現在、ネットワークに接続するモノのインターネット(IoT)デバイスが150億台以上、存在しています。2030年には、倍増して290億台以上になると予測されています。ビッグデータを使用するビッグマシンが新たな産業革命を呼び起こし、複雑なAIワークロードに依存しながら急増するセンサーデータを管理することで、産業市場を変革しつつあります。
とはいえ、今日のスマートマニュファクチャリングは新しいものではなく、機械化(1780年)、電化(1870年)、自動化(1970年)、接続(2011年)という過去のさまざまな革命の上に成り立っています。各段階を通過するたびに、産業は変化しているのではなく進化し、さらなるスマート化、さらなる高速化のための新たな要件を追加していきます。
そのため、AIで稼働する今日の産業オートメーションには、かつてないほど多くの要件があります。この変革の中心にあるのが、メモリとストレージです。過酷な産業環境では、一定のパフォーマンス特性が要求されます。具体的には、ライフサイクルサポート、耐久性、信頼性、優れた品質、そして固有のアプリケーション要件に応じた製品の機能拡張が含まれます。
産業用AIによってメモリとストレージに求められる要件が増大
この傾向は、さまざまな業界で見られます。たとえば医療アプリケーションでは、高度な画像処理の必要性から、高帯域幅メモリ(HBM)、高密度のDDR5 DRAM、複数テラバイトのSSDストレージを搭載したGPUクラスのマシンの採用が活発化しています。ビデオセキュリティの分野では、エッジストレージシステムで高解像度ビデオを保存・処理した後、AIを用いたアナリティクスをビデオデータに対して実行する必要があります。AIモデルには大量のメモリと空き容量が必要です。そのため、リソースに非常に厳しい要件が課されます。
産業用オートメーションほど、メモリとストレージの要件が大きく変化している分野はないでしょう。産業用IoTエッジサーバーは、エッジにおけるAIワークロードのニーズに対応するため、標準的なサーバーと比べて2~3倍のキャッシュとコードストレージ、4~5倍のデータストレージを必要とします。
インダストリアルトランスフォーメーションには、データをインサイトに転換する、新しいエッジデバイスとゲートウェイが必要です。自動運転車から航空宇宙まで、ビデオセキュリティから製造現場まで、マイクロンの産業用メモリおよびストレージソリューションは、インフラストラクチャからエッジAIに至るまで、必要とされるパフォーマンス、レイテンシー、セキュリティを提供します。
実際、マイクロンはデータ解析とAIを自社の製造プロセスで活用しています。シリコン製造は非常に複雑なプロセスで、その期間は数か月に及び、1,500もの工程が伴います。マイクロンでは、このプロセスのすべてのステップで高度なAIを採用し、精度と生産性を劇的に向上させています。歩留まりの向上、より安全な作業環境、効率の改善、サステナブルな事業など、そのメリットは多岐にわたります。
もちろん、これらのコンポーネントは、どれもメモリなしでは動作しません。実際のところ、メモリはAIに「インテリジェンス」を注ぎ込み、アルゴリズムを駆動するためのデータと、アクションやリアクションのための文脈を提供します。
産業AIに対応するマインドセットの開発
産業AIの分野でサプライヤーを選択する際、通常のコンシューマー向けアプリケーションより高い基準が求められることを念頭に置く必要があります。過酷な環境など、アップグレードパスがより長くなる分野でソリューションを導入する場合には、寿命、耐久性、信頼性などの要素が何よりも重要になります。
マイクロンはこの理念に賛同し、製品と運用モデルの開発における一連のコアバリューを策定しました。指針となる原則は、今日の産業用アプリケーションに対応する強力なフレームワークであり、私たちはこれをマイクロンの“Industrial Quotient”またはIQと呼んでいます。マイクロンは考え方を同じくする多くの業界人と連携し、以下に示す5つのIQ特性を策定しました。
- 寿命:マイクロンは5年以上の製品ライフサイクルに対応しています。産業用アプリケーションは長く使われることを前提に作られるので、長期間の製品サポートが必要です。
- 耐久性:温度、衝撃、腐食、湿気、放射など、極端な環境でも高度なパフォーマンスを発揮します。
- 信頼性:年間平均故障率、Failure In Time(FIT)、平均故障間隔に関する主要なベンチマークを使用して、パフォーマンスの安定性の目安としています。
- 高品質:すべてのプロセスに関する継続的かつ広範囲のテストにより、変動を最小化し一貫性を維持しています。
- アプリケーション最適化:製品の機能拡張(ハードウェアおよびファームウェア)により、アプリケーション固有の要件を満たします。自動スキャン/自動更新、ファームウェア正常性モニタリング、API暗号化などが含まれます。
マイクロンは25年以上にわたり、産業市場におけるリーダーシップとイノベーションを提供してきました。マイクロンの「産業マインドセット」は、これらのユースケースを私たちが深く理解していることを意味します。品質、信頼性、耐久性に対するマイクロンの総合的な取り組みは、特定用途向けソリューションの広範なポートフォリオに及んでいます。こうした取り組みはすべて、業界をリードするファブの寿命サポートによって裏付けられています。マイクロンはこの分野に多大な投資を行っています。
価値観の共有
産業用AIアプリケーションを支援するためにマイクロンが掲げているコアバリューは、マイクロン独自のものというわけではありません。この業界のお客様の多くが、同じ考え方や価値観を共有しています。耐久性と信頼性に優れたマイクロン製のメモリおよびストレージソリューションは、耐久性と信頼性に関して同じ基準を満たすマシンの構成要素となっています。マイクロンの主要なスマートマニュファクチャリング施設では、マイクロン自身のメモリおよびストレージソリューションを使用してお客様が製造したマシンを採用しています。これらは信頼できるソリューションであることが分かっているからです。たとえば、製品に見られる製造偏差の検出と是正のためにマイクロンが使用しているAI駆動のマシンビジョンツールは、これらのマシンで生産を支援する、まさにそのメモリおよびストレージコンポーネントを使って実現されています。
産業用IoTでは、コアプロセスに関するこのレベルの知識が極めて重要です。マイクロンは、AI産業用IoTエコシステムに関する豊富な経験と深い理解に基づき、お客様が比類のない総所有コストで製品を市場に投入できるようにします。
これらのコアバリューへの絶え間ない献身により、マイクロンは産業用メモリおよびストレージで誰もが認めるリーダーに位置付けられ、世界各地のシステムラボに加え、エンジニアリング、セールス、流通ネットワークを通じて、設計イノベーションと差別化を提供しています。産業用IoTの分野では、企業はソリューションの選択肢を調査するために時間を費やす必要があります。そして、同じ価値観を共有し、市場に正しいソリューションを投入できる会社を選ぶ必要があります。
同時代の人々によるイノベーションは新たな産業革命の原動力となり、AIアプリケーションの進歩を実現します。結局のところマイクロンは、AI、協働ロボット、コンピュータービジョンといった最先端のアプリケーションを生み出すクリエイターに、必須のコンポーネントを提供する存在であると言えます。彼らがイノベーションを必要とするとき、彼らが選ぶのはマイクロンです。