デザインツール
ストレージ

Micron 3500 SSD:プロゲーマーとプロフェッショナルにとってのゲームチェンジャー

プラサド・アルリ | 2023年12月

パーソナルコンピューター(PC)は多機能ツールへと変化し、さまざまなユーザーにサービスを提供しています。その中でも、ビジネスプロフェッショナルとゲーマーの存在は際立っています。両者のニーズはそれぞれ異なるものの、優れたユーザーエクスペリエンスを追求しているという共通項があります。この共通の追求が、ユニークな方法でPCやワークステーションの設計を形作っています。

ソリッドステートドライブ(SSD)は、電力効率、速度、信頼性を高めることで、クライアントデバイスのユーザーエクスペリエンスを向上させる極めて重要なコンポーネントとして登場しました。クライアントSSDは、主に以下の2つのカテゴリから選択することができます。

  1. バリュークライアントSSD:このSSDは、その機能、パフォーマンス、価格の手頃さにおいてバランスが取れています。その多くは、オンボードDRAMコストを削減するためのトレードオフとして、ストレージ処理の一部をPCホストメモリバッファにファイル移動する「DRAMレス」アーキテクチャーを採用しています。1 これにより、日常のコンピューティング用途に最適で、ユーザーエクスペリエンスとコストのバランスが取れた設計となっています。
  2. パフォーマンスクライアントSSD:このSSDは、優れたユーザーエクスペリエンスを提供し、バリュークライアントSSDのパフォーマンスを上回ります。その多くは、より高いパフォーマンスと応答性を実現するためにオンボードDRAMキャッシュを搭載して設計されており、高いパフォーマンスを必要とするプロフェッショナルPCやゲーミングPCでますます人気が高まっています。

専門的コンピューティングと科学計算におけるユーザーエクスペリエンス

プロフェッショナルやサイエンティストの世界では、PCは不可欠なツールです。PCによってデータ分析やプロジェクト管理、製品開発ツールは実現します。専門的アプリケーション、業務用アプリケーション、科学的アプリケーションのユーザーエクスペリエンスの中心は、データ転送速度、信頼性、セキュリティです。

専門的コンピューティングと科学計算を行うユーザーは、複数のタスクを同時にこなすことが多いことから、最も要求の厳しいアプリケーションのための堅牢なプロセッサー、十分なRAM、パフォーマンスレベルのクライアントSSDを搭載したPCが必要になります。こうした仕様によって最適なユーザーエクスペリエンスが保証されます。

ゲーミングユーザーエクスペリエンス

ゲーム業界の急成長は、PCテクノロジーの進化に拍車をかけました。ゲーマーにとって、ユーザーエクスペリエンスの良し悪しは応答性とパフォーマンスにかかっています。ゲームは大量のリソースを必要とするアプリケーションであり、高性能なハードウェアで巨大なグラフィックスセットを素早く読み込まなければなりません。ゲーミングPCは、多くの場合、強力なグラフィックスカードと高速プロセッサーを誇ります。

パフォーマンスSSDは、ゲームのロード時間やシーン間の移行時間を短縮することで、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。

ゲーミング用DirectStorage

通常、以下の図1が示すように、SSDは圧縮されたデータを中央処理装置(CPU)に送り、解凍してからレンダリングのためにグラフィックプロセッシングユニット(GPU)に送ります。しかし、解凍には時間とCPUサイクルがかかります。Microsoft DirectStorageは、すべてのデータを直接RAMに送り、その後GPUに送ることで、この問題を回避します。これにより、データ転送、解凍、GPUでのレンダリングのプロセス全体が効率化され、CPUを迂回することができます。

図1:DirectStorageを使用しない場合と使用した場合のGPUアセットの流れ

DirectStorageを使用することで、高性能SSDの利点を最大限に生かした、より高速なデータ転送が可能になります。現在、DirectStorageを利用しているPCゲームは、Luminous ProductionsのForespoken™とBlizzard EntertainmentのDiablo IV™の2つだけです。ドライバーがDirectStorage用に最適化されることで、将来的にはより多くのPCゲームがDirectStorageをサポートすることが予想されます。

Micron 3500 NVMe™ SSD:ゲームチェンジャー

マイクロンは、Micron 3500 NVMe™ SSDを発表し、技術を向上させました。この新しいクライアントパフォーマンスSSDは、専門的コンピューティング、科学計算、ゲーム、コンテンツ制作における最も要求の厳しいクライアントアプリケーションで、業界をリードするユーザーエクスペリエンスを提供します。2

Micron 3500 SSDは、幅広い専門的コンピューティングアプリケーションでインサイトを加速し、生産性を向上させます。競合製品との比較:34

  1. ライフサイエンス、医療、科学アプリケーションは最大132%スコアが向上した。
  2. メディアとエンターテインメント、3Dモデリングとグラフィックアートは最大74%スコアが向上した。
  3. 製品開発アプリケーションのスコアは最大71%向上した。
  4. PCMark 10のスコアは最大38%向上した。
PCMark 10-512GBの棒グラフ
PCMark 10-512GBのアクセスタイム棒グラフ
図2:PCMark 10とSPECwpcベンチマークを使用した競合SSDに対するMicron 3500のスコア

Micron 3500 SSDは、業界をリードするパフォーマンスSSDによるクライアントPCユーザーエクスペリエンスでゲーミングを向上させます。Micron 3500を使用すれば、Valorantのようなゲームを最大38%高速で読み込むことができ、決定的な強みが得られます。5Micron 3500は、DirectStorageに対応し、現在そして未来のDirectStorageゲーミングに対応する未来志向の製品です。

Micron 3500は、クライアントパフォーマンスSSD用の世界初の200層以上のNANDを中心に構築されており、SSDには以下の主要機能が搭載されています。

  • 電力損失保護(保存データ)
  • ホスト制御の温度管理(HCTM)
  • DRAMを使用したパフォーマンスを向上させるためのキャッシュの高速化
  • リセットなしのファームウェア起動
  • SMBusを介したThermal SMART
  • 基本管理コマンド(BMC)
  • 電力損失信号のサポート
  • Micron Storage Executive管理ツール
  • セキュリティ6
    • ハードウェアベースのAES 256ビット暗号化
    • ブロックサニタイズ、暗号化消去
    • TCG Opal 2.02、TCG Pyrite 2.01

Micron 3500 SSDは、専門的コンピューティング、科学計算、ゲーム、コンテンツ制作など、最も要求が厳しいクライアントアプリケーションで、業界をリードするユーザーエクスペリエンスを提供します。この新しいSSDは現在、OEMおよびODMの顧客向けに出荷されています。

詳細については、www.micron.com/3500をご覧ください。

1 ホストメモリバッファについての情報は、https://ieeexplore.ieee.org/document/8868151をご覧ください。

2 Forward Insightsのアナリストレポート「SSD Supplier Status_Q2/Q3」に記載されているように、2023年8月時点のコンソールを除くクライアント向けSSDの売上高上位4社の競合サプライヤーによるクライアント向けパフォーマンスSSDにおいて。

3 脚注2の詳述どおり、社内テストに基づく。SPECwpcベンチマークの詳細については、SPECwpc V2.0ワークステーションベンチマークをご覧ください。

4 脚注2の詳述どおり、社内テストに基づく。PCMark 10ベンチマークの詳細については、https://benchmarks.ul.com/pcmark10をご覧ください。

5 脚注2に詳述した競合SSDと、Valorant™およびCall of Duty® Modern Warfareのロード時間を比較したマイクロンの社内テストに基づく。ValorantはRiot Games社、Call of DutyはActivision社が発売。

6 あらゆる状況で絶対的なセキュリティを提供できるソフトウェアやシステムは存在しません。マイクロンは、セキュリティ機能を搭載した製品の場合を含め、マイクロン製品の使用によって生じたデータの喪失、盗難、破損について責任を負いません。詳細については、https://www.micron.com/about/product-security-centerをご覧ください。

SBUのクライアントストレージ担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー

Prasad Alluri

プラサド・アルリは、ストレージビジネスユニットのクライアントストレージ担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーです。現職の前には、マイクロンの企業戦略・インキュベーション担当バイスプレジデントを務めていました。これまで、マイクロンとIntelで、製品開発、製品計画、戦略の分野においてさまざまな職務を経験しています。プラサドは、インド工科大学(ボンベイ)で学士号を、アリゾナ州立大学で博士号を、ウォートンビジネススクールでMBAを取得しています。仕事以外では、ポーカーやハイキングを楽しんでいます。

Prasad Alluri