバーは、アジア系および太平洋諸島系アメリカ人のヘリテージ101というパネルディスカッションで歴史について学びました。AAPIコミュニティは多様であり、米国で長く豊かな歴史を持ちます。ボイシ州立大学の教授2名とAsian American/Pacific Islanders in Philanthropyのパートナーシップ担当バイスプレジデントから、米国におけるAAPIコミュニティの多大な貢献が紹介されました。また、アジア系および太平洋諸島系アメリカ人という枠に含まれる人々や文化にはおよそ50の民族グループがあることから、非常に多様性に富んでいることや、これらのコミュニティが経験してきた敵対的な環境についても述べられました。
アジア系アメリカ人は米国において最も急速に拡大している主要な人種/民族グループであり、Pew Research Centerの調べによれば、現在米国には2,000万人以上のアジア系住民が暮らしています。そのほとんどが、東アジア、東南アジア、インド亜大陸の20か国に先祖を持ちます。「アジア系アメリカ人」という言葉は、政治的な必要性から生まれました。1960年代から1970年代にかけて、中国系アメリカ人、日系アメリカ人、フィリピン系アメリカ人などの組織者が、人種差別と戦うためにアジア系アメリカ人という包括的な用語の下で団結し、アフリカ系アメリカ人の公民権団体をモデルに組織戦略を策定しました。アジア系アメリカ人という言葉を聞くと東アジア人を連想する人が多いため、南アジア系、東南アジア系、太平洋諸島系コミュニティの人々は、自分たちが会話から除外されていると感じることがあるという指摘がなされました。
パネリストは、1882年中国人排斥法や第二次世界大戦中の日系アメリカ人の強制収容など、AAPIコミュニティに対する具体的な敵対行為に言及しました。第二次世界大戦中、日系アメリカ人である米国市民は、米国の利益に忠実でないという恐れから有刺鉄線の中での生活を余儀なくされました。
また、フィリピン系コミュニティの人々固有の経験についても討議されました。フィリピンは1898年に米国の植民地となるまで300年間スペインに支配されていたため、フィリピン人は西洋文化を受け入れており、多くの人がカトリックに改宗していました。米国の植民地となり、英語が導入されました。フィリピン人は国民であったため、米国への移住に際し同じ制限は課されていませんでした。
また、パネリストは、大陸横断鉄道の建設から、最近ではカマラ・ハリスがアジア系アメリカ人初の米国副大統領に就任したことまで、AAPIコミュニティが米国にもたらした多くの貢献を称えました。
メディアにおけるアジア系アメリカ人のステレオタイプの紹介
5月27日、チームメンバーは、AAPIコミュニティに対して根強く残るメディアにおける有害なステレオタイプについて学びました。「メディアにおけるアジア系アメリカ人のステレオタイプの紹介」というパネルディスカッションでは、モデルマイノリティ(アジア系アメリカ人を成功を収め、勤勉でありながら、無口、慇懃、従順であると表現するステレオタイプ)から、永遠の外国人(アジア系アメリカ人がどれだけ長く居住しているとしても、本質的に外国人で「よそ者」と捉えるステレオタイプ)まで、アメリカ人によるAAPIコミュニティの捉え方を形作っている、常に存在するステレオタイプについて話し合われました。また、報道におけるギャップや偏見についても取り上げられました。
例えば、英国で新型コロナウイルスの報道に使用された画像の33%はアジア人の画像でした。また、最近の調査によると、アトランタ連続銃撃事件の後でも、白人アメリカ人の37%が過去1年間でアジア系アメリカ人に対するヘイトクライムや人種差別が増加していることを知らなかったと答えています。同じ調査で、著名なアジア系アメリカ人の名前を尋ねたところ、回答者の42%が「わからない」と答え、これに次いで多かった回答は、アメリカ人ではないジャッキー・チェン、50年前に亡くなったブルース・リーでした。1,300本の人気映画を対象とした調査では、セリフのある役に占めるアジア系の割合はわずか5.9%であることが明らかとなりました。
ジャーナリスト、メディア創設者、女優がパネリストを務めるパネルディスカッションでは、AAPIコミュニティに対する偏見やステレオタイプの形成や、子どもの頃の自尊心への悪影響など、真の認知度の欠如とそれが社会に及ぼす悪影響について話し合われました。
パネリストらは、メディアで自分たちのような人を見ることはなかったと述べました。メディアにAAPIの人が出演しているときは、ステレオタイプな役であったと言います。アジア系アメリカ人は、映画やテレビで、人付き合いが苦手なオタクやアクセントがわかりにくいおっちょこちょいの店主など、オチや比喩にされることがよくあります。アジア系アメリカ人向けのオンラインニュースプラットフォームであるNextSharkの創設者兼CEOであるベニー・ルオ氏は、子どもの頃から何かがおかしいと感じていたが、この問題について学び、より深く理解できるようになったのは大学に入学してからだったと言います。
「映画におけるアジア系男性の弱体化や、アジア系女性の擬物化やエキゾチシズムについて学ぶことができました。自分が成長する中で感じていたことを俯瞰することができるようになりました」
女優のジョナ・シャオ氏は最近、ディズニーの「ラーヤと龍の王国」で幼いナマーリの声を担当しました。彼女が子どもの頃に名前を挙げることができたアジア系アメリカ人女優は、ルーシー・リューのみだったそうです。彼女はクリエイティブな機会が発展しつつあることを感じ始めていますが、演じる役柄を典型的なステレオタイプ以外に拡大するためには、プロデューサーとの緊密な連携がまだまだ必要であると言います。
「アーティストとして、自分が演じる役柄が有害なステレオタイプを助長しないように注意する責任を感じています」と彼女は述べています。彼女は現在犯罪ドラマに出演していますが、ショーランナーは、番組の中で特定の民族性がよりよく表現されるように、彼女に電話をかけて理解を促しました。「私はこのドラマでストリッパーを演じています。これがエキゾチックなアジア系女性像なのかもしれません。そのため、私にとっては、一見陽気でどこか抜けている色っぽいアジア系女性でありながら、娘をとても大切にし、賢く、機知に富み、思いやりのある女性であることを表現できる三次元のキャラクターを生み出すことが非常に重要でした」
ハルメート・カウル氏はCNNの文化記者で、人種、アイデンティティ、社会正義に関する記事を書いています。彼女は、マイノリティコミュニティについて、繊細に、かつ微妙な差異を理解して伝えることに精力的に取り組んでいます。今年の春に発生したアトランタ連続銃撃事件から、従業員の大多数がシーク教徒であったフェデックス施設で発生した銃乱射事件後にインディアナポリスで行われたシーク教徒コミュニティの追悼集会まで、彼女は自分の実体験を生かして、共感と理解を報道に注ぎ込むように気を配っています。
「実際に、私自身の体験によって記事をさらに印象深いものにできると思っています。アトランタのマッサージ店での連続銃撃事件の報道で、殺害された人々の大半が韓国人女性であったことを指摘しないとしたら、ジャーナリストとしての仕事をしていないことになります」
起業家のビン・チェン氏は、ディズニーやマーベルなど世界最大のメディア組織数社と協力し、自身の組織であるGold Houseを通じて、ストーリーテリングにおけるアジア系の否定的なステレオタイプの軽減に取り組んでいます。また、多文化映画や次世代のストーリーテラーに投資するファンドであるAUM Groupを通じて、肯定的で正確な人物像を描写するプロジェクトに出資しています。
「私たちは、主要なスタジオの台本のほとんどについて、台本が真に正確であることを確認し、黄禍論、永遠の外国人、モデルマイノリティの通説、柔和さといった有害な文章が台本に残らないよう徹底するため、文化面で積極的に関与しています」
パネリスト全員が、ハリウッドやニュース編集室で変化が起こり始めていることに同意しましたが、やるべきことはまだ多くあります。
マイクロンはコミットメントを強化
マイクロンのチームメンバーは、AAPIコミュニティのメンバーとそのアライが集まる新しい従業員リソースグループ(ERG)を立ち上げました。5月に討議したステレオタイプや無意識の偏見といった問題に対する認識を高め、マイクロンの社内外でこの問題に取り組むことを目的としています。このERGは、共通のアイデンティティや体験に基づくマイクロンの他の9つのERGに追加されます。マイクロンが2021年度に掲げたDEIに対する6つのコミットメントには、インクルージョンの文化を強化する、人種間の平等とLGBTQ+の平等の推進を支援するという項目があります。DEIの各コミットメントは、エグゼクティブが責任者となって推進していきます。すべての人々のための職場の構築に向けて、私たちは今後も発言しやすい職場作りを継続しいきます。