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AI

Forest Listener:エッジAIと野生生物との出会い

ドナート・ビアンコ | 2026年1月

まずは、テクノロジーを「実現させる力」について考えてみましょう。あらゆる業界でイノベーション、スケーラビリティ、回復力を確保するには、広範な電子エコシステムの実現が不可欠です。多様なハードウェア、ソフトウェア、接続規格をサポートすることで、企業における製品開発の迅速化、コストの削減、ユーザーエクスペリエンスの向上が可能になります。広範なエコシステムは、メーカー、開発者、サービスプロバイダー間におけるコラボレーションを促進し、相互運用性の向上に貢献します。顧客向けエコシステムの実現は、どの市場でも製品に大きな価値をもたらしますが、多くのアプリケーションに広がる市場へ素早く参入できるようにするには、エコシステムの実現が何よりも重要です。マイクロンには、STMicroelectronics(STM)など、マイクロプロセッサ等の幅広いアプリケーションに対応するエコシステムパートナーが存在します。私たちは長年にわたりSTMと協力し、マイクロンのメモリソリューションを同社の製品に最適化させてきました。このようなパートナーシップは最終的に、双方のビジネスを強化し、コンシューマーと企業の進化するニーズを満たす、よりスマートでコネクテッドなソリューションの提供につながります。

複数のコンポーネントを搭載した青色の回路基板

STMの32MP7F-DK Discovery KitをマイクロンのLPDDR4と組み合わせ、Forest Listenerを開発しました。

プラットフォームとキット

静電気防止バッグを剥がし、可能性に満ちたSTM32MP257F-DK開発ボードを取り出すときは、独特な満足感があります。新しいシリコンが手元に届くと、エンベデッド開発者として興奮を禁じえません。エッジの新たな可能性を切り拓く製品であれば、なおさらです。STMicroelectronics製のSTM32MP257F-DKは、まさにイノベーションをもたらす新製品の1つです。STM32MP257F-DK Discovery Kitは、エッジAIを実現するよう設計された、開発者向けのコンパクトなプラットフォームです。私の場合、新たな可能性は森にありました。このプラットフォームは、エンベデッドエンジニアリングと自然探検を融合した、太陽光発電、AI対応のバードウォッチングコンパニオン「Forest Listener」という、自分史上最もエキサイティングなプロジェクトの1つの中心となったものです。

森の中の青いカケス

ユーラシアカケス

新種のバードウォッチャー

数週間にわたる開発とテストを終え、私は娘と連れ立って日の出の直後に森へ向かいました。いつものように、私たちは首に双眼鏡をぶら下げ、バックパックには紅茶の入った魔法瓶をしのばせ、大気中には静かな興奮の気配がありました。ただし今回は、新しい仲間と一緒です。AI搭載のスマートバードウォッチャーであるForest Listenerは、私たちと同じように森の中を見たり音を聞いたりできます。STM32のモデルZooでトレーニングした軽量のモデルを使用して、鳥の種類を現場で識別します。クラウドを使用せず、レイテンシーもなく、エッジでのリアルタイム推論のみを実行します。このデバイスを娘が三脚に取り付け、カメラを接続して電源を入れました。すると画面が明るくなり、準備完了です。ふいに1羽の鳥が視界に飛び込んできました。カメラがその瞬間を捉えます。物体検出用に最適化された1.35 TOPSのニューラルプロセッシングユニット(NPU)が、数ミリ秒で起動します。Cortex-A35が視認した内容(画像、鳥の種類、タイムスタンプ)を記録する一方で、Cortex-M33がセンサーと電力を管理します。接続されたタブレットを見ている娘の顔が輝きます。「見て、パパ!もう1羽見つけたよ!」 今度はユーラシアカケスでした。

エッジ向けの設計でアウトドアにも対応

その後、私たちは自宅に戻ってメモリカードに保存されたログをスクロールします。このシステムは、イーサネット経由で観察結果をアップロードすることも可能です。彼女は今、鳥の名前、鳴き声、パターンを覚えているところです。自然と好奇心の間にある、美しい架け橋です。このシームレスなエクスペリエンスの中核部分を担うのが、Micron LPDDR4メモリです。AI推論とマルチメディア処理に必要な高帯域幅を提供すると同時に、太陽光発電セットアップに不可欠な超低消費電力を維持します。パフォーマンスは物語の一部分にすぎません。Micron LPDDR4が真の意味で他と一線を画しているのは、長期にわたる信頼性とサポートです。STMによってSTM32MP257F-DKとの組み合わせが検証済みのこのメモリは、マイクロンの専用の長寿命ファブで製造されており、複数年にわたる安定性の高いサプライチェーンを実現します。家電製品だけでなく、過酷な現場環境でも長く使えるソリューションを構築するうえで、この製品は開発者にとってのゲームチェンジャーです。人里離れた森林、産業プラント、スマートホームなどでAIアプリを展開する場合、コンポーネントは高速で効率的なだけでなく、耐久性に優れたものが必要です。Micron LPDDR4は、エンベデッド市場や産業市場の厳しい要件を満たすように設計されており、メーカーにとって安心なサポートと可用性を約束します。

バードウォッチング以外の用途

Forest Listenerは、STM32MP257F-DKとMicron LPDDR4の組み合わせによって何が可能になるかを示す一例に過ぎません。同じエッジAI能力を利用して、製造現場では、機械の監視、異常の検出、ダウンタイムの削減が可能です。スマートホームでは、顔認識、音声制御、エネルギー監視を行うことができ、よりインテリジェントで応答性が高いプライベートな住宅を、クラウドに頼ることなく実現できます。

エッジAIを実現するマイクロンのソリューションについて、詳しくはmicron.comをご覧いただき、産業用ソリューションおよびLPDDR4/4X製品インサイトをご確認ください。

シニアエコシステムイネーブルメントマネージャー

Donato Bianco

300ボーモデムの時代からテクノロジーに魅せられてきたドナート・ビアンコは、EMEAのエコシステムパートナーと協力して事業の推進と開発に貢献しています。また、公私ともに、地域社会と環境の状況にポジティブな影響を与えるよう努めています。大学では電子工学の修士号を取得しています。

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