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オンラインショッピングアルゴリズムの中核にある高性能DRAM

マイクロンテクノロジー | 2018年8月

オンラインショッピングは一般的な買い物方法になりました。顧客はすでにショッピングカートに入っている靴にぴったりの青系のTシャツが見つかるまで、販売商品が並んだページをスクロールして、さまざまな柄や色のTシャツを眺め続けます。ウェブサイトには便利な機能があり、「購入」ボタンのすぐ下にお似合いのジーンズやジャストサイズのベルトがおすすめ商品として表示されます。そのおかげで、顧客は真新しい服装で1日を終えることができます。やっと、破れたタンクトップを捨てられます。

シンプルで、簡単で、他の購入手段よりも負担がありません。オンラインで無作為に色々な商品を見て回っているときなど、場合によってはオンラインショッピングがありふれた存在に思えるかもしれません。

しかし、オンラインショッピングはかつて次世代の大ブームと言われていました。1995年にAmazonが書籍のオンライン販売を開始し、その6年後の2001年には初のオンライン専用小売業者「Zappos」がウェブに登場しました。それが2003年になると、米国のオンラインでの売上額が500億ドルにまで拡大しました。Statisticaによると、2017年の時点で、米国世帯の40%が月に複数回オンラインショップを利用しており、20%が毎週オンラインショップを利用しています。

オンラインショッピングの人気に火が付いたのは最近ですが、今ではほぼすべての現代家庭にとって不可欠なものとなりました。当たり前に思えるかもしれませんが、オンラインショップの裏側では高性能なDRAMと人工知能が動作しており、オンラインショッピングのプロセスに関わるあらゆる手順を支えています。

個人情報や閲覧履歴など、膨大な量のデータを蓄積しようとする場合、低性能DRAMを搭載した普通のハードディスクでは対応できません。一方で、マイクロンの高性能SSDと性能限界の高いDRAMを採用すると、ユーザーがオンラインショッピングプラットフォームを閲覧するごとにデータが瞬時に整理されるようにすることが簡単にできます。

顧客が購入について考える前に

顧客が購入する前に、顧客が閲覧を始める前に、さらには顧客が製品を検討する前に、人や何かによって、顧客が次に必要とするものを推論してきました。気味の悪いことだと思いませんか? 奇妙、煩わしい、明らかに間違っていると思えるかもしれませんが、人工知能によって実行されるそれらの推論が実際に役に立ち、後々の時間の節約になる可能性があります。

その時点ではまだ顧客のタンクトップは破れていないでしょう。顧客は仕事を終えてゆっくりしている週末にウェブサーフィンをしているだけです。ファッションやスタイルに関するVlogを視聴したり、記事の選び方やカラーパレットを説明したブログを眺めたりしています。

広告主は適切なオーディエンスをターゲティングするために多くの時間、資金、リソースを費やしており、数十年にわたり続けてきました。それが今では、ユーザーから蓄積される大量の個人データを処理できる高性能DRAMの登場によって、ターゲティングをプログラムで行うことが可能になりました。そのおかげで、広告主はAIとニューラルネットワークを活用してオーディエンスを識別し、適切な相手に、適切なタイミングで、適切な広告を配信できます。オンラインショッピングは平凡でありふれた存在に思えるかもしれませんが、そう見えるのは裏側で支える高性能メモリのおかげです。高速DRAMがなければ、おすすめ商品の読み込みに時間がかかったり、ユーザーの好みがエクスペリエンスにほとんど反映されなかったりします。また、関連商品を読み込んだり、価格を比較したり、閲覧履歴に基づいてお気に入りのYouTube動画に関連する商品を見つけたり、といったアルゴリズムを用いた決定機能はどうでしょう? 低速のハードディスクではそのような決定機能は実現できません。オンラインショッピングの動作や機能は問題なく機能しているので平凡に見えるかもしれません。適切に実装されているテクノロジーはユーザーからは見えません。当然、オンラインショッピングにテクノロジーが使われていることは誰もが把握しているでしょう。しかし、理想の商品を見つけるために多くのページを閲覧しなくても、高度なAIアルゴリズムが処理を実行し、おすすめ商品や他の候補を表示してくれていることを知らないユーザーはいるかもしれません。

マイクロンでCrucialブランドのマーケティングとコマース担当ディレクターを務めるフレッド・ワデルは、オンラインコマースとそこでAIが果たしている高度な役割を直に経験してきました。マイクロンは大手小売業者と提携し、さまざまな顧客層と新しい潜在顧客に向けてその業者の製品を販売しています。そこで購入前のAIマジックが発揮されます。この「マジック」とはつまり、高度なメモリ駆動型コンピューティングを意味します。

ワデルは次のように述べています。「小売業者は自社サイトを訪れるユーザーに注目し、各ユーザーが他に関心を持っているものについて全体像を把握できます。ノートパソコンの購入者はSSDも購入すると多くの人が予想できます。しかし、人工知能プログラムを利用すると、他の一見突飛に思えるような関連性を見つけることができます。たとえば、特定機種のノートパソコンを購入する人はおむつを必要としているという関連性が見つかるかもしれません。」 蓄積されたデータは膨大な量になるため、人工知能と高速メモリによってすべてのデータを精査して、貴重なインサイトの重要な断片を見つけ出し、適切に関連付ける必要があります。

病気で学校を休んだとき、昼間に「ザ・プライス・イズ・ライト」(テレビのクイズ番組)を見たことはありませんか? その時間帯に流れていたCMが、アスピリンや音声作動式の照明スイッチに関するものばかりだったことを覚えていますか? これは「ザ・プライス・イズ・ライト」の視聴者に退職者が非常に多いことが理由です。広告がターゲットにしているのは、ベッドで休んでいる病気の子どもではなく、主要な視聴者である退職者なのです。

オンライン小売業者も同じ手法を用いています。ターゲティングの対象となるオーディエンスの特定に多くの時間と資金を投じています。オンライン小売業者はユーザーの検索パターン、ソーシャルメディアへの投稿、閲覧履歴から導いたデータを収集して分類しています。たとえば、検索エンジンで検索したことがある商品をソーシャルメディアのフィードで見かけることはありませんか?

ユーザーが何かの購入を決意する前に、人工知能プログラムがメモリ駆動型コンピューティングによってニーズを推測し、ユーザーが関心を持っているコンテンツを提供します。

購入が決まった。その次は?

ついにタンクトップが破れてしまいました。買い替えを長い間先延ばしにしてきましたが、ついに新しいアイテムの購入を決めました。ところが、何から始めればいいかよく分かりません。

返品を減らして不要な支出を防ぐため、オンライン小売業者の中には、特定の衣料品が似合うかどうかの判断に役立つ画像認識ソフトウェアなど、高度な人工知能プログラムを導入している業者もあります。そのようなテクノロジーを使って新しいシャツを購入する場面を想像してみましょう。シャツが似合うかどうかが正確に分かるため、デパートで普段と同じサイズをよく考えずに購入してしまい、返品してサイズを変更してもらう羽目になった、といったことがなくなります。

このようなプログラムには極めて高性能なメモリが必要です。また、肩幅やウエストを考慮して新しいシャツのサイズを推定したり、写真をコンピューターで生成したりするには、画像認識プログラムと同様に、多数のデータポイントを取り込んで処理する必要があります。ウェブサイトの読み込みが遅くれば顧客満足度が大幅に低下するでしょう。そのような処理を素早く効率的にこなすには、信頼性の高いメモリが不可欠です。

高度なプログラムの裏側では、平易で単純に見えるコード群や複数のアルゴリズムが動作しており、魅力的なオンラインショッピングエクスペリエンスを作り出しています。コードの各行では、ウェブサイトのさまざまなタッチポイントに情報を伝えています。検索ボックス、「関連商品」スライダー、レビュー欄など、それらの機能を実現するには、ある程度の人工知能が必要となります。

顧客はそのような情報が瞬時に得られることを望んでいます。すべての情報を集約してパーソナライズしたうえで、顧客のエクスペリエンスを低下させない適切な方法で表示するには、小売業者が旧来の低性能なハードウェアを使い続けることはできません。

この処理を適切に実行し、魅力的なユーザーエクスペリエンスを瞬時に提供し、大量のユーザーデータに基づいて情報を表示するには、マイクロンのSSDとDRAMを導入し、システム内のデータ移動を高速化することが不可欠です。

荷物の配送中

靴、ベルト、ジャストサイズの青色シャツの注文を終え、あとは荷物が配達されるまで数日待つだけです。ほとんどの場合、荷物の到着までに2~5営業日かかります。場合によっては、数週間待たされることもあります。荷物の配送処理では、商品のある倉庫の検索など、多くの作業が発生します。

ワデルによると、多くの小売業者は配送の待ち時間を抑制するために倉庫業務を自動化しており、効率的なアルゴリズムに従って商品を保管しています。SSDの近くには、おそらくDRAMも保管されているはずです。また、手袋のすぐ近くにスカーフも保管されているでしょう。一方で、人が最初に思い描いた方法とは少し異なる方法で商品が保管されることがあります。これはすべて高度な人工知能のコンピューティングによるものです。

「全面的に自動化された流通拠点では、まったく無関係な4つの商品を1箱に詰め込む場合があります。たとえば、1枚のDRAM DIMM。たとえば、いくつかのパンパース。また、6パックのコーラかもしれません」と、ワデルが話します。「しかし、自動システムにとってそれは大した問題ではありません。人間のように考える必要はなく、必要なのは商品の場所を知ることだけです。あとは商品を取りに行くだけです。」

自動化された倉庫では、ロボットなどの自律テクノロジーによって購入品を特定し、大量のさまざまな商品の中から場所を把握して、人間の手作業よりも素早く配送準備を終えることができます。

購入品の場所が分かれば、すぐに配送できます。一部の小売業者は無料で2日後の配達を提供しています。これは非常に素早い配送に思えるかもしれません。ところが、大幅な進化を遂げた中国のオンラインショッピング業界では、2日間は配達の待ち時間として長すぎます。ワデルによると、配送車両などの自動化により、そのような考え方が米国人の購入者にも芽生え始めています。自動運転のロボット航空機により、衣料品の購入からわずか1時間で商品が届くことを想像できますか? 無料で利用できる2日後の配達も、ドローン配達にはかないません。

ワデルは次のように述べています。「将来的には、大手小売業者は郵便局に頼ることなく、自前で商品を配送するようになるでしょう。話題となっているドローン配送や、即日配送サービスなど、理想的な速さの実現には多数の業務をこなす必要があるため、結局はAIの導入が実現への早道となります。これは素晴らしいことです。」

eコマースの未来

オンラインショッピングは「カートに追加」をクリックして合計金額を支払い、配送を待つだけではありません。プロセス全体を円滑化、効率化、高価値にするためにさまざまな要素が複雑に絡み合っており、そのすべては人工知能とメモリによって実現しているものです。このプロセスが進歩し、複雑さが増したとしても、マイクロンが誇る高性能メモリが舵取りを務めることになります。

ワデルは次のように述べています。「すべての人たちにとって、スマートフォンで必要なものをすぐに手に入れられるのは特別なことではありません。そして、その実現には、極めて信頼性の高いデータI/O(入出力)が必要となります。SSDは従来のハードディスクモデルよりも大きな利点があり、DRAMによってプロセス全体が大幅に強化されます。」