メモリテクノロジーの変化が日常生活にどのような影響を与えるかを身近に感じるのは少々難しいことです。このブログ記事では、マイクロンにおける最新のNANDテクノロジーの進歩が、人間が絶え間なく増加させてきたストレージへのニーズをどう満たしているかについて光を当てたいと思います。マイクロンが業界初となる64層3D NANDエンタープライズSSDを発表したと聞くと、なぜ64層3D NANDがそれほど重要なのかと疑問に思うかもしれません。
64層3D NANDを開発したというのは、1つのメモリチップに64ギガバイトのストレージが可能になったということです。これによる影響は、評価する視点によってさまざまな意味を持ちます。自撮りをする人にとっては、ソーシャルメディアに投稿できる9,000枚以上の写真、家族の幸せな思い出を記録する10時間のハイビジョン動画、あるいは日々の生活で楽しむ15,000曲以上の楽曲を意味します。
3D NANDとは革新的なストレージテクノロジーであり、64GBのストレージを爪よりも小さなパッケージ内に収めることができます。 2000年に市場に登場した最初のNANDベースのUSBドライブの密度単位がメガバイト(MB)であったことを踏まえると、これは本当に驚くべきことです。20年足らずで業界に大きな技術的進歩が起き、現在のUSBフラッシュドライブの容量はメガバイトではなく、テラバイト単位となりました。長年にわたり、業界では世代を経るごとに電気回路の幅(1メートルの10億分の1であるナノメートル単位)を縮小することでストレージ密度を高め、ギガバイトあたりのコストを押し下げてきました。微細化が進むリソグラフィにおいて縮小化の限界が来ると、業界のリーダーたちは各デバイスの密度を高めつつ、ギガバイトあたりのコストを相対的に削減する新しい方法を必要としました。これを達成するためのNANDテクノロジーにおける最新の触媒は、3Dスタッキングテクノロジーの導入でした。ストレージの高層ビルを積層するようなイメージです。
不動産で例えると、エーカーあたりの人口密度を高めるため、街路を狭めてブロック内により多くの家を建てる方法から、住宅用の高層ビルを建てる方法に切り替えたと言えます。 また、NAND設計を継続的に改善するため、3D NAND製品では論理回路や周辺回路の新たな構築方法が導入されました。マイクロンは、「CMOSアンダーアレイ」として知られるこのテクノロジーを自社の3D NANDに追加しました。これにより、現在市場で入手可能な製品のなかでも、平方ミリメートルあたりで最も高密度で効率的なギガバイト容量を実現する製品の1つとなっています。大都市で人々の移動に不可欠な現代の地下鉄システムのように、マイクロンはストレージアレイ下のスペースを利用して、シリコン1枚あたりのビット数を増やすのに必要な物理的寸法の合計を縮小しました。
最後に挙げる重要な点として、さまざまなNANDデバイスで一貫して測定される重要なパフォーマンス指標の一つが、MB/秒で測定されるプログラミングスループットです。この指標上のパフォーマンスを改善するため、マイクロンは、ホストがデバイスを非常に効率的にプログラムし、データスループットを向上させることを可能とするクアッドプレーンNANDアーキテクチャーに取り組んでいます。NANDデバイスが洗車場、プレーンの数が車を出し入れして利用可能な洗車ベイだとすると、マイクロンはこれらのNAND設計により多くのベイ、つまり追加のプレーンを導入したと言えます。洗車場にベイを増やして洗車する車の数を多くするのと同じく、NANDにプレーンを増やすのは、NANDを通過するデータのスループットを向上させる論理的な方法です。
ストレージへのニーズが、個人用、業務用、モバイル、データセンターアプリケーションと絶え間なく需要が増加していることを踏まえると、市場のニーズを満たすために今後もテクノロジーは進化を続けるでしょう。マイクロンは、今後もNANDのストレージ容量を増やし、デバイスのパフォーマンスを向上させ、NANDの効果的な導入を拡大するための機能を生み出すための革新的な方法を見いだし続けます。ですが、私たちが歩んできた道のり、現代のテクノロジーで何が可能となったか、そして一枚一枚の自撮りを可能としている基礎的な技術進歩について振り返ると、感慨を覚えざるを得ません。