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マイクロンのメモリを搭載したUhnderのデジタルレーダーが自動車用ADAS(先進運転支援システム)を推進

マイクロンテクノロジー | 2021年12月

エッジでのインテリジェンスの強化

先進運転支援システム(ADAS)と自動運転テクノロジーは、人間の能力を超えるセンシング機能を自動車にもたらします。たとえば、目に見えない物体を認識する、人間のドライバーよりも速く自動緊急ブレーキ(AEB)を作動させるなどの機能です。こうした機能は、車両周辺の重要な環境データを捕捉・追跡するカメラ、レーダー、ライダーからなる知覚システムを利用しています。

レーダーには人間の視覚能力を超えた感知が可能です。人間の目、カメラ、ライダーでは限界がある雨、雪、霧のような状況でも、距離や速度を感知できます。ただし、従来のレーダーはアナログテクノロジーに基づいているため、画像の解像度や信号干渉に関してシステム的な弱点があります。マイクロンの顧客であるUhnderは、そうした弱点を克服するUhnderのデジタルレーダーこそ、次世代ADASや自動運転の未来に向けた答えであると考えています。Uhnderは、大手のティア1自動車テクノロジー会社と共同で、世界初の自動車向け商用デジタルレーダーを開発しており、2022年に路上走行車両に搭載する予定です。

レーダーの機能を拡張するUhnder

Uhnderによると、同社は車載用デジタル画像レーダーオンチップ(RoC)を初めて提供する会社です。Uhnderが採用しているのは、車載レーダーで従来使われてきたアナログ周波数変調連続波(FMCW)アーキテクチャーではなく、デジタルコード変調(DCM)です。同社によると、この画期的なアーキテクチャーは、アナログレーダーよりも最大16倍優れた角度分解能を可能にします。DCMアーキテクチャーでは、各送信機を100京(10の18乗)のユニークなコードのうちの1つで識別して干渉を最小限に抑えます。また、高コントラスト分解能(HCR)のおかげで、デジタルレーダーは互いに隣接する物体をうまく識別できます。

Uhnderのチップ担当バイスプレジデントであるマックス・リーバーマン氏はこう述べています。「現在の自動車でADASの機能と信頼性を向上させ、完全自動運転(L4/L5)に至るまでの課題を克服するには、車載レーダーシステムで精度と識別性を向上させるだけでなく、方位角と仰角の解像度も大幅に向上させる必要があります。私たちはデジタルレーダーを使うことで、交差点を曲がった後で道路を横断している歩行者がいることや、駐車した車の後ろから道路に飛び出してくる子ども、トンネルの入り口や橋の下で立ち往生している車、車やガードレールのすぐそばで自転車を走らせている人を検知できるようになります。アナログレーダーでは、正確かつ確実にそうした検知を行うことはできません」

解像度とフレームレートが上がるにつれて、ほぼリアルタイムで処理し、対処しなければならないデータ量も増えます。そうした対処には、高帯域幅のメモリソリューションに支えられた高性能な処理エンジンが必要です。

UhnderのCTO兼共同創立者のカーティス・デイビス氏は、次のように述べています。「生成されるデータは最大毎秒32GBです。1秒にブルーレイディスク1枚分ほどというイメージです。転送して、チップに戻さなくてはならないデータの量は膨大です」。同様に、6つのデジタルレーダーで生成されるであろうデータ量も膨大であり、Uhnderの試算では、1日20ペタバイトになります。

マイクロンのメモリとストレージは、デジタルレーダーのような新しいテクノロジーに対応可能

低いレベルのADASでも高性能メモリが必要ですが、デジタルレーダーの統合など、さらに高いレベルになると、要求されるパフォーマンスはいっそう高くなります。レーダーを24GHzから最大76~81GHzに引き上げ、アナログからデジタルにすると、システム要件が一気に上がります。他のインテリジェントエッジセンシングアプリケーションと同様、迅速な応答が求められるため、データはレーダーセンサーで直接処理してから他のシステムに送信しなくてはなりません。

デイビス氏はこう説明します。「メモリ帯域幅はレーダーのパフォーマンス、解像度、精度を左右します。次世代モビリティアプリケーション向け高解像度デジタルレーダーの知覚センサーを実現するには、マイクロンのメモリテクノロジーとソリューションがもたらす帯域幅が必要です」

デイビス氏の予測では、Uhnderの次世代レーダーにはさらに広い帯域幅が必要になります。マイクロンの車載用LPDDR5Xは、次世代のデジタルレーダーシステムを稼動させるために必要な帯域幅を提供します。マイクロンの車載用LPDDR5Xはまた、JEDEC(電子デバイス技術合同協議会)規格に完全に準拠しており、自動車産業の認証制度であるAEC-Q100やIATF16949に適合し、生産部品承認プロセス(PPAP)に対応しています。

マイクロンのエンベデッドビジネスユニットのマーケティング担当バイスプレジデントであるクリス・ジェイコブスは次のように述べています。「マイクロンには、車載用メモリとストレージソリューションの優れた製品ラインナップがあります。UhnderのデジタルレーダーソリューションをはじめとするセーフティクリティカルなADASアプリケーションに最適な製品群です」

デジタルレーダーなどが進歩した結果として自動車データが急増する中、車載メモリとストレージのインフラはその重要性を増しています。メモリはUhnderのシステムを構成する重要なコンポーネントの1つであるため、Uhnderはそのイノベーションを促進するために、最先端テクノロジーと実績を備えたパートナーを選びました。

マイクロンは30年にわたり、車載用メモリとストレージソリューションを提供するリーダーとして、業界全体の技術的なイノベーションと変革を支えてきました。マイクロンの自動車向けソリューションへの継続的な投資と幅広い車載製品ラインナップは、現在もこれからの30年間も、グローバルエコシステム全体における信頼できるアドバイザーとしてのマイクロンの役割を確固たるものにするでしょう。

Uhnderのデジタルレーダーに関する詳細は、uhnder.comをご覧ください。

マイクロンが提供する業界トップの車載用メモリとストレージソリューションの詳細については、micron.com/automotiveをご覧ください。