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SSD

コネクターに、ケーブルに、トランシーバー!問題は多岐にわたります!

アンソニー・コンスタンティン | 2025年9月

この3年間、私はSFF(SFFは頭字語ではありません)という技術作業グループの責任者を務めてきました。SFFの目的は、「ストレージメディア、ストレージネットワーク、プラグ着脱可能なソリューションの技術仕様を策定し、ケーブル、コネクター、フォームファクタのサイズ、筐体の寸法、管理インターフェース、トランシーバーのインターフェース、電気インターフェース、その他の関連する技術など、多岐にわたる既存の業界標準策定作業を補完する」ことです。端的に言えば、そうした技術を扱うテクノロジー企業から集まった代表者がそれぞれの技術を互いにどうつなげるか、その方法を定めるのがSFFの役割です。SFFが発足したのは35年ほど前であり、2.5インチHDD/SSD、3.5インチHDD、EDSFFなど、現在使用されている多くのサーバーベースストレージのフォームファクタについて規定してきました。

SFFはSSDフォームファクタの仕様を定めていますが、その大半を占めるのは、さまざまな種類のコネクターやケーブルに関する仕様、トランシーバーに関する仕様、システム周辺機器の動作を呼び出すその他の仕様です。では、なぜストレージに携わる担当者はこれを重視するのでしょうか。SSDはサーバーの中にあります。そのサーバーには、最終的にエンドユーザーのもとに届くべきデータが保管されています。つまり、ユーザーがデータを必要とする場合、データはSSDからコネクターへ移動し、ケーブルを介してさらに別のコネクターに移動し、あるボードにルーティングされ、プロセッシングユニットを経由してシステムボードに戻り、再びコネクターを通って最終的にトランシーバーに移動する必要があります。データはこうした移動を繰り返します。こうした各コンポーネントの開発はそれぞれ独立して行われますが、常に何らかの制約が発生します。それは、スループット、電力、コスト、スペースの問題であることもあれば、これら複数の要素が結びついた問題であることもあります。

SFF-TA-1002 1Cおよび4C+コネクター

図1:SFF-TA-1002 1Cおよび4C+コネクター(参考:https://snia.org/sff/specifications

問題解決:以下に例を挙げ、SFFがこうした問題にどのように取り組んでいるかをご紹介します。

SSDとネットワークインターフェースカード(NIC)のコネクター:EDSFF SSDとOCPが策定したOCP NIC 3.0は、どちらも同じコネクター(SFF-TA-1002と呼ばれるコネクター:図1を参照)を使用します。このコネクターは、最終的にデバイスのスループットに影響を与える可能性があるため、非常に重要です。このコネクターはPCIe® 6.0に対応するように設計されており、顧客が導入しやすいようになっています。OCP NIC 3.0を改善するために最近加えられたバースト電流許容量などの機能により、コネクターの機能が拡張されました。これにより、NICの処理能力向上を図ることができます。

SFF-TA-1016およびSFF-TA-1035ハイブリッド直交コネクター

図2:SFF-TA-1016およびSFF-TA-1035ハイブリッド直交コネクター(参考:https://snia.org/sff/specifications

プロセッシングユニット(xPU)/スイッチとSSDの接続:これについては、ブログ「U.2は成功を収めたが、これからはEDSFFの時代」でも取り上げました。スループットが上がれば、シグナルインテグリティに関する新たな課題が生まれます。SSDのスループットを向上させるためには、こうした課題を解決する必要があります。この問題の解決策の1つが、シグナルインテグリティの制約をいくつか取り除くことです。これを実現するために開発したのが、ハイブリッド直交コネクターです(図2)。このコネクターは、SSDを狭い方の側面から差し込めるように設計されているため、エアフローを改善できます。コネクターの高速PCIe信号は、xPUやスイッチの近くに配置可能な別のコネクターにケーブルで接続されるため、シグナルインテグリティが向上し、PCIe 6.0のように高速化が可能となります。

スレッドからラックへのスイッチ、またはラックからラックへのスイッチ(TOR):イーサネットの速度向上に伴い、スループットの要件を満たすためにトランシーバーも進化する必要があります。SFFではそのための機械コンポーネントの仕様を定めています。SFFは先日、QSFP2仕様の更新版を公開しました。今回の更新では、コネクターと機械要素の最大速度をレーンあたり最大224Gb/sに引き上げ、1つのコネクターあたり最大800Gb/sの速度を実現可能としました。これを実装するには、電気的にも機械的にも課題があります。電気的性能を向上させるには、プラグとレセプタクルの機械的公差、さらにはプラグとレセプタクルがラッチする方法を厳密にする必要があるためです。この仕様に変更を加えないと、SSDあたりのスループットやスレッドあたりのSSDの数が制限されることになります。

SFF-TA-1016およびSFF-TA-1035ハイブリッド直交コネクター

図3:SFF-TA-1027 QSFP224 1x1ケージおよびコネクター(参考:https://snia.org/sff/specifications

次なる問題:SFFは上記のようなさまざまな問題に取り組んでいますが、高速化を求める市場の声がやむことはありません。AIの進歩により、データ移動の重要性はいちだんと増しています。SSD、ケーブル、コネクターのすべてが必要なスループットに対応できるように、今後1年以内にPCIe 7.0に関する作業を開始する必要があります。また、ラック、スレッド、xPU間の接続に対応するために、448Gb/sのイーサネットやその他のプロトコルに関する作業も必要となります。SFFではすでに、こうした作業に向けた取り組みを開始しました。私はメモリとストレージを扱う会社で働いていますが、こうした問題を解決することで、顧客が私たちの製品を活用するための適切なシステム環境を整える手助けをしているのです。

マイクロンのコアデータセンタービジネスユニット、テクニカルスタッフ優秀メンバー

Anthony Constantine

アンソニー・コンスタンティンは、マイクロンのコアデータセンタービジネスユニット(CDBU)でストレージ標準を担当する、テクニカルスタッフの優秀メンバーです。SNIAにおいては数多くの技術仕様の策定に貢献し、現在はSNIA SFF TWGの共同議長を務めています。