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次世代の画期的なストレージイノベーション、Micron 6550 ION

スティーブ・ハンナ | 2024年11月

人工知能(AI)のデータセットの規模と重要性が増すにつれて、従来から取り組まれてきた 「ラックあたりのストレージ容量と処理量を増やすにはどうすればよいか」というデータセンターの課題が新たに緊急性を帯びています。

これまで最も一般的に採用されてきたアプローチは、SSDの密度を2倍にして、ペタレベルの構築や次世代GPUに対応するというものでした。ところが2024年を通して、30TBを超える大容量SSDに対する需要の拡大に応えるには、2倍にするだけでは不十分だということがわかりました。

6550 ION

世界初のE3.S 60TB SSDがPCIe® Gen5のラック密度を一変


世界をリードするデータセンター向けにテラバイト(TB)/ワット/ラックあたりのパフォーマンスを最適化するよう一から設計された新しいMicron 6550 IONは、エクサスケールストレージに次世代の画期的なイノベーションをもたらします。従来のU.2 60TB SSDはz軸高さが15mmでしたが、世界初のE3.S-1T 60TBデータセンターSSDであるMicron 6550 ION1のz軸高さはわずか7.5mmとなっています。そのため、2Uあたりのドライブ数は最大40台(約2.5ペタバイト[PB])となります。従来のほとんどの60TB U.2 SSDでサポートされてきた2Uあたりのドライブ数は24台(約1.5PB)であるため、これはPCIe Gen5の最も注目すべきフォームファクタとなることが期待され、その価値の大きさは明らかでしょう。E3.Sのストレージ密度におけるこのミリメートルレベルの革命により、ラックあたりの容量(TB)は最大67%増加します2。さらに、60TB E3.S SSDは120TB U.2 SSDと比較して、柔軟性も高まっています。2Uあたりの格納データ量はほぼ変わらず(60TB E3.Sでは約2.5PB、120TB U.2では約2.9PB)、シャーシレベルのTBあたりのパフォーマンスは最大3倍向上する可能性があります3

6550 SSD ION

世界最速かつ最もエネルギー効率の高い60TB SSDがGen 5のスケーリングを一新


しかしもちろん、それだけではありません。PCIe Gen5のMicron 6550 IONは、世界的なベストセラー製品(ユニット容量別)であるPCIe Gen4 30TB NVMe SSD4の後継であり、エネルギー効率の可能性の限界をさらに押し広げています。Micron 6500 IONが当初より根強い人気を誇ってきた理由の1つは、競合する30TB QLC SSDより消費電力が20%~50%も少ないという性能の高さ5、つまりトップクラスの価値を提供できることです。

この画期的な設計により、AIのスケーリングとサステナビリティの向上に世界規模で貢献したことが評価され、Micron 6500 IONは2023年の国際イノベーション賞、2024年のエジソン賞など、世界最高のイノベーションを称える賞をいくつも受けてきました。新しいMicron 6550 IONは、より高性能なインターフェースで同じ20Wの電力プロファイルを使用することで、競合するすべての60TB SSDと比較してクラス最高のPCIe Gen5読み書き帯域幅を実現し、これまで積み重ねてきた財産を誇りをもって前進させています6。マイクロンのイノベーションの目標はシンプルで、消費電力を抑えて、パフォーマンスを向上させることです。これにより、TB/ワット/ラックあたりのパフォーマンスを向上させることができます。
 

速度も、密度も、環境への配慮も、すべてに妥協がない


マイクロンでは、サステナビリティの基準引き上げも行っています。Micron 6550 IONでは、60TBの競合製品よりもワットあたりのパフォーマンスが向上しています。さらに、このIONファミリーの新製品をPCIe Gen4の前世代製品と比較すると、ワットあたりの読み取り帯域幅が76%向上し(12GB/秒対6.8GB/秒)、ワットあたりの4KBランダム読み取り入出力操作毎秒(IOPS)が60%向上しています(160万対100万)7

AIそれ自体は、なかなかサステナブルとは言い難いテクノロジーです。ゴールドマン・サックス・リサーチによれば、データセンターの電力需要は2030年までに160%増加すると予想されています8。しかしMicron 6550 IONを使用すれば、10万台のサーバーを擁するフルスケールのデータセンターでドライブ1台あたり5Wの節電(20W対25W)が可能となり、180万本の成木が大気中の二酸化炭素を吸収するのに匹敵する環境上のメリットがもたらされます9


重要なのは、データの保存場所と保存方法


マイクロンは、データセンターのメモリとストレージの主要なカテゴリーすべてにおいて業界をリードしていることに誇りを持っています。たとえば、エネルギー効率に秀でているHBM3Eエネルギー効率がトップクラスの大容量DDR5サーバーDRAM卓越したパフォーマンスを発揮するAI向けSSD、最もエネルギー効率に優れている、ネットワーク化されたAIデータレイク向け60TB SSDなどが挙げられます。AIサーバーのメモリとストレージのあらゆるレベルにおいて、マイクロンは効率を優先しています。つまり、年間の電力と冷却の運用コストを削減しながら、よりカーボンフレンドリーな方法でデータの価値を引き出す製品を生み出しています。

マイクロンにはNANDテクノロジーをけん引してきた歴史があります。その歴史を活かし、Micron 6550 IONでは、競合する60TB SSDから1~3世代進化した10革新的なMicron G8 TLC NANDを採用し、本質的に高速かつ高密度で環境に優しいドライブを実現しています。速度にも、密度にも、環境への影響にも、妥協など必要ないのです。

Micron 6550 ION SSDがもたらす主要な5つのメリット

  1. 60TB SSDのクラス最高のパフォーマンス6
  2. エネルギー効率の向上により、消費電力が20%削減され、年間運用コストが低減6
  3. 業界をリードする耐久性により、ドライブが長寿命化6
  4. 業界最高レベルの60TBセキュリティでデータを保護6
  5. 世界初の60TB E3.Sフォームファクタにより、ラックあたりの保存容量が最大67%増加2


妥協することなくIT予算を最大限に活かす方法、その答えがMicron 6550 IONにあります。


おすすめのリソース

1 Micron 6550 IONの発表時点で公開されている情報によると、60TBのE3.SフォームファクタSSDはどの競合他社からも提供されていない。

2
60TB Micron 6550 ION SSD E3.S-1Tを20個のE3.Sベイを備えた1Uサーバーに搭載した場合(60TB x 20 = 1.2PB/U)と、競合他社の60TB U.2フォームファクタを備えた2U 24ベイサーバーに搭載した場合(60TB x 24 = 1.5PB/2Uサーバー = 0.75PB/U)を比較し、改善率を算出。

3 20個のE3.Sベイを備えた1Uサーバー2台に61.44TB Micron 6550 ION SSD E3.S 1Tを搭載した場合(2Uサーバーで61.44TB x 40 = 2.5PB)と、2U 24ベイサーバーに競合他社が発表した122.88TB U.2フォームファクタSSDを搭載した場合(2Uサーバーで122.88TB x 24 = 2.9PB)との比較に基づく。競合する可能性のある122.88TB U.2 SSDのパフォーマンスの想定は、このドキュメントの発行日時点で入手可能な公開情報に基づく。

4 Forward Insightsのレポートに記載の、世界の全SSDベンダーの2024年第2四半期出荷台数に基づく。

5 テキサス州オースティンにあるマイクロンデータセンターのワークロードエンジニアリングチームが実施したテストに基づく。テストされた競合製品は、30.72TB Solidigm® D5-P5316(2024年7月時点で、市場で最高のパフォーマンスを誇るQLC SSD。AIストレージのワークロードの重要な指標である書き込み/読み込み帯域幅のデータシート仕様に基づく)。概念的な比較を容易にするため、競合製品の値はすべて小数点以下を切り上げ、競合製品を有利にするためにマイクロンの値はすべて切り捨てた。

6 パフォーマンスおよびその他の比較に関する記述は、このドキュメントの発行日時点で入手可能な公開情報およびマイクロンのエンジニアリングテストに基づく。電力効率とは、実行された作業単位を、作業の実行中に消費された電力で割った値を指す。作業単位の例には、IOPS、MB/秒、1秒あたりの操作、サンプルレートなど、データセンターのストレージ関連の活動が含まれるが、これらに限定されない。Micron 6550 ION SSDは、公開データシートのパフォーマンス仕様に基づくと、2024年11月にMicron 6550 IONが発売された時点でNANDメーカーから入手可能な唯一の比較可能な61.44TB QLC SSD競合製品、Solidigm® D5-P5336およびSamsung® BM1743と比較して、消費電力が20%少ない(20W対25W)。

7 2024年11月時点でのMicron 6550 IONとMicron 6500 IONの公開データシート比較に基づく。

8 AI is poised to drive 160% increase in data center power demand | ゴールドマン・サックス - 2024年5月:AI is poised to drive 160% increase in data center power demand | ゴールドマン・サックス

9 節電の計算方法の詳細は、Micron 6550 IONのサステナビリティのメリットに関する動画を参照。

10 NANDの世代は、NAND業界の同等の世代番号を基準としている。Micron 6550 ION SSDではMicron G8(232層)NANDを使用、Solidigm D5-P5336では192層QLC NANDを使用(1世代前)、Samsung BM1743では176層NANDを使用(1世代前)、Western Digital Ultrastar DC SN655ではBiCS5を使用(3世代前)。比較は、この資料の公開時点で公表されていた情報に基づく。

Director, Product Management

Steve Hanna

Steve Hanna is Director of Product Management for Micron’s Data Center Value SSDs. Steve’s products have won the world’s highest innovation honors and the Micron 6550 ION is his sixth straight “world’s first” product developed by starting with the customer and working backwards to arrive at a breakthrough solution.