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5G、AI、エッジ、何てことだ!2021年以降の見通し

マイクロンテクノロジー | 2022年1月

たしかに、2020年は誰もが予測した状況とは違うものでした。

しかし、新年を迎え、前年に得られた新たなインサイトとともに、現在私たちが目にしているトレンドに基づいて、2021年以降に飛躍する可能性があると予測されるテクノロジーについて、私たちのエグゼクティブに意見を求めました。変化し続けるテクノロジーの世界で彼らが何を予測しているか、メモリとストレージがどのようにその変化を後押しするかについて見てみましょう。いくつか例を挙げるなら、人工知能(AI)が王道を進み、先進運転支援システムが加速し、5Gがあらゆる通信を後押しすることになるでしょう。クラウドからインテリジェントエッジ、コンシューマー機器に至るまで、こうした変化はメモリとストレージの急激な変化を促進させ、高帯域幅でエネルギー効率に優れたソリューションに対する需要を飛躍的に高めています。

とはいえ、昨年、予測不可能な状況が繰り広げられたように、実際には誰も未来を見通す水晶玉を持っているわけではありません。それでは前置きはこのくらいにして、どんな変化が待ち受けているか時のみが知るにせよ、この先に起こるかもしれないことについて予測を見てみましょう。

パンデミックがデータセンターを変貌させた

ラジ・ハズラ(マイクロンの新製品、企業戦略&コミュニケーション担当シニアバイスプレジデント)

パンデミックはデジタルトランスフォーメーションを早めました。オンラインショッピング、バーチャルミーティング、遠隔医療接続など、クラウド由来のデジタルサービスがなければ、2020年の私たちの社会構造は大きく違っていたでしょう。治療法やワクチンを記録的な速さで提供する研究自体が、データセンターでの膨大なデータ処理によって可能になったのです。このようなテクノロジーが私たちの新たなノーマル(標準)の基盤になりました。突如、AIの自己学習モデルといったものが、はるかに身近に見えるようになったのです。最高情報責任者(CIO)のリスク許容度が変化したのは、事業存続のためにより新しいテクノロジーを導入しなければならなくなったからです。このように加速した変革は、この1年でエンタープライズ全体に波及効果をもたらすでしょう。

2021年には、パンデミック後であってもリモートワークの普及が進み、クラウドの能力が加速すると考えられます。企業は、新たなノーマルへの備えをつくり出そうとするでしょう。例えば、柔軟性のある労働力のためのITソリューション拡充、オンライン商取引の継続的な成長を促進させるデータ保存の拡大、将来の医療危機に対処するための弾力的なITシステムなどが挙げられます。このような備えのために、俊敏なITインフラ、マルチクラウドソリューション、エッジからクラウドへの使用事例を後押しするための広範な接続性に対してかつてないほど需要が高まるでしょう。私たちはメモリとストレージがデータ中心のクラウドサービスを促すところに大きなチャンスがあると考える一方で、これからのエンタープライズ需要に対応するため分解や組み合わせ可能なシステムを評価するデータセンター事業者が増えるだろうと見ています。

  • エネルギー効率に優れたクラウドへの要望はさらに高まっています。組み合わせ可能なインフラへの移行は、オーバープロビジョニングなリソースを削減し、ITが環境に与える影響の増大を食い止める上で極めて重要です。情報通信テクノロジーは、2030年までに世界の電力の20%を使用するという予測がすでにあります。企業がサステナビリティを事業戦略に組み込み、AIや高性能コンピューティングのような計算負荷の高いワークロードの運用コストを削減しようとする中、エネルギー効率の良いアーキテクチャーに対する需要はますます高まるでしょう。
  • メモリとストレージの境界は曖昧になります。2021年にはサービスとしてのAIが主流になり、インテリジェンスがエッジに移行して、5Gが始動します。これらの進歩で、サーバーシステムのアーキテクチャーの仕方が根本的に変わることになるでしょう。メモリは複数のインフラのプールに拡張し、共有のリソースとなります。そしてメモリとストレージの境界は曖昧になります。もはやメモリにはDRAM、ストレージにはNANDといった考えは当てはまりません。より高速なNANDがメモリとして使用する能力を生み出し、アプリケーションは洗練度を増していきながら革新的な方法でリソースを使えるようになるでしょう。2021年には、AIの価値や爆発的な量のデータをさらに引き出すために、ストレージクラスのメモリーやメモリー仮想化など、新たな種類のソリューションを求めるエンタープライズも出てくるでしょう。
サーバーで作業するマスク姿の男性

AIがメモリとエネルギーをヒートアップさせる

スティーブ・パフロフスキー(マイクロンのアドバンストコンピューティングソリューション&新メモリソリューション担当コーポレートバイスプレジデント)

  • AIはより正確でユビキタス(遍在的)となり、従来なら「そんなことにAIアルゴリズムを使う必要があるのか?」と言われるような単純なタスクについてもさらにギャップを埋める存在となっていくでしょう。例えば、食料品店では、棚が空であるかどうかを定期的にチェックし、空であれば補充するよう店員に警告するAI対応のカメラが利用できるかもしれません。ポストコロナの世界では、非接触のエクスペリエンスを実現するために、このような使用事例にAIを採用する企業が増えるでしょう。また、ニューラルネットワークアルゴリズムがワークロードやシステムエラー修正・回復に習熟するにつれて、AIがデータセンターや5G基地局などのインフラに進出することも予想されます。
  • 単純で単一のタスクのためのAIアルゴリズムもあれば、人間の脳をマッピングする洗練されたアルゴリズムもあります。このように俊敏なAIにはかなりの量のメモリ帯域幅が必要とされ、メモリ帯域幅を追加するというのはパワーを追加するということです。研究者たちによって、1つのAIモデルを学習させるのに、米国車の生涯炭素排出量(製造過程を含む)の5倍の炭素を排出しうることがわかりました。

AIを私たちの社会に普及させようとすれば、このように膨大な電力が必要とされるのは、データセンターと地球の両方にとってサステナブルとは言えません。今後数年間で、エネルギー効率の高い方法でAIに電力を供給する新しい方法を探求するエコシステムの担い手が現れるでしょう。その探求によって、ロジックの上に3Dパッケージの中にメモリを積層することでAIアーキテクチャーがメモリに近づくことになるかもしれません。ハードウェアだけでなく、今日多くの帯域幅、そしてデータが手つかずで放置され、膨大なエネルギー量が浪費されています。そのため、今後数年間は、AIのアルゴリズムを微調整して可能な限りの高性能を実現しつつ、電力レベルを極限まで抑える方法を分析する技術者が増えるでしょう。基本的には、あらゆるデータからインサイトを引き出し、無駄がないようにすることです。

自動ブレーキ、先進運転支援システム(ADAS)が加速する

マイクロンのコーポレートバイスプレジデント兼エンベデッドビジネスユニット担当ゼネラルマネージャー、クリス・バクスター

  • 2021年には、より充実した車内エクスペリエンスと先進運転支援システム(ADAS)の採用が拡大し、その一方で、完全自律走行車には「ブレーキがかかる」可能性が高い。自動車業界は、自動車が誕生して以来これまでにないほどの大きな変化に直面しています。とはいえ、このパンデミック環境で、完全自律走行車の実装に向けたタイムラインが緩やかになることが予想されます。自動車メーカーが投資を優先し、ライドシェア会社が車両数拡大を控えることで、近い将来、レベル4・5の自律性に向けたテクノロジーを進化させるために必要なドル(資金)もマイル(走行距離)もデータも不足するからです。新型コロナウイルスにより、自律走行領域で見られるかもしれなかった積極的な導入に水が差されることになりました。現時点で、人々は公共交通やライドシェアに対しては躊躇しています。

しかし、市場の根本的な成長要因に変わりはありません。特に、コンシューマーがスマートフォンを買うように、馬力や車種よりもパーソナライゼーションやユーザーエクスペリエンス(UX)といったデジタル機能を重視して自動車を購入する傾向が強まっています。強化された接続性、大型デジタルディスプレイ、車内の完全デジタル化など、充実した機能が増加し、これらはコンシューマーにとって重要な購買差別化要因となります。自動車業界は、(場合によっては政府の指示によって)レベル2・2+のADAS機能の有効性、安全性、ドライバーエクスペリエンス改善に改めてフォーカスし、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、自動緊急ブレーキ、車線維持・変更、ドライバー監視システム、C-V2X(cellular vehicle-to-everything)通信の成長を進めています。2021年、これらのテクノロジーに対する市場は非常に強固なものになるでしょう。このような取り組みの積み重ねが、長期的には完全な自律に向けた前進につながります。

その分岐点に達したとき、自律走行車は、サービスとしてのモビリティのプロバイダーによるロボタクシーや、トラック輸送や配送ソリューションのように、まずはエンタープライズに入り込むことになると考えています。これらの領域では、完全自律に必要なコストを賄うことができ、経済的に合理的な投資への見返りを得ることができます。

「新型コロナウイルスにより、自律走行領域で見られるかもしれなかった積極的な導入に水が差されることになりました。現時点で、人々は公共交通やライドシェアに対しては躊躇しています。」クリス・バクスター(マイクロンのテクノロジー・コーポレートバイスプレジデント兼エンベデッドビジネスユニット・ゼネラルマネージャー)

クリス・バクスター(マイクロンのテクノロジー・コーポレートバイスプレジデント兼エンベデッドビジネスユニット・ゼネラルマネージャー)

新型コロナウイルスにより、自律走行領域で見られるかもしれなかった積極的な導入に水が差されることになりました。現時点で、人々は公共交通やライドシェアに対しては躊躇しています。

  • 自律型工場の完全なメリットはまだ実現していませんが、マイクロ工場へのトレンドは2021年に加速するでしょう。COVID-19パンデミックで、製造業とサプライチェーンの緊張はかつてないほど高まりました。今日でもほとんどの工場は、100年以上の歴史があるヘンリー・フォードの大規模化と集中化の原則に基づいています。分散型で俊敏で小規模なデジタルファーストの工場をエンド市場に近づけるという考え方は何年も前からありましたが、パンデミックを経て、またオンショアリングが必要とされることで、2021年には一部分野でこの移行が加速することになるでしょう。マイクロ工場は、産業用モノのインターネット(IIoT)とオートメーションの基盤の上に構築され、より機敏に、より供給源に近い需要に対応できるようになります。こうした、エッジにおけるインテリジェンスのトレンドから、スマート機器、工場、インフラを管理、接続、保全するエッジからクラウドへのプラットフォームに対する需要も促されます。多くの企業がIIoTソリューションの実装を早急に進めていますが、スマート工場におけるデータ解析の完全なメリットはまだ実現されていません。より自動化された製造業へと転換することで、データテクノロジーの進歩と採用が加速され、産業エッジでのスマートなインサイトが可能になります。
街を駆け抜けていく車、建物から放たれる光

携帯電話の未来、5G、あらゆる遠隔化

ラジ・タルーリ(マイクロンのモバイルビジネスユニット担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー)

  • 5Gは、社会的距離が取られる新たな世界へと飛翔していきます。2021年は、モバイル分野で短期的なメリットが得られるでしょう。とりわけ本年は5Gネットワークが実装され、世界的に加速が見込まれます。事実、世界の5G携帯電話の出荷台数は2020年から2021年にかけて倍増し、2021年には販売台数がほぼ5億台になる見込みです。高速通信速度と低レイテンシーにより、人々は携帯電話で真のマルチタスクができるようになります。コンシューマーは、高解像度のマルチプレイヤービデオゲームをテレビでストリーミングしながら、携帯電話で同時にビデオチャットやメールや仕事をすることもできるでしょう。2021年には、このように充実した大容量データのモバイルニーズにより、LPDDR5のような高帯域幅で低消費電力のメモリに対する需要が増加するでしょう。バッテリーを消耗することなく計算量の多い動作に対応するためにはそれが不可欠なのです。5Gのダウンロード速度が桁違いに速くなり(その結果、ユーザーは好みのテレビ番組や映画の4K動画を何度も素早くダウンロードでき)、スマートフォンに求められるストレージ容量の要件も増加すると予想されます。

さらに数年後には、新たな、改善された形で、遠隔医療、遠隔学習、バーチャルエンターテインメントが5Gによって可能になるでしょう。すでにパンデミックによって私たちはこれらを取り入れる必要に迫られていますが、最適なインフラが未整備であることは明らかです。5Gが現実のものとなり、社会的距離への文化的な転換がこのまま続くとすれば、遠隔医療のための4K・8K高解像動画、バーチャル教室での個人に合わせたAIベースの教師、タイムラグのないZoomミーティングなどが可能となりえます。2021年以降、5Gは、小売、サービス、インタラクティブスポーツ、エンターテインメントエクスペリエンスにおいて、独創的な非接触エクスペリエンスを後押しするかもしれません。サッカーのようなアリーナスポーツで、没入感のある360度のバーチャルエクスペリエンスを想像してみてください。こうしたエクスペリエンスは、同じシーンを複数のカメラでさまざまな角度から撮影し、スマートフォンがこれらのフィードを処理してリアルタイムで360度ビューを作成し、ユーザーが好きな視点を選んでリアルタイムでさまざまな角度から試合を観戦することで味わうことができます。

一方で、5Gが直ちに、または今年中には私たちの生活に革命をもたらすというのは、大げさな見込みにすぎません。革新的な使用事例を開発するには時間がかかります。3年から5年は必要かもしれません。まず、基盤となる5Gインフラとメモリとストレージを整備する必要があります。その上で、前述したような革新的なアプリケーションが現れるのです。

スマートフォンで街の写真を撮る少女

新たなゲームエクスペリエンスへようこそ

ディネシュ・バハル(マイクロンのコーポレートバイスプレジデント兼コンシューマー&コンポーネントグループ担当ゼネラルマネージャー)

  • 今後数年間のうちに、皆さんのゲームエクスペリエンスは一変するでしょう。まず、コンソールベースとPCベースの世界が衝突します。今が、純粋なコンソール世代としては最後です。Xbox Game PassやNetflixがある今日でさえ、サブスクリプションはPCやコンソールの枠を超え、あらゆるものにつながっています!コンソールは、どこでもプレイできるサブスクリプションに飲み込まれようとしています。依然、中心となる機器が必要であることに変わりはないが、デバイスや画面を超えてシームレスにゲームエクスペリエンスができるようになります。相互互換性がユビキタス(遍在的)となるでしょう。

多くの人が2020年にはバーチャルリアリティ(VR)がユビキタスになると予想していましたが、VRがブレイクするには2021年末まで待つ必要があるでしょう。なぜでしょうか? VRは、ハイエンドのデスクトップPC(~2,000米ドル)が必要なため、VRユーザーが限定されています。しかし、今後数年のうちに、5Gネットワークが広く普及し、次世代VRヘッドセットにエンベデッドコンピューティングとメモリが内蔵されることで、VRが定着すると予想されます。こうした進歩により、VR体験はPCの呪縛から解放され、ユーザーは高解像度の完全没入型エクスペリエンスを楽しめるようになるのです。

さらにその先を見てみましょう。プレイステーションやXboxが、メモリやストレージなどアップグレード可能なコンポーネントを備えたシンクライアントに形を変えるのを想像してください。お手持ちのワイヤレスゲームパッドを接続するだけで、プレイができます。思い起こしてください。中米など世界の大半は高速インターネットがつながっておらず、テレビがゲームサービスを提供するための自然なプラットフォームになっているのです。ですから、小型のシンクライアントとの相互互換性は自然な進歩です。

  • 倍、倍、倍!来年は、クラウドとマルチプレーヤーが一般的となることで、PCIeの採用が倍増し、ニッチからメインストリームへとなっていくでしょう。SSDの平均能力は倍増し、一方で従来の回転ディスク式ハードディスクは、ゲーマーがSSDによって実現されるより優れたパフォーマンスと速度を求めるにつれて廃れていくでしょう。また、より高速な3200MHzや3600MHzのRAM速度に移行する人も倍増すると見込まれます。
コンピューターの前に座り、興奮した喜びの表情を浮かべる若い女性

エッジとオブジェクト保存におけるAIの興隆

プラサド・アッルリ(マイクロンのコーポレート戦略担当バイスプレジデント)

  • AIの増加によって、エッジコンピューティングが5G基地局の近くにあることがますます重要になります。近い将来、すべての基地局、すべてのタワーにコンピューティングノードとストレージノードが設置されるかもしれません。また、多くのスタートアップ企業が、輸送コンテナのようなエッジデータセンターを都市部に建設し、Huluの動画といったコンテンツをよりコンシューマーに近いところで提供できるよう注力しています。今後数年のうちに、こうしたエッジデータセンターの採用が進むでしょう。エンタープライズやコンシューマーが、よりソースに近いところでインサイトやより迅速なサービスが受けられるよう、膨大な量のデータを求めているからです。
  • メモリとストレージの概念が変わりつつあります。2021年には、構造化・非構造化データ、ファイル、ブロック、オブジェクトのすべてを1つのリポジトリに格納するために、オブジェクト保存の利用が増えていくでしょう。AIの大規模なデータセットは、プロセスが行われる場所の近くにあることが必要です。ですからオブジェクト保存は、大規模なコールドストレージとして見るのではなく、AIタイプのワークロードに対応できるようになるものです。つまり、大容量のデータに、高帯域幅かつ低レイテンシーでアクセスが可能になります。データ集約的なAIワークロードが台頭する結果、高性能なNVMeストレージの必要性も増加するでしょう。この高性能なオブジェクト保存は、従来のコールドストレージと対照的に、フラッシュベースのストレージ上に存在するからです。こうしたニーズによって、AIのより強力なオブジェクト保存が実現できるよう、Gen4 NVMe SSDの採用が加速する可能性があります。

本記事内で行われている予測は、情報提供およびエンターテインメントのみを目的としたものです。これらの予測はマイクロンの専門家によって行われていますが、当社または当社顧客の市場に対する市場動向の指針となるものではありません。