世界中のエンジニアは日々、データを動かすため、データから現実を創造するため、そしてデータからインテリジェンスを生み出すために、可能な限り最速のシステムを構築し、完成させようと取り組んでいます。このようなシステムには、可能な限り最速のメモリが必要です。こうしたシステムへの需要は長期にわたって継続的に増加してきましたが、その増加率はここ数年で爆発的に伸びています。マイクロンは数十年にわたり、メモリ業界の要件を満たし、それを上回る超帯域幅ソリューションを提供するという難しい課題を受け入れてきました。最近では、GDDR5Xがそれにあたります。しかしこれはすでに過去の話です。2020年問題には、次の段階の考え方が必要です。つまり新しさ、輝かしさ、大胆さを兼ね備えた何かを生み出す必要があります。それがGDDR6X、つまりメモリの再創造です。
メモリの再創造への道のり
世界最速のディスクリートメモリの誕生について、簡単に説明しましょう。
この話はまず、マイクロンの専門家がメモリインターフェースの帯域幅を拡張するためにマルチレベル信号の使用を調査し始めた2006年にさかのぼります。シグナルインテグリティの専門家は、そういったアイデアをマイクロン社内のエンジニアリングチーム全体で共有しました。チームは協力して、LPDDRデバイスに4値パルス振幅変調(PAM4)を実装し、実証試験を行いました。これはアイデアが現実となった瞬間で、実際に機能させることができました!
次のステップは、予算内でPAM4を簡単に実現できるようにすることです。デバイスの製造そのものは問題ではありませんでした。マイクロンには、各分野に秀でた優秀なエンジニアがいます。課題は、大量生産される消費者向けアプリケーションに対応するものを製造できるようにすることでした。つまり、システムコストを管理しながら、地球上で最速のディスクリートメモリを提供するということです。このイノベーションの背景について詳しくは、GDDR6Xの技術概要をご覧ください。
それが可能であることを確信した後、私たちはマイクロンのテクノロジーを活かして、現実世界のオポチュニティに対応できるようにしました。私たちの課題は、プルーフポイントを含めてコンセプトを実証し、エンドアプリケーション(コンシューマーグラフィック)の要件に適合するものを提供することでした。PAM4の価値を理解しているエンジニアはそのコンセプトを受け入れ、このアイデアは共感を呼びました。空に光る星は、ちょうどいい位置に並ぶ瞬間がありますが、GDDR6Xもまさにそのような状況でした。GDDR6Xは、このイノベーションとコラボレーションの成果であり、絶好のタイミングと努力の賜物です。GDDR6Xを実現させたマイクロンのエンジニアたちについて詳しくは、こちらのビデオをご覧ください。
GDDRXの用途
ゲーム:GDDRXの第一の用途は、ゲームです。GDDR6Xのメモリ帯域幅が大幅に増加したことで、ゲームの3Dレンダリングのリアルさが向上しています。ゲーマーは、最高の解像度、最大フレームレート、即時レンダリングによって生み出されるリアルな体験を求めています。リアリズムが多くの一般ユーザーにもたらされることで、ゲーム体験は、これで十分というレベルから、一流のレベルにまで引き上げられます!マイクロンの第1世代のGDDR6Xは、データレートが1TB/秒を超えるシステムパフォーマンスを実現します。GDDR6Xの概要については、ビデオをご覧ください。
HPC:GDDRXが使用される高性能コンピューティング(HPC)は、高度なアプリケーションプログラムを効率的かつ確実に、可能な限り高速に実行する、高度な並列計算を特徴としています。科学研究者、エンジニア、学術機関は、こういったスーパーコンピューターを利用して複雑な問題を解決しています。
プロレベルのビジュアライゼーション:高性能ワークステーションも、GDDR6Xの主な使用例の1つです。医療、プロレベルの動画後処理、天気予報、金融シミュレーション、石油・ガスなどの業界は、ハイエンドのグラフィックカードアプリケーションを搭載したワークステーションを利用して、大規模なデータセットを迅速に処理しています。
AI:GDDR6Xの主な用途として最後に紹介するのは、人工知能です。このようなコンピューティングワークロードは需要が増え続けています。そういった需要に応えるためには、より多くのデータをより高速に転送する新しい方法が、これまで以上に重要となります。
GDDR6Xは、マイクロンの世界各地のサイトで働く革新的な思想家たちの粘り強さ、忍耐力、コラボレーションのストーリーです。そうしたエンジニアの取り組みと、顧客第一主義、そして業界パートナーとの深い関わりが見事な相乗効果を成して、製造可能なイノベーションが実現したのです。