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自律型モビリティを地上から空中へ

マイクロンテクノロジー | 2021年10月

今週開催された高度道路交通システム(ITS)世界会議2021で、革新的な完全電動ドローンがドイツのハンブルクの空を飛びました。発表したのはアーバンエアモビリティ(UAM)のパイオニアであるVolocopterです。Volocopterは、ITSで紹介した大型貨物機VoloDroneや、都市路線用のVoloCity、VoloConnectといったエアタクシーなどのソリューションで、都市部での自動飛行という人々の夢を現実のものにする途上にあるようです。Volocopterは優れたテクノロジーのイノベーション一式を提供するだけでなく、都市部での自律飛行の基準を確立する規制機関と協力して新境地を切り拓いています。

自動車市場に参入して今年で30年になるマイクロンは、モビリティ分野での歴史に誇りを抱きつつ、常に未来を見据えています。Volocopterとの関係は、一流のイノベーターとマイクロンとの協力の素晴らしい一例です。こうした関係によって、マイクロンと顧客は、テクノロジーが実現できるものや、輸送の未来において可能になるものの限界を押し広げることができます。Volocopterとの緊密なコラボレーションを通じて、マイクロンは革新的なメモリおよびストレージソリューションに依存する次世代製品の要件を明らかにできます。たとえば、その革新的な電動垂直離着陸機(eVTOL)に使用されるソリューションなどです。

モビリティの未来を俯瞰するVolocopter

Volocopterによれば、(道路、地下鉄、鉄道トンネル、線路といった)都市交通インフラは、世界中の都市で増え続ける人口に追いついていません。電動エアタクシーや貨物用ドローンのようなソリューションは、現代の都市化によって過度の負担を強いられている輸送システムに代わる、サステナブルな新しい選択肢だというのです。

VolocopterのCCOであるクリスチャン・バウアーはこう言います。「私たちは、急速に進む都市化のニーズに応える新たなソリューションを創造して、世界中の都市が直面する課題に立ち向かいます。パートナーと協力し、私たちの電動ソリューションと、エアタクシーの乗り合いサービスに対応する都市のエコシステムで、都市モビリティにまったく新しい展望を切り開くのです。都市の上空を飛ぶことで、路上にスペースが生まれます。そのプロセスにおいて都市の要所を結ぶことによって、サステナブルなソリューションと素晴らしい新モビリティエクスペリエンスを促進しつつ、人々をもっと近づけることができるでしょう」

Volocopterのテクノロジーは、先進的な航空機動性(AAM)のサブカテゴリーであるUAMの新興分野の一部です。AAMが人と製品のための自動航空システムを対象としているのに対し、UAMはその先進的な航空機が都市とその周辺でどのように活躍できるかに焦点を合わせます。

Volocopterは、UAMソリューションを提供する真のパイオニアです。実際、2011年に同社が行った飛行は、航空史上初の有人eVTOL飛行でした。Volocopterは、オシュコシュ(2021年)、パリ(2021年)、シンガポール(2019年)、ヘルシンキ(2019年)、ドバイ(2017年)での近年の公開飛行を含め、1,000回を超える試験飛行を実施しています。同時に、この会社は自律飛行を管理するために出現しつつあるポリシーを遵守するリーダーでもあります。

「空を飛ぶ」ために必要なこととは?

UAMの商業化を目指す会社は、技術的課題を克服するだけでなく、規制基準も満たさなければなりません。欧州で使用するUAMテクノロジーの開発を管理する欧州連合航空安全機関(EASA)が発行するガイドラインでは、2030年までにUAMシステムが現地でCO2を排出しなくなることを義務付けています。Volocopterのレポートによると、同社の航空機は100%電気で作動し、飛行中に排出ガスを一切出さず、しかも驚異的な積載量(最大200kg)を誇り、都市内輸送に最適な離陸地点からの半径(40km)内を飛行できます。

エアタクシーと貨物用ドローンは、都市生活に大きく貢献する可能性があり、EASAが予測するメリットには、より安全で、より速く、よりサステナブルなモビリティなどがあります。とはいえ、EASAは、設計において以下のいくつかの要素を考慮するよう指示しているため、都市部での空の旅を軌道に乗せるのは容易ではありません。

  • 安全と安心
  • 騒音と環境への影響
  • 既存インフラとの統合
  • 関係管理機関による承認
  • 一般大衆による受け入れ

さらに、自律型航空機は、他のタイプの自律型車両と同様の課題にも直面します。たとえば、その航空機は機内の人工知能や5G接続だけでなく、航空機の飛行を可能にし、誘導し、調整するためのインテリジェントエッジアプリケーションとインフラが織りなす網にも依存します。今日世界中で起きている多くの変革と同様に、Volocopter製品のようなエアタクシーや貨物用ドローンは、高性能でコスト効率に優れたコンピュート、メモリ、ストレージのユビキタス化によって可能になります。

アーバンエアモビリティを可能にするために必要なのは村

Volocopterによると、近年のプロセッサーやセンサー、バッテリーテクノロジー、軽量構造材料の進歩により、UAMソリューションが実現可能になったそうです。これらの分野でノウハウを持つ会社とのコラボレーションやパートナーシップは、Volocopterのソリューションを次のレベルに引き上げるために必要です。

マイクロンはVolocopterに戦略的投資を行い、アドバイザーを務めています。理由の1つとして、この先登場する自動車の要件をしっかり理解することで、将来のマイクロンテクノロジーの開発に役立つことが挙げられます。Volocopter側では、その製品でマイクロンのメモリ、ストレージ、アクセラレーターのメリットを最大化する方法についての理解が深まります。

VolocopterのCTOであるアーノ・コーヴィルはこう述べています。「新しいテクノロジーには、多様なスキルセットを持つ専門家チームが必要です。マイクロンのような、Volocopterの戦略的投資家やアドバイザーは、このユニークなモビリティサービスを立ち上げるという私たちのミッションを加速するのを手伝ってくれます。コアメモリとストレージテクノロジーにおけるリーダーシップと、輸送業界向けにクラス最高の製品を開発してきた数十年の実績があるマイクロンは、もちろん、素晴らしい可能性を持つテクノロジーパートナーです」

Volocopterはまた、マイクロンのエッジ対応メモリおよびストレージソリューションが、自律型航空機の運用に欠かせないレーダーなど、現地でのインテリジェントエッジアプリケーションを実現する鍵になると考えています。

「自律飛行は、UAM事業と将来のスケーラビリティを大きく変えるものになるでしょう。Volocopterはそれをわかっているので、機体の設計でその準備をしています」と同社で自律飛行の責任者を務めるフロリアン=ミヒャエル・アドルフは述べています。「マイクロンが開発しているソリューションのように、オペレーションの安全性と堅牢性を維持するAI機能や、空間とエネルギーを効果的に活用する信頼性の高いエッジインフラは、世界各地におけるUAMエコシステムの実践と運営において、この次の時代のモビリティを推進するために極めて重要になります」

Volocopterのようなイノベーターとの関係が、マイクロンに将来の実際のアプリケーションとそれに関する要件についての重要なインサイトを与えます。それが、今日より良い製品を作り、明日のためにより良い製品を設計するために役立ちます。こうした関係は極めて重要な役割を担っており、顧客の成功を支援するというマイクロンの献身的な努力のあり方をよく表しています。

力を合わせて、モビリティソリューションを新たな高みへ

モビリティの話題の大半は自律走行が中心です。しかし、Volocopterは自律走行よりも先に自律飛行エアタクシーがユビキタスになると考えています。Volocopterは、自律型航空機と、その運用を可能にするソフトウェアおよびインフラのエコシステムが実現することで、今後2~3年以内にパリとシンガポールで商業飛行が行われると予測しています。このビジョンの実現により、昔ながらの輸送手段が限界に達している環境に物流、インフラ、公共サービス、農業、林業を改善するまったく新しい機会がもたらされるでしょう。

マイクロンは、全く新しいモビリティパラダイムを実現するというVolocopterのミッションに刺激を受けています。私たちの望みは、「空飛ぶタクシー」(AAMとUAM)がまもなく登場し、私たちの生活を向上させ、それがマイクロンのメモリとストレージを使用して製造されていることです。車載用メモリとストレージのマーケットリーダー1として、それは十分に期待できます。

1. ガートナーのリサーチレポート:Market Share: Semiconductors by End Market, Worldwide, 2020(世界のエンドマーケット別半導体市場シェア2020年版)

Volocopterのアーバンエアモビリティソリューションの詳細については、volocopter.comをご覧ください。

マイクロンが提供する業界トップの車載用メモリおよびストレージソリューションの詳細については、micron.com/automotiveをご覧ください。