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マイクロンは本日、パフォーマンス、容量、効率性を飛躍的に前進させるデータセンター向けNVMe™ SSDの刷新されたポートフォリオを発表しました。全製品にマイクロンのG9 NANDフラッシュを使用したこのラインアップにより、マイクロンは、データセンター向けに第9世代NANDベースSSDを導入した世界初の会社となり、旧来のフラッシュテクノロジーに立脚している競合他社を大きく引き離すことになります。刷新されたこのポートフォリオの主力ドライブは、以下の3種類となります。
- Micron 9650:この世界初のPCIe® Gen6 SSDは、非常に厳しい条件が要求されるワークロードで28GB/秒という記録的な速度を実現します。
- Micron 6600 ION:マイクロンの革新的なG9 QLC NANDをベースに、122TBの容量とE3.Sのフォームファクタで業界をリードします。近日中に245TB、E3.Lフォームファクタの発売も計画されています。
- Micron 7600:メインストリームのワークロード向けに、クラス最高のレイテンシーとサービス品質(QoS)を提供するPCIe Gen5 SSDです。AIおよびクラウドインフラの確実な拡張をサポートします。
このブログでは、各SSDのテクニカル仕様を検証し、クラウドプロバイダーやエンタープライズ顧客にとって、これらのイノベーションがなぜ重要なのかに注目しつつ、市場へのインパクトを探ります。また、G9 NANDにおけるマイクロンのリーダーシップが、パフォーマンスの向上、エネルギー効率の改善、ストレージインフラにおける総所有コスト(TCO)の削減など、具体的なメリットにどのようにつながるかも検証します。
Micron 9650:PCIe Gen6によるパフォーマンスのブレイクスルー
Micron 9650は、マイクロンの新しいフラッグシップとなる高性能ドライブであり、業界初のPCIe Gen6データセンター向けSSDです。このドライブは、AIトレーニング、機械学習、キー値キャッシュ、ベクトルデータベースインデックス、グラフベースの変換モデルなど、最もデータハングリーなアプリケーションおよびユースケースへの対応を目的として、ストレージボトルネックを排除します。Micron 9650の技術的ハイライトを以下に示します。
- PCIe Gen6 x4インターフェース:Gen5と比べてレーン速度が2倍のPCIe Gen6は、スループットの大幅な改善を実現します。Micron 9650は、最大28GB/秒のシーケンシャル読み取り帯域幅を示しており、これはSSDパフォーマンスの新記録です。実際、この数値はMicron 9550などの主要なPCIe Gen5ドライブの約2倍のパフォーマンスに相当します。ちなみに、PCIe Gen5ドライブは一般にシーケンシャル読み取りで14GB/秒前後がピークとなるので、Micron 9650が達成した速度はまさに圧巻と言えます。また、Micron 9650は最大14GB/秒のシーケンシャル書き込みも達成します。
- 巨大な入出力(I/O)レート:Micron 9650は、マイクロンの新しいコントローラアーキテクチャーとMicron G9 TLC NANDのおかげで、高キューデプスで550万ランダム読み取り入出力操作毎秒(IOPS、4K)を達成可能です。ランダム書き込みパフォーマンスは、構成によっては90万IOPSに達します。このI/O性能により、深層学習フレームワーク(TensorFlow®、PyTorch®、CUDA®-Xライブラリ使用)、データサイエンスおよびアナリティクスライブラリ(RAPIDS™、Apache Spark™、GPUアクセラレーション使用)、科学技術計算アプリケーション、NVIDIA® GPU Direct Storageを使用するワークロードなど、同時発生的かつ混合型のワークロードでも、最小限のレイテンシーで処理できるようになります。
- 高容量:Micron 9650は、業界をリードする6プレーンアーキテクチャーと、1ダイあたり3.6GB/秒のI/O速度を備えたMicron G9 TLC NANDを採用しています。これはさまざまなユースケースに適合するよう、6.4TBから最大30.72TBまでの容量で提供されます。読み取り集中型(1 Drive Write Per Day [DWPD])とミックスユース(3DWPD)の両方の耐久性モデルが使用可能であり、それぞれPROおよびMAXのラベル付きです。
- エネルギー効率と冷却:マイクロンはMicron 9650の設計に際して、速度だけでなく効率性も重視しました。インターフェース帯域幅の大きさにもかかわらず、このドライブは1ワットあたりのパフォーマンスが最適化されています。また、高密度のAIサーバー向けの液冷オプションを含む、先進的な冷却を念頭に置いた設計になっています。ドライブあたりの処理容量が大きくなり、最新のコールドプレート冷却オプションに対応するMicron 9650は、AIインフラの環境フットプリントの削減に貢献します。
Micron 9650が市場に与えるインパクトは、非常に大きいものがあります。このドライブにより、来たるべき最先端のCPUおよびGPUが、その潜在力をフルに発揮することが可能になります。たとえば、NVIDIAの新しいGPUアクセラレーション付きのサーバー(今後のRubinベースのシステムなど)は、PCIe Gen6リンクをサポートしており、Micron 9650をプラグインすれば、これらのGPUへの1ドライブあたりの帯域幅が直ちに2倍になります。そのため、データ集約型のワークロードにおけるデータの取り込みと処理を高速化し、トレーニング時間を短縮するとともに、コストの高いコンピュートリソースでスループットを改善することができます。
Micron 9650をこのタイミングで発表することで、マイクロンは先頭を切ってPCIe Gen6ストレージを市場に投入し、エコシステムを積極的に築いています。パートナー各社はMicron 9650の初期サンプルを使用し、次世代ソリューションを実証しています。たとえばComputexでは、Astera Labsが2つのMicron 9650エンジニアリングサンプルを、Hopper GPUにデータを供給するPCIe Gen6スイッチに接続して展示しました。
Micron 6600 ION:容量で新記録を樹立、TCOにおけるゲームチェンジャー
Micron 9650のテーマがパフォーマンスだとすれば、Micron 6600 IONのテーマは、コスト効率に優れた大容量です。この製品は、Micron G9 NANDテクノロジーを採用したクアッドレベルセル(QLC)ベースのドライブであり、過去に発表されたどのSSDよりも密度の高いSSDとして登場しました。Micron 6600 IONには、3つのサイズがあります。U.2フォームファクタ(容量32TB~128TB)、E3.S 1Tフォームファクタ(最大で128TBを提供)、そして近日発売予定のE3.Lバージョン(ターゲットは驚異の245TB、1つのドライブで1ペタバイトの約4分の1)です。ちなみに、従来のメインストリームのデータセンター用SSDは、約30TBから60TBが上限であり、最も高密度のHDDでさえ容量は36TBでした。したがって、Micron 6600 IONは過去の容量限界をあっさりと消し去ります。これは、以下のように大きな意義があります。
- ストレージの統合:E3.Sで1ドライブあたり122TBのMicron 6600 IONを使用すると、並外れたラックレベル密度を実現できます。1Uサーバーシャーシ1つで、フロントロードのE3.Sドライブを20個収容できます。2Uサーバーにこのような122TBドライブが40個あるとすれば、総容量は4.88PBとなります。それに比べて、標準の2Uサーバーに収容できるフロントロードのU.2ドライブは、24個です。つまり、Micron 6600 IONは、市場に出回っている既存の122TBドライブと比べて約67%高い密度を提供します。同じ量のデータを保存するのに必要なラック数が少なくなるため、床面積のコストやインフラ関連の諸経費が削減されます。実際、従来のU.2 SSDではなくMicron 6600 IONドライブを使用すると、1エクサバイトを保存するために必要なラックの数は7ラック少なくなり、データセンターのスペースを200平方フィート近く節約できます。
- HDDから装換した場合の経済性とエネルギー効率:Micron G9 QLC NANDをベースとするMicron 6600 IONは、容量中心型ワークロード向けのコスト効率に優れたフラッシュソリューションとして設計されており、従来の回転ディスクに代わる説得力のある代替手段となります。E3.Sで最大122TB、さらに、近日中に予定されているE3.Lで245TBの容量を備えた6600 IONは、ストレージを劇的に統合します。たとえば、容量の観点から122TBのドライブ1つで、3つの36TB HDDを置き換えることが可能です。それと同時に、電力消費量は数分の一まで抑えられ、はるかに低いレイテンシーと優れたスループットが提供されます。AIスケールの環境で一般的な1EBの実装では、HDDからMicron 6600 IONに移行することで、25,000のニアラインハードドライブを廃止できます。これは電力とスペースの相当な節約になります。ラックレベルでは、Micron 6600 IONは最も高密度のHDD構成と比べて、最大3.4倍の密度と3,000倍以上のIOPSを提供します。こうした結果により、1ワットあたりのパフォーマンスが劇的に改善され、TCOが削減されます。上記の数字は、最適なHDDサーバー密度(例:1Uあたり20 x 36TB HDD)とE3.Sドライブを使用したE3.Sベースのサーバーとの比較など、控えめな比較に基づくものです。顧客は最終的に、パフォーマンスに妥協することなく、インフラを統合し、データセンターのフットプリントを縮小し、サステナビリティ目標を達成することができます。
技術的な観点から言うと、Micron 6600 IONはMicron G9 QLC NANDを採用しており、世界初の第9世代QLC SSDとなっています。マイクロン独自のコントローラ、DRAM、ファームウェアを組み合わせた、この垂直統合のデザインは、強力なパフォーマンスと信頼性を実現します。このSSDは、標準のNVMeと、OCP 2.6やCNSA 2.0などのエンタープライズ機能をサポートしています (このアーキテクチャーは実績のある旧モデルのMicron 6550 IONと共通ですが、新たにMicron G9 NANDによってブーストされています)。耐久性は読み取りを焦点としており(4Kランダムワークロードで≤ 0.3DWPD)、データレイク、AIトレーニングデータ、コンテンツリポジトリなど「大量の読み取り、少量の書き込み」シナリオに適しています。この種の用途では、極端な書き込み耐久性よりも、1テラバイトあたりのコストや、密度のアドバンテージのほうがはるかに貴重です。
122TB E3.Sソリューションの導入は、ストレージ設計を一新します。低速・低コストなストレージと高速・高コストなストレージを絶えず使い分けているクラウドプロバイダーは、SSDの速度でニアライン容量を提供する、新しい選択肢を利用できるようになりました。
Micron 7600:AIとクラウド向けの新たなメインストリームNVMe
Micron G9テクノロジーポートフォリオを完成させるのは、データセンターで幅広く採用される現実的なドライブに位置付けられるMicron 7600 SSDです。人気の高いMicron 7450およびMicron 7500シリーズの後継であり、PCIe Gen5インターフェース上のMicron G9 TLC NANDおよびNVMe 2.0にアップグレードされています。Micron 7600は、Micron 9650やMicron 6600 IONほど専門的ではありませんが、特に混合ワークロードのレイテンシーや信頼性の観点で、メインストリームサーバーやストレージアレイを導入する顧客から、高く評価される有意義な改善を行っています。Micron 7600の主な機能と仕様は以下のとおりです。
- PCIe Gen5パフォーマンスの優位性:Micron 7600は、容量に応じて最大約12GB/秒のシーケンシャル読み取り、6.5~7GB/秒のシーケンシャル書き込みという、PCIe Gen5の限界内で高いスループットを提供します。このシーケンシャル書き込みは、現在市場に出回っている直近の競合他社のPCIe Gen5メインストリームドライブと比べて約27%高速です。同様に、ランダム読み取りパフォーマンスは210万IOPS(4K)に達し、他のメインストリームSSDを凌駕しています。
- 低レイテンシーとサービス品質の優位性:マイクロンは、最新のクラウドおよびAIタスクは単に最大のIOPSだけでなく、末尾のレイテンシーにも影響されやすいことを認識し、Micron 7600ではレイテンシーの一貫性を非常に重視しました。その結果、Micron 7600は同クラスで最も低い読み取りおよび書き込みレイテンシーを実現しています。99.9999%(シックスナイン)のQoS閾値においても、キュー深度256(QD256)の4Kランダムリードで1ミリ秒未満のレイテンシーを維持します。同じ条件で比較した場合、Micron 7600の読み取りレイテンシーは、さまざまな読み取り/書き込みミックスにおいて、現在市場に出回っている競合他社のPCIe Gen5メインストリームSSDと比べて55%~67%低いことが確認されています。言い換えると、(オンライントランザクション処理[OLTP]データベースや、AI推論クエリー等でよく見られる)ヘビーな混合型ワークロードにおいて、Micron 7600は、より高速ではるかに予測しやすく、これは高速なアプリケーション応答時間と、厳格なサービスレベルアグリーメント(SLA)に直結します。これらの拡張機能により、レイテンシーの影響を受けやすいシナリオで理想的な選択肢となります。たとえば、小さなランダム読み取りを大量に実行するAIレコメンデーションエンジンの場合、Micron 7600の迅速かつ一貫性のあるデータアクセスを利用して、エンドユーザーエクスペリエンスを改善することが可能になります。
- エンタープライズ級の機能:Micron 7600はメインストリームドライブとして、既存のエンタープライズエコシステムに適合する設計となっています。最新のOCP 2.6およびNVMe 2.0b仕様に加え、SPDM 1.2やTCG Opal 2.02など、業界をリードするセキュリティ仕様にも対応しています。さらに、物理的に分離された専用のセキュリティ処理ハードウェアを提供するMicron Secure Encrypted Environment(SEE)のおかげで、このドライブはCNSA 2.0およびFIPS 140-3 Level 2コンプライアンスに対応可能です。
- 電力と効率性:PCIe Gen5であるため、Micron 7600は負荷がかかると消費電力がやや増加します(約20~25W)。ただし、Micron G9 NANDの効率性とコントローラの最適化のおかげで、1ワットあたりのパフォーマンスが向上しています。たとえば、25Wで約40万の4Kランダム書き込みIOPSを実行可能です。これは、一部の競合製品と比べて1ワットあたりのIOPSが高いこと(競合製品の2倍)を意味します。また、混合ワークロードのスループットが優れているため、1個のMicron 7600で複数の旧式ドライブを置き換え、エネルギー消費を一本化しながら同じワークロードを達成できます。全体として、Micron 7600ではエネルギー使用量を抑えながらPCIe Gen5の速度を利用することができ、総運用コストを削減できます。
Micron 7600は、仮想化されたエンタープライズワークロード、クラウドインスタンス、ウェブサービスから、AI推論、エッジコンピューティングまで、幅広い用途をターゲットとしています。高速性と低レイテンシー性の魅力的な組み合わせが提供されます。つまり、トレードオフを強いられることがありません。顧客は、IOPSと一貫性を同時に手に入れることができます。
結論として、マイクロンの刷新されたポートフォリオ(Micron 9650、6600 ION、および7600)は、製品のみならず、ストレージにおける技術的リーダーシップの提示としても重要な意義があります。これら3つの製品はすべてMicron G9 NANDを採用し、TLCおよびQLCバリアントとともに、競合他社に先駆けてそのメリットを市場にもたらします。マイクロンは、データセンター向けSSDラインアップ全体をMicron G9 NANDに移行することにより、パフォーマンス、密度、効率性の向上を各セグメントで実現しています。
この先行者利益は、Micron 9650のスループットをブーストする巨大な6プレーンの並行処理、122TB E3.SのMicron 6600 IONを実現するMicron G9 QLCのビット密度の優位性、Micron 7600の改善されたレイテンシー特性など、この記事で述べた仕様に現れています。こうした優位性は、すべてマイクロンのNANDイノベーションに由来します。市場全体の観点から見ると、マイクロンが提供する速度、スケール、節約は、まさにデータセンターおよびクラウドの顧客が望んでいるものです。
Micron G9 NANDテクノロジーに基づくデータセンターSSDポートフォリオは、単なる製品発表ではありません。データセンターストレージの未来が、より高速、高密度、サステナブルになることを示すシグナルです。Micron 9650、6600 ION、および7600により、マイクロンは単に基準に遅れずについて行くのではなく、基準を設定しつつあります。