デザインツール
アプリケーション

ビッグメモリのワークロードに対応するメモリとストレージのスケーリング

ライアン・バクスター | 2021年10月

VMworld 2021の席上、VMwareが主要なメモリテクノロジーパートナー各社によるパネルディスカッションを催したとき、マイクロンもその場にいました。私にとって「ビッグメモリ ― 顧客の悩みと潜在的なソリューションに対する業界展望」というテーマで話をすることは、業界随一のマルチクラウドイベントで、メモリとストレージのイノベーションに対するマイクロンの考え方を紹介する素晴らしい機会となりました。データセンターのメモリサブシステムのパフォーマンス、回復力、スケーラビリティを改善する方法について語っている、このパネルディスカッションをご覧になることをお勧めします。(VMworldへの登録は無料です。)

Project Capitolaの発表

このパネルディスカッションで、VMwareは「Project Capitola」イニシアティブの開始を発表しました。これは、すべてのユースケースで個々のソリューションをスケーリングしながら、ビッグメモリのメリットを享受できるテクノロジーソリューションを構築する、画期的な新しいアプローチです。VMwareは他のテクノロジーリーダー企業とともに、コンピュートおよびメモリサブシステムの複雑性を簡素化する革新的な方法を提供することにより、顧客がデータセンターの変革に適応し、増加するデータを使いこなして貴重な情報に変換できるよう支援することになります。

データセンター設計者にとっての課題は、データの急激な増加を前提として、そのデータを今までにないほど速くインサイトに変換しなければならない、という要件です。そのためには、現在のデータセンターアーキテクチャーを見直す必要があります。パネルディスカッションで私が言及しているように、コンピューティングの主力であるx86アーキテクチャーなどは、今後も存続します。しかし、進化するデータセンターから私たちが学んだように、便利屋の仕事とは違って、もはやハンマー1本であらゆる問題に対処することは不可能です。今後のデータセンターは、異種混在型のコンピュート、再考されたメモリおよびストレージ階層、そしてオープンかつ非依存的なインターコネクト(Compute Express Link(CXL)など)をサポートおよび統合し、これらすべてを組み合わせて、ワークロードとともに進化することのできる、コンポーザブルなシステムを実現する必要があります。

業界が異種混在型コンピュートモデルに向かって動きつつある中で、進化するコンピュート設計とのペアリングが可能になるよう、メモリサブシステムのイノベーションが必要です。コンピュートハードウェア(CPU、GPU、FPGA、TPUなど)の選択肢が広がり、個々のワークロードに応じて差別化と最適化が行われています。メモリサブシステムも、これに適応しなければなりません。そうでないと、コンピュートは飢えてしまい、データを貴重なインサイトに変換するという重要な処理のために、潜在力をフルに発揮することができません。

顧客の視点

このパネルディスカッションで得られたもう1つの教訓は、データセンター支出と、その支出にメモリとストレージがどのように貢献するかについて、お客様の懸念に耳を傾けることの重要性です。当然のことながら、お客様は投資価値を最大化する方法を知りたがっています。投資対効果を向上させ、サーバーをオーバープロビジョニングすることなく多大なメリットを得て、コストとパフォーマンスのバランスの取れた最適なソリューションに、少ない労力でたどり着くため、エコシステムがどのように役立つかを知りたがっています。

異種混在型ワークロード、メモリ、アーキテクチャーの階層化

異種混在型コンピュートの拡大に伴い、業界ではメモリ最適化されたサブシステムに注目が集まることが予測されます。これには、メモリアーキテクチャーの階層化が含まれます。メモリ階層をどのように最適化すれば、ソフトウェアスタックに収まる多数のワークロードの異種混在性によって、パフォーマンスとコストの両面で期待に沿えるかが、エンジニアリング上の課題です。

インフラストラクチャの変革に対し、アプリケーションとソフトウェアは、かなり(おそらく数年)後れを取ることが予測されます。ハードウェアの進歩による利点をフルに活かせるよう、アプリケーションとソフトウェアを最適化するには、それなりに長い時間が必要です。エンドカスタマーの目標についての完全かつ的確な理解に加え、アプリケーション、ソフトウェア、VMwareの間で事前のエンゲージメントとコラボレーションが成立していれば、エンドカスタマーが早期にメリットを実現するのに役立つでしょう。

このようなメリットとしては、マイクロン製メモリに接続され、バックグラウンドで動作し、データの継続的な移動を支援するよう設計された、CXLなどのソリューションによる階層型メモリサブシステムのイノベーションという形が考えられます。ホット、ウォーム、コールドなデータを自動的に識別して適切な階層に移動することで、パフォーマンスの向上とソリューションの効率化に貢献します。

データセンターでは、メモリサブシステムのイノベーションが求められ、採用されつつあります。近メモリ(高帯域幅メモリ)の幅広い実装、DDR5 DRAMなどの直接接続メモリの進歩、CXLが遠メモリで実現しつつあるさまざまな技法などのイノベーションです。ソフトウェアマネージドのメモリは、コンポーザビリティの高い柔軟なインフラストラクチャの提供にも貢献します。この進化への勇気づけられるような展望の下で、業界は広範囲のワークロードで高度な価値を提供するよう前進しつつあります。

Sr. Director, Data Center Segment

Ryan Baxter

Ryan Baxter is senior director of Cloud, Enterprise and Networking at Micron.