データ管理者は、ITのクラウド化を進めています。アナリスト企業であるガートナーの最新の予測では、世界のパブリッククラウドサービスプロバイダーの今年の売上高は2,602億ドル(年間18.5%増)に達する見通しだとされ、この売上高は2020年までには4,114億ドルに跳ね上がると予想されています。これはパブリッククラウドのみの数字です。
それでは、採用すべきクラウドとはどのようなものでしょうか? 選択肢は多数あります。クラウド開発モデルは複数展開されており、その2大モデルとされているのが、PaaSレイヤー上の次世代クラウドネイティブアプリと、サービスとしてのインフラストラクチャ上で実行される従来のアプリです。ただし、クラウドは運用モデルであり、何かを実行する場所ではありません。実行場所として挙げられるのは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、その両方を組み合わせたハイブリッドクラウド、ダイレクトコネクトパブリック、コロケーション、ホステッドプライベートクラウドなどです。ほとんどの企業のクラウド環境は、IT合理化のためにクラウドを利用しているにもかかわらず、複雑化しています。適切なプライベートクラウドプラットフォームを選ぶには、さらに複雑さと対峙する必要があります。レイズドフロア構造にするのか、コロケーションを利用するのか、専用ホスティングを採用するのか、など、いずれも流動的な要素ばかりで、現在の状況と数年後の状況は大きく変わる可能性があります。
ITのハイブリッド化とマルチクラウド化
クラウドの初期導入では一般的に、クラウドとレガシーのハイブリッド環境で運用するIaaSが採用されます。パブリッククラウドの試用では通常、小規模なパイロットプログラムから始めて、KPIが満たされパイロットが成功したら、より多くのワークロードを移行します。パブリッククラウドの顧客になった後でも、ある理由から一部のワークロードをプライベートクラウドに残す場合があります。特に、レイテンシーが低く、セキュリティ要件が高いワークロードや、コンプライアンス要件(サーベンス・オクスリー法やその他の連邦規制など)があるワークロードなどは、そういった傾向が見られます。データの移行は、その後も継続して行われます。たとえば、パブリッククラウド上のワークロードが大規模になるにつれて、アプリケーションの所有者は、コストとスケールのメリットを考えて、アプリケーション(またはその一部)をオンプレミスに戻すことがよくあります。
結局、オンプレミスとオフプレミスのクラウドのパフォーマンス、コンプライアンス、セキュリティのバランスをとって、TCOを最適化することが、最善の対応策だということです。つまり、すべてを選ぶということです。これは、F5 Networksが昨年実施した調査でも確認されており、調査対象となったインフラストラクチャの専門家の5人中4人が、マルチクラウド環境を採用しています。
ハイブリッドクラウドには、ポートフォリオ管理の現実が反映されています。ポートフォリオには、新しいクラウドネイティブアプリケーションや、パブリッククラウドサービスに加え、仮想マシンレベルで管理される従来のワークロードなどが含まれています。ハイブリッドでは、コンピューティングとストレージを最も効率的に機能する場所に配置でき、状況の変化に応じてワークロードを移行できます。また、レガシーITインフラストラクチャへの投資から価値を引き出し続けながら、最新のクラウドプラットフォームやサービスを最大限に活用することもできます。
ハイブリッドクラウドがもたらす課題
ハイブリッドクラウドは一般的な選択肢ですが、その一方で複雑な課題もあります。実際、Forresterのクラウド専門家であるデイブ・バートレッティ氏は最近のインタビューで、「ハイブリッドクラウドは特定の実装モデルとして見るのではなく、一連の課題として捉える方が有益だ」と述べています。
マイクロンが顧客や市場関係者から聞いた課題の1つは、オンプレミスシステムの最新化に関することです。具体的には、クラウドのような俊敏性、低コスト、効率性をどのように実現するかです。マイクロンは、クラウドサービス、SaaS、XaaS(「Everything as a Service」)を提供する業界トップクラスの企業との間で築いた強いつながりを利用し、最新のクラウド開発と歩調を合わせて進んでいます。マイクロンでは、高速ストレージと永続メモリの経験を活かして、高性能のパブリッククラウド環境とプライベートクラウド環境を構築し、ストレージアレイから大容量のSSD(ソリッドステートドライブ)を備えたプラットフォームアッタッチドフラッシュへの移行など、お客様がオンプレミスクラウドを「クラウド化」できるよう支援しています。マイクロンの次世代クラウド向けインフラストラクチャおよびパートナーエコシステムは、統合クラウド配信プラットフォームを追求する組織の基盤構築にも役立ちます。
最も重要なのは、次世代とレガシー重視のIaaSアーキテクチャの両方が、ソフトウェアによって管理される直接接続ストレージに依存していることだと考えられます。一般的にクラウドネイティブプラットフォームは、データサービス層に組み込まれた機能によってデータ保護と拡張性を提供します。直接接続がIaaSに最適な選択肢となる理由は、SDS(Software Defined Storage)にあります。
ハイブリッドクラウドの複雑さがIT管理、監視、プロビジョニングの革新を推進する方法について、さらに考察していきましょう。
課題:クラウドのスプロール現象
組織がITリソースを十分に制御したり、可視化したりできなくなると、結果として、クラウドインスタンスが多すぎる、それらが稼働するクラウドサーバーが多すぎる、関係するベンダーの数が多すぎるといった事態が起こる可能性があります。これはコストがかかるだけでなく、データのセキュリティ、整合性、同時実行性を損なうおそれがあります。クラウドのスプロール現象は、サービスプロバイダーよりも、クラウドの料金を支払っているクライアントにとって、より大きな問題となっています。それでも、サーバーのタグ付けを提供しているサービスプロバイダーもあれば、スプロール化を防ぐために自動スケールアップ/スケールダウンを提供しているサービスプロバイダーもあります。どのプロバイダーでも、予算とパフォーマンスのしきい値を設定することができます。
クラウド管理を改善するためのもう1つの方法は、ワークロードの実行場所ごとではなく、ワークロードごとに管理することです。ITクラウドインフラストラクチャを最適化するには、ワークロードを理解する必要があります。マイクロンは、この分野に深い専門知識を持っています。注意が必要なのは、リソースが過剰に割り当てられている可能性のあるワークロードや、非永続的な機能で24時間プロセスが実行されている可能性のあるワークロードです。ワークロードがアイドル状態である場合や、使用されていない場合は、そのリソースを削除または削減してください。
課題:リソースのプロビジョニング
データをクラウドにアーカイブすることは初期のストレージのトレンドでしたが、IT管理者は現在、過剰なプロビジョニングをやめて、ピーク時の需要に合わせてクラウドベースの共有リソースを提供、拡張しています。さらに、複数の環境にまたがるワークロードを統合しています。これを効率的に、ダウンタイムを発生させずに管理するには、優れたクラウドコンピューティングの原則に従うことで、パブリッククラウドとオンプレミスの環境間でワークロードを動的に調整できます。IDCによれば、データロケーションの最適化を自動化することは、AI駆動型クラウドベースシステムプラットフォームに優れた成果をもたらします。クラウドサービスプロバイダーの多くは、顧客がアプリケーション開発パイプラインに統合できるよう、機械学習およびAIプラットフォームも構築しています。マイクロンは、このような目的のためにデータサイエンスを向上させるイノベーションを進めています。
課題:アプリケーションのパフォーマンス
アプリケーションをクラウドに移行することで、カスタマイズされ、過剰にプロビジョニングされ、サイロ化された従来のインフラストラクチャを排除することができます。しかし、クラウドが約束する大規模な水平スケーリングは、効率的にスケーリングして迅速な弾力性を活用するように構築されていないレガシーアプリケーションには役立たない可能性があります。リソース要件と機能によってアプリケーションを分類する方法を習得しているアプリケーション所有者とIT管理者は、クラウド機能を活用するためにアプリケーションを作成し直すことが理にかなっているかどうかを検討する必要があります。仮想化の核心となるのは、共有プラットフォーム上で複数の個別のワークロード用に、オンデマンドでコンピューティング、ストレージ、ネットワーク (またはファブリック) の動的プールを作成および再作成する作業です。調整可能なストレージは、クラウドのワークロードをホストするサーバーのパフォーマンス、耐久性を高め、レイテンシーを低減することもできます。
マイクロンのストレージとメモリ
どのようなグループに属している企業でも、アプリケーションとワークロードをクラウドに最適なものに絞り込む能力があれば、飛躍を続けることができます。SSDのグローバルリーダーであるマイクロンは、クラウドワークロードをホストするサーバーに幅広いストレージ機能を直接提供します。マイクロンの高速フラッシュストレージと永続メモリは、世界最大級かつ最も革新的なクラウド企業で、ワークロードとアプリケーションのパフォーマンス向上に役立つことを証明してきました。クラウドリーダーのAlibabaと連携してクラウドとデータセンターインフラストラクチャを設計したことで、マイクロンがデリバリーパートナー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞した経緯をご覧ください。