マイクロンとAMDは、96GB DDR5と第4世代AMD EPYC™プロセッサーの組み合わせにより、クラウドネイティブなワークロードで卓越したパフォーマンスを実現
マイクロンは先日、計算集約型の人工知能(AI)、データ解析、メモリを重視したワークロードへの対応を支援する高性能レジスタードメモリソリューションの発売開始を発表しました。AMDとのコラボレーションで私たちが共同の目標としたのは、マイクロンDDR5の能力と第4世代AMD EPYC™プロセッサーの高度な機能を活用して、高性能コンピューティング(HPC)のワークロードを向上させることでした。それ以来、両社は2023年1月にDDR5 DIMMで24GB、48GB、96GBといった新たな容量の検証に成功するなど、大きな進歩を遂げてきました。このブログ記事では、第4世代AMD EPYCプロセッサーと組み合わせた新しい96GB DDR5の優れたパフォーマンスを紹介します。
強みを活かして改善を達成
AMDとのコラボレーションで、マイクロンは最新のAMD EPYCプロセッサーのクラウドネイティブなコンピューティングの強みを活かし、優れた電力効率を実現しています。この改善は、サステナビリティ目標をターゲットとしており、ワットあたりの高性能とともに、データセンター業界で広く用いられている主要な指標と完全に一致しています。
この組み合わせの主な強みを以下に挙げます。
- 最先端のパフォーマンス AMD EPYC 9754プロセッサーは、クラウドネイティブなワークロードの要求に応えるように設計されています。プロセッサーあたり最大128個の物理コアと余裕のあるL3キャッシュサイズ(プロセッサーあたり最大384MB)で、高レベルの並列処理能力を実現します。このパワーのおかげで、並行タスクの効率的な実行が可能になり、クラウドネイティブアプリケーションに求められるスケーラビリティに対応できます。
- DDR5の驚異的な速度 マイクロンのDDR5メモリモジュールは、最大51.2GB/秒という驚異的な速度を出すように設計されており、システム内で高速なデータアクセスと転送ができます。この高い帯域幅のおかげで、大規模なデータセットをシームレスに処理し、クラウドネイティブなワークロードに求められる迅速なデータ処理に対応できます。
- 最先端の処理:マイクロンの先進的な1β(1ベータ)ノードプロセッシングテクノロジーには複数のメリットがあります。電力効率を15%改善し、エネルギー消費を最小限に抑えながら、コンピューティング能力を高めます。さらに、ダイあたりの容量が16GBとなり、前世代の1α(1アルファ)よりもビット密度が35%向上しているため、メモリ容量を増やし、システム全体のパフォーマンスを向上させることができます。
- データの整合性と信頼性の向上:マイクロンDDR5メモリに統合されたエラー訂正コード(ECC)パリティは、メモリエラーを検出して訂正することでデータの整合性を確保します。この機能は、重要データを大量に処理するクラウドネイティブなワークロードにとって極めて重要であり、潜在的なデータ破損に対する追加の保護レイヤーとなります。ECCパリティの存在によって、システム全体の信頼性と安定性が向上します。
- エネルギー効率とパフォーマンス:最新のAMD製128コアプロセッサーは、エネルギー効率に重点を置き、クラウドネイティブなワークロードに対応しつつ、卓越した電力効率を実現します。このプロセッサーは、実証済みのRAS(信頼性、可用性、保守性)機能と、x86ハードウェア・ソフトウェアとの幅広い互換性を誇ります。マイクロンのテストでは、前世代と比較してワットあたり2.68倍という大幅なパフォーマンス改善を確認しています。
AMD EPYC 9754プロセッサー、高速で効率的なマイクロンDDR5メモリ、堅牢なECCパリティ機能を活用することによって、クラウドネイティブなワークロードに最適なソリューションが登場します。この組み合わせによって、高性能コンピューティング、効率的なデータ処理、幅広いメモリ容量、信頼性の高い稼動が可能になります。これらはすべて、今日のデータセンター環境におけるクラウドネイティブなアプリケーションに不可欠です。
クラウドのメモリ内データストアの設定とベンチマーク
私たちがマイクロンならではのITクラウドネイティブ環境に近いワークロードをシミュレートするために選択したのが、Redis YCSB Proofpoint Workload Dです。このワークロードは2億5,000万行あり、それぞれのレコードサイズは2KBで、データベースの総サイズは925GBになります。
テストのセットアップでは、パフォーマンスとスケーリングに重点を置き、1台のRedisサーバーと4台のクライアントで64インスタンスを実行しました。パフォーマンスは1秒あたりのオペレーション数(ops/s)で測定し、レイテンシーが前世代と同じかそれよりも低くなるようにしながら、ワークロードをスケーリングしました。
DDR4でのテスト | DDR5でのテスト | |
プロセッサー | デュアルCPU第3世代AMD EPYC 7763(64コア、3.7GHz) | 1CPU第4世代AMD EPYC 9004(128コア、3.7GHz) |
メモリ容量 | DDR4 3200(1チャネルに1つのDIMM)1TB | DDR5 4800(1チャネルに1つのDIMM)1.15TB |
メモリ(DIMM) | 64GB | 96GB |
ソフトウェアスタック | Alma 9 Linuxカーネル5.14 | Alma 9 Linuxカーネル5.14 |
消費電力 | 321ワット | 161ワット |
1秒あたりのオペレーション数(ops/s) | 739,655 | 978,191 |
1ワットあたりのops/s | 2262 | 6064 |
レイテンシー | 0.19ミリ秒 | 0.14ミリ秒 |
結果
このテストでは、925GBのRedisデータベースに10億件のレコードをロードし、64台のインスタンスを動作させて、978,191ops/sのスループットを達成しました。この結果は、平均読み取りレイテンシーが0.14ミリ秒だった前世代と比較して32%の大幅な改善となります。特筆すべきは、第4世代AMD EPYCプロセッサーを1基搭載したシステムのテストでは、第3世代AMD EPYCプロセッサーを搭載したデュアルソケットDDR4システムよりも消費電力が47%少なくなったことです。
マイクロンDDR5メモリは、より低電圧で動作し、効率的でコア数の多い最新のAMD EPYCプロセッサーと組み合わせることができます。その結果、ワットあたりのパフォーマンスは2.68倍と大幅に向上しました。
まとめ
ここではメモリ内データベースをテストした結果を紹介しましたが、クラウドネイティブなワークロードでも同様の結果が得られます。クラウドネイティブなワークロードは通常、コンテナ化されており、マイクロサービスベースで、継続的な統合とデリバリーを行うために最新のDevOpsプラクティスを使用します。クラウドネイティブなワークロードは、サーバーレスコンピューティング、マネージドデータベース、コンテナオーケストレーションプラットフォームといったクラウドネイティブなテクノロジーやサービスを最大限に活用し、高性能、可用性、耐障害性を実現するように設計されています。
こうしたワークロードをパブリッククラウドやエンタープライズ経由で利用する最終顧客は、現在のインスタンスや既存インフラと比較して、総所有コスト(TCO)を大幅に削減できます。
マイクロンとAMDの画期的なコラボレーションや、第4世代AMD EPYCプロセッサーに搭載された96GB DDR5 DIMMの優れたパフォーマンスについて詳しくは、ぜひお問い合わせください。マイクロンの専門家チームが詳細なインサイトと技術仕様を提供し、皆さんのご質問にお答えします。データセンターの進歩について詳しく知り、AMDとマイクロンのコラボレーションによって実現する可能性についてご検討ください。
マイクロンデータセンターワークロードエンジニアリングチームのムクティカンタ・サーが寄稿しました。