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マイクロン、安全要件に関するASIL-D ISO 26262認証を受けたLPDDR5を提供

マイクロンテクノロジー | 2022年6月

自動運転車の導入が勢いを増す状況の中、機能安全に対する注目度も高まっています。車載ハードウェアシステムが安全リスクの軽減に関する各種基準を満たしていることは何よりも重要です。というのは、新たに出現している多くの先進運転支援システム(ADAS)プラットフォームに見られるコンポーネントレベルとシステムレベルの複雑性は、データセンターと同等かそれ以上だからです。実際、L2およびL3機能を備えた最新の車両の多くは、専用ビジョンプロセッサー、GPU、高性能メモリなど、データセンター用のコンポーネントやSoCをベースとしています。

ISO 26262の半導体分類

ISO 26262規格は、自動運転車の機能安全を規制する目的で作成されました。機能安全が初めて導入された当時、半導体に関する考察は限定的でした。考察がさらに進むと、状況に対処すべく、半導体に関するISO 26262規格に適応する動きが、むしろ急速に進んでいます。半導体は、Class I、II、IIIのいずれかに分類されます。この分類は、デバイスの複雑性とそれに応じて必要となる安全実装に対応しています。メモリは、システムインテグレーターによってClass IIのデバイス(安全に関して分析すべき動作モード/状態が少なく、内部の安全メカニズムを持たないデバイス)に分類されることがありますが、今日のDRAMを詳しく見ると、より少ない消費電力でより高いパフォーマンスを得るためにメモリに要求される複雑性や機能性は非常に高度であることが分かります。さらに車載メモリには、今日の非常に進歩した半導体プロセステクノロジーを採用しながら、継続的に低いコストで密度をスケーリングすることも要求されます。安全アプリケーション向けのメモリ製品は、この規格のガイダンスに従い、プロセッサー、SoC、GPUと同じ分類、すなわちClass IIIの複雑な半導体に一貫して分類すべきであるというのが、マイクロンの主張です。Class IIIに分類される要素は、ISO 26262の要件を完全に満たすように設計されている必要があります。

マイクロンLPDDR5のASIL-D ISO 26262認証

ISO 26262規格では、リスク分類システムによりA~Dの安全性レベルも定義されています。Aレベルに分類されたシステム(テールランプなど)は、故障によるリスクが最低であるのに対し、Dレベル(アンチロックブレーキなど)は最高のリスクを表します。

各種システムのASILレベル

exidaによるLPDDR5 ASIL-D ISO 26262製品およびプロセス認証の発表・導入により、マイクロンは引き続き業界をリードします。製品のASIL-D認証はメモリテクノロジーの分野で世界初であり、LPDDR5はマイクロンが今後発表する多くのASIL準拠製品の第一号です。

「マイクロンは過去4年間、ISO 26262機能安全規格の厳しい要件を満たすために開発プロセスを強化してきており、最高の完全性レベルであるASIL-Dを達成するために多大な努力を払ってきました」とexidaのCEO兼プリンシパルセーフティエキスパートであるアレクサンダー・グリーシング氏は述べています。「同社のLPDDR5デバイスファミリーは、電子デバイス技術合同協議会仕様との互換性を維持しながら、現在の業界標準をはるかに超える革新的な安全機能を備え、機能安全のためにゼロから設計されています。これらの進歩、そして業界初のISO 26262に準拠したDRAM製品をリリースすることは、半導体業界における重要な節目となり、次世代の信頼性の高い安全な自動運転システムを実現するものです」

マイクロンのLPDDR5 ASIL製品には、一般的な電子デバイス技術合同協議会(JEDEC)規格製品を超える優位性をシステムデザイナーに提供する、オンチップの安全対策が含まれています。このような優位性としては、業界のASIL-Dランダムハードウェアエラー指標を満たす故障検出機能があります。さらに、これらの安全機能は、従来のインラインECCまたは冗長性の採用に基づく安全実装や戦略と比べて、消費電力の大幅な削減、パフォーマンスの向上、メモリ効率、ボード面積の節減を実現しつつ、必要とされるシステムレベルの安全ターゲットを達成します。自動車業界に対するマイクロンの継続的な取り組みにより、LPDDR5の設計と開発は、その他の複雑なClass III製品(プロセッサー、SoC、GPUなど)に適用されるASIL-D準拠性と同等であることが保証されます。

LPDDR5チップの画像 マイクロンLPDDR5はISO 26262 ASIL-D認証済み

自動車業界への継続的な取り組み

クラス最高の機能安全ソリューションの提供に対するマイクロンの取り組みを表すもう1つの例として、マイクロンは数年前、技術者が常駐するセーフティオフィスを発足させました。その目的は、マイクロンの製品およびプロセスが安全性を念頭に置いて定義・設計されたものであることを保証し、特にASILレベルDのシステマティック故障カバレッジを達成するためです。このような取り組みに加え、マイクロンは既存のQMグレード製品に関する安全分析カタログも幅広く提供し、お客様による統合を支援しています。また、リモートからのバーチャルラボサポートを提供する車載システムラボも、多くのお客様に近い場所で、広範なグローバルネットワークとして展開しています。

マイクロンのリーダーシップソリューションおよび安全に対する取り組みについて、詳しくはマイクロンのウェブサイトをご覧ください。マイクロンの機能安全ポートフォリオに基づいて次世代ADASプラットフォームを設計すると、業界でクラス最高のASIL-D認証済みメモリを用いた設計であるという安心感が得られます。また、革新的なランダム故障低減機能を活用することにより、ボード面積、消費電力、コストを節約しながら、メモリ利用および効率性を改善できます。皆様の設計にぜひご活用ください。