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マイクロン、極限のDRAMオーバークロックに注力

人には限界を押し広げたいという習性があります。私たちは、総合格闘技、ウルトラマラソン、ホットドッグ早食い競争などの過酷なアクティビティを競技にします。最高を目指そうという人間の渇望は、ロボットとの戦いや、お気に入りのゲームのスピードラン、高速ドローンレースなど、私たちの趣味やテクノロジーの領域にまで広がっています。

どのようなアクティビティでも、人間は少しでも早く、少しでも上手になろうと努力します。これまでも、これからもずっと変わらないでしょう。

Micron Technologyも例外ではありません。この巨大半導体メーカーは、最近、極限オーバークロックの分野の新たな挑戦に注力しています。マイクロンは、この分野でDRAMパフォーマンスの世界記録を再度破りました。

オーバークロックについて耳にしたことはないですか? 心配することはありません。これから詳しくご説明します。とりあえず、これは、ドラッグレースカーを微調整してエンジンからパワーとパフォーマンスを最大限に引き出すメカニックのようなものだと考えてください。オーバークロッカーは、最速のマイルや時速キロメートルを追い求めるのではなく、1秒あたりの最大のメガ転送(MT/s)を追い求めます。レーストラックを疾走するのと同じように、オーバークロックにも独特のハラハラ、ドキドキがあります。競技オーバークロッカーは、コンピューターを最高速度まで上げ、液体窒素で過熱したハードウェアを冷却します。ほとんどの場合、ハードウェアが壊れて幽霊のような霧状の蒸気が出るまで冷却します。

スタヴロス・サッヴォポウロスとフィル・ストレッカーは、マイクロンのCrucial BallistixゲームDRAMを使用して世界記録を打ち立てました。このペアは、オーバークロック ゲーム システム(一般的にリーダーボードではOGSと表示)を操作し、2020年5月現在、オーバークロックのキャリアランキングで1位を獲得しています。PC愛好家向けウェブサイト、HWBOTは、およそ30,000の競技オーバークロッカーを追跡していますが、そこでOGSがトップにランクされています。

システムが世界記録に近づく場面でも、サッヴォポウロスとストレッカーは平然としているように見えることがあります。サッヴォポウロスによると、そうではないそうです。

「異常なプレッシャーがあります。ハードウェアの限界はわかりません。まったく、非常に張り詰めた状況になります」。

オーバークロックとは?

マザーボード、CPU、DRAMなどのコンピューターのコンポーネントは、タイミングを合わせた電子パルス、つまりクロックサイクルで動作します。部品のパフォーマンスを上げると、より高速なクロックサイクルを処理できるため、低品質の部品に比べて、1秒間に多くの操作を実行できます。

オーバークロッカーはPCのBIOSを掘り下げ、内部設定を変更して、コンピューターを、製造元が認定した状態よりも、速く動作するようにします。オーバークロックにミスがあると、問題が解決されるまでオペレーティングシステムが起動できなくなることがあります。また、システムを過度に酷使するとハードウェアが破損することもあります。

スタヴロス・サッヴォポウロス、OGS

「とんでもないプレッシャーです。ハードウェアの限界がわからないんです。まったく、非常に張り詰めた状況になります」。

多くのゲーマーやPC愛好家が、パフォーマンスを向上させるためにPCをオーバークロックしており、それにより、多くの場合、その過程で高価な部品のコストが節減されます。たとえば、リグを使用しているゲーマーは、通常、システムをオーバークロックして1秒あたりのフレーム数を増やすことで、ゲームプレイを向上させます。どの程度の違いが生まれるかは、部品によって異なります。自動車レースでは、トランスミッションがパワーに対応できるほど頑丈でなかったり、シャーシが巨大なトルクでねじれて歪んだりすると、馬力エンジンが大きくてもあまり意味がなくなります。同様に、サスペンションとタイヤがコースに適していなければ、これらのどの特性もレースに勝つのに役立ちません。

サッヴォポウロスはこう言います。「愛好家が基本入出力システムの設定を変更する際にはいつでもわずかにリスクがありますが、YouTube、Reddit、愛好家向けウェブサイトなどのプラットフォームから初心者向けガイドが豊富に提供されているため、基本的なオーバークロックはかなり普通のことになっています。これは特にゲームコミュニティでいえることです。

YouTubeで少し調べるだけで、無料でパフォーマンスを上げられます。まったくばかげています。ありがたいことに、その情報は誰でも無料でたやすく手に入れることができます。

PC愛好家によるオーバークロックをプールへの飛び込みに例えるならば、サッヴォポウロスやストレッカーなど、世界記録を追い求める人は、ハイダイビングをしているといえるでしょう。

システムを限界点まで押し上げて、速度を上げているのです。文字どおりに。追加の冷却を行わないと、コンポーネントの温度が上昇して故障し、場合によっては熱によって目に見える損傷が発生します。ファン、ヒートシンク、液体冷却、熱電冷却が機能しないと、オーバークロッカーは液体窒素に変わります。つまり、華氏マイナス321度またはそれ以上の低温になります。部品の温度が低すぎて最適なパフォーマンスを発揮できないとき、オーバークロッカーはガストーチを使用して部品を温めます。

普通の子供が取り組むことではありません。

2008年、サッヴォポウロスが十代のころ、両親は良い成績を達成すれば、予算内でコンピューターを買い与えると彼に告げました。

サッヴォポウロスが懸命に調べた結果、最高のコンポーネントは高価で手に入らないことがわかりました。彼は、伝説的なオーバークロッカーである、Hipro5、Kingpin、Shaminoについて言及したオーバークロックに関するPC雑誌を読みました。成績を達成して、PCを手に入れてから、それらのエキスパートが彼のミューズ(智の神)になりました。

彼は、まるで10代前半の学生にとって、そのことが当然のことであるかのようにいいました。「もちろん自分でコンピューターを組み立てました。14歳の頃は自信過剰だったかもしれません。しばらくしてから、マザーボードを改良し始めました。その後、お金を貯めて、ハードウェアを売り、年に3回コンポーネントをアップグレードしていました」。

もちろん、サッヴォポウロスはこれらの部品をオーバーロックしました。彼は夢中でした。仲間には理解されませんでした。

彼は言います。「みんなから宇宙人みたいに見られました。学校でフットボールやバスケットボールを一緒にやっていた友人たちは、オーバークロックに対する私の熱意を理解できませんでした」。

コミュニティの成長

サッヴォポウロスによると、オーバークロックは永遠にゲームと結びつくということです。もちろん、スタートはコンピューターへの興味ですが、もっと多くのことが関係しています。アクションの激しさが頂点に達すると、ゲームは立ち往生します。ゲーマーたちは、ハードウェアのパフォーマンスを最大限に引き出して、ゲーム内のグラフィックをよりスムーズにし、爆発の嵐からの唯一の生存者になったときに(つまり、システム上で最もグラフィックを集中的に使用するときに)放出するアドレナリンをもっと高めたいと考えています。競技オーバークロッカーはゲームをプレイしながら育ちました。サッヴォポウロスは今でもゲームを楽しんでいます。ハードウェアを限界まで押し上げることで、同じような興奮を体験できると彼は語りました。

「オーバーロックは別の理由でその体験を楽しめます。競争に勝ちたいという理由です。特定の速度、特定の周波数で動作するように設計されたコンポーネントを入手し、それをさらに押し上げます。

現在、様々なレベルで数万人のオーバークロッカーが競い合っています。そして計り知れないほどさらに多くの人がDiscord、HWBOTフォーラム、オーバークロックに関するサブレディット(約10万人のメンバーが所属)に参加または存在しています。サッヴォポウロスは、自分とストレッカーは、世界記録を競う世界の上位50人ほどのオーバークロッカー全員を知っていると言いました。最高のオーバークロッカーたちは、ソーシャルメディアで互いにフォローしています。

スタヴロス・サッヴォポウロス、OGS

「みんなから宇宙人みたいに見られました。学校でフットボールやバスケットボールを一緒にやっていた友人たちは、私のオーバークロックに対する熱意を理解できませんでした」。

共通の欲求にかられた友好的なグループでした。メンバーはイベント会場でじかに会い、ある時点までは、情報を共有します。

サッヴォポウロスは言います。「みんなでビールを飲むときは競争心を出さないようにします。友人でも、気の合う仲間でも、結局は競争することになります」。

重要なマイクロンのダイ

競技オーバークロッカーはスポーツに真剣に取り組みます。ハードウェアの問題だけではありません。高級な部品でも、同じモデルでも個々のパフォーマンスは異なります。あるCPUが、まったく同じブランドとメーカーの別のCPUよりも、かなり早く最高速度に達する可能性がありますし、オーバークロッカーが電源ボタンを押す前に記録の試行が終了する可能性があります。

サッヴォポウロスとストレッカーが複数の世界記録を達成したときに使用したCrucial® Ballistix® MAXゲーミングメモリは、同じDRAMです。マイクロンが製造した同じ部品を使用しており、Crucialが提供しています。メモリスティックにマイクロン製の部品が確実に使用されるようにするには、Crucial Ballistix MAXを注文する必要があります。Crucialはマイクロンのブランドだからです。

スタヴロス・サッヴォポウロス、OGS

「メモリをオーバーロックすることのメリットは計り知れません。日常的なタスク、ゲーム、その他のすべてで得られるこのメリットは、以前では考えられませんでした」。

オーバークロックに関しては、コンポーネントが大きな違いをもたらします。いくつかの会社がDRAMを作っています。マイクロンは、砂からシリコン、開発、流通に至るまで、生産のあらゆる側面を管理する、非常に数少ない垂直統合型企業の1つです。他のほとんどのゲーミングDRAMブランドは、他のメーカーが製造したコンポーネントを容器に詰めて組み立てます。Crucialのゲームメモリは垂直統合されているため、マイクロンのエンジニアはBallistix MAXで使用するコンポーネントを開発して微調整し、オーバークロッカーが求める特別なMT/sを達成する可能性を最大限に高めます。

サッヴォポウロスによると、OGSが記録への挑戦に使用するほかの部品に貢献しているチームも、同じ様な努力をしています。準備には数か月を要します。

努力は報われるとサッヴォポウロスは言います。かつてはCPUやグラフィックカードの二次的要素だったメモリが、記録を打ち立てる上で重要な要素となりました。しかし、現在の世代のCPUは前世代のものよりも高性能であるため、Crucial Ballistix MAXのようなトップエンドのメモリの持つ、オーバークロックに関する潜在能力はまだまだ底知れません。

サヴォプロスは言います。「メモリをオーバークロックするメリットは計り知れません。メモリのオーバークロックによるメリットは驚くべきものです。日常的なタスク、ゲーム、その他のすべてで得られるメリットは、以前はありえませんでした」

免責事項:オーバークロックにより、一部のコンピューターシステムの部品が損傷し、保証が無効になる場合があります。オーバークロックはパソコン部品の損傷の原因となることがあります。その場合でもマイクロンは一切の責任を負いかねます。保証範囲の詳細については、特定の購入者契約をご覧ください。CrucialとMicronは、オーバークロックの結果としてコンピューターシステムの部品に生じたシステムの損傷に対する責任を負いかねます。