今年の目玉のひとつであるモバイルワールドコングレス(MWC)が本日からスペインのバルセロナで開催されます。モバイルイノベーションの中心地であるMWCでは、モバイルAIの未来を形作る最先端テクノロジーを紹介しています。出展されるのは、例えば、白内障の検出にAIを活用したTelefónicaのCatEyeのような5Gヘルスケアソリューション、テキストと動画をスムーズに切り替えるマルチモーダルエージェント、折りたたみ式の携帯電話に使えるロール式ディスプレイなどのハードウェアのイノベーションなどです。
MWCは、モバイルエコシステムのエキサイティングな未来を紹介しており、マイクロンは、この変革の最前線に立ち、エッジで卓越したAI体験を実現するメモリとストレージを提供できることを誇りに思います。
スマートフォン専用に設計されたメモリとストレージでAIを加速
今日のスマートフォンに内蔵されたメモリとストレージは、AIタスクを可能にし、ユーザーの重要なデータをデバイス上に安全かつ確実に保存するという重要な役割を担っています。高帯域幅、低レイテンシー、電力効率といった重要な要素は、要求の厳しいAIワークロードを処理し、非常にスムーズなユーザー体験を可能にする上で不可欠です。
AIワークロードの独特なニーズは、現在のテクノロジーの限界を押し広げ、モバイルエコシステムを推進し、ハードウェアとソフトウェアの進化を促し、エッジにおけるAIをさらに加速させます。だからこそマイクロンは、需要に対応するだけでなくモバイルポートフォリオの強化を継続的に行っており、今年のMWCでは、画期的な新しい成果をいくつか発表できることを嬉しく思います。
先週マイクロンは、世界初の1γ(1ガンマ)DDR5サンプルを発表しました。1γをいち早く市場に投入したことは、マイクロンがテクノロジーと製造におけるリーダーシップを維持し続けていることを示しています。私たちは現在、この先進ノードの能力をマイクロンの幅広いDRAMポートフォリオに拡大しています。今年第2四半期1に、マイクロンは2026年のフラッグシップスマートフォン向けに、業界をリードする性能と最大15%の電力削減2を実現する1γ LPDDR5X 16Gb製品を一部のパートナーにサンプル出荷します。動画やAIベースのアプリなど、大量の電力を要するユースケースにより、スマートフォンのバッテリー寿命はこれまで以上に重要になることから、これは意義の大きい取り組みです。
また、マイクロンはモバイルストレージソリューションの分野でもリーダーシップを発揮し続けており、世界初のG9ベースのUFS 4.1およびUFS 3.1モバイルストレージソリューションを発表しました。マイクロンのG9プロセスノードは、速度と電力効率の大幅な改善を実現し、業界最高性能で256GBから1TBまでのスケーラブルなmNAND容量を提供します。これらのソリューションは、スリムで折りたたみ可能なスマートフォン設計に必要な小型で超薄型のフォームファクタに対応しています。
マイクロンの最先端のプロセス技術に加え、ファームウェアレベルでもモバイルソリューションのイノベーションに取り組んでいます。私たちは、最先端のスマートフォンOEMと提携し、最新の難題を解決し、エンドユーザーがスムーズに直感的に利用することのできる差別化されたファームウェア機能の開発に取り組んでいます。
マイクロンの最新UFS 4.1ソリューションは、以下のようなフラッグシップスマートフォン向けの独自のファームウェア機能を提供します。
- ゾーンUFS:UFSデバイス内の同一ゾーンで、I/O特性が類似するデータを分類して保存することで、読み書き効率を向上させ、書き込み増幅を低減させる
- データのデフラグ:ホストとデバイス間のデータ再配置/デフラグではなく、UFSデバイス内部でのデータ再配置/デフラグを可能にすることで、読み取りパフォーマンスを向上させ、ホストのオーバーヘッドを削減し、読み取り速度は最大60%向上
- WriteBoosterの固定:WriteBoosterバッファ内のデータへの高速アクセスを可能にし、ランダム読み取り速度を最大30%向上
- インテリジェントレイテンシートラッカー:UFSデバイス内部で発生した長いシステムレイテンシーイベントを記録し、分析とデバッグを促進することで、最終的にシステムの最適化とユーザーエクスペリエンスの向上を実現(UFS 3.1でも利用可能)
モバイルエコシステムと提携し、世界トップクラスの体験を提供
イノベーションは、孤立した環境では生まれません。だからこそ、私たちは世界中の主要スマートフォンメーカーやチップセットベンダーと緊密に連携しています。
最近では、SamsungとGalaxy S25シリーズでコラボレーションしました。これらのスマートフォンは、マルチモーダルAI体験の画期的なブレークスルーを実現し、マイクロンの最も電力効率の高いLPDDR5Xと先進的なUFS 4.0ソリューションを搭載して設計されています。マイクロンのLPDDR5Xは、優秀なエンジニアチームによる高度なテクノロジーを活用して電圧を下げ、最適化することで、電力効率を最大10%向上させています3。SamsungのGalaxy AIは、通話記録や通話の要約、文章作成支援、クリエイティブツール、低照度撮影を最適化するNightographyなどのAI搭載機能により、ユーザーインタラクションを強化しています。
このようなデバイス上のAI体験に必要となる大量のデータを格納できる十分な内部ストレージがなければ、これらの機能はいずれも実現できません。そこで出番となるのが、マイクロンの大容量UFS 4.0です。このストレージソリューションは、データをクラウドではなくローカルで処理することで、データ処理の迅速化を実現するとともに、データのプライバシーと制御性を向上させることもできます。
マイクロンは、世界トップクラスのモバイルメーカーの主力スマートフォンに搭載されている先進的なメモリおよびストレージソリューションのプロバイダーであることを誇りに思っています。実際、ここMWCでは、視覚検索、翻訳、写真のぼやけ修正や一部を削除するインテリジェントツールなど、AIを駆使したエキサイティングな機能を備えたスマートフォンを幅広く展示しています。
これらのイノベーションは、AIに適切なメモリとストレージを組み合わせることで、いかにAIがスマートフォンを直感的でコンテキストアウェアなツールに変え、私たちの日常生活を向上させることができるかを示しています。
オンデバイスAIの未来
モバイルテクノロジーの新時代を迎え、AI搭載のスマートフォンは、私たち自身のデジタルエクステンションへと進化しています。モバイルデバイスはすでに、私たちのニーズを予測し、スケジュールを管理し、パーソナライズされたコンテンツの編集を始めており、私たちの創造をはるかに超えたレベルで生産性、創造性、接続性を高めています。
マルチモーダルエージェントなどの新しいAIのイノベーションは、テキスト、音声、画像、動画など、さまざまな種類のデータを同時に解釈し、洞察を引き出すことができます。つまり、1種類のデータのみを処理することに限定されていた従来のAIエージェントと比較すると、まったく新しいアプリケーションの世界の扉が開かれることになります。もう一つのイノベーションである連合学習は、プライバシーを保護しながら、AIモデルが分散型データソースから学習することを可能にします。これらのテクノロジーが成熟する中で、スマートフォンがユーザーの習慣やパターンを予測し、次の行動を予測して、より合理化された生活を送るための提案を行うことが可能になるでしょう。
今後のトレンドとイノベーションを予測する
自律的な推論、計画、実行を行うエージェンティックでマルチモーダルなAIへと移行する中で、強力なハードウェア基盤を持つことは不可欠です。こうしたメモリとストレージのニーズの高まりに対応するため、マイクロンは常にロードマップの最適化を図っています。また、エコシステムとコラボレーションし、最先端のプロセスノードにおけるモバイルポートフォリオの拡充から、画期的なAIスマートフォンを実現するためのメモリ性能と電力の最適化に向けた新しいアーキテクチャーの探究まで、実現可能なものを推進し、形作っています。
オンデバイスモバイルAIには、これまで以上に明るい未来があります。未来のモバイルAIがどのようなものになるかはまだ分かりませんが、1つ確かなことがあります。それは、インテリジェントシステム内のデータフローを支える心臓部として、メモリとストレージの重要性はこれまで以上に高まるだろうということです。
1 2025暦年
2 前世代比
3 JEDECの標準動作と比較した場合