デザインツール
SSD

PCIe Gen5とMicron 4600 SSDで高性能コンピューティングの未来を切り拓く

プラサド・アルリ | 2025年2月

人工知能(AI)の分野が急速に進化する中、高性能PCコンピューティングソリューションに求められる要件がかつてないほど高まっています。機械学習モデルからリアルタイムのデータ処理まで、AIアプリケーションには、最適なパフォーマンスを提供する強固なハードウェアが必要です。AI搭載PCの性能を大幅に向上することができる重要なコンポーネントの1つが、PCIe® Gen5 SSDです。大規模なデータセットを処理するにしろ、AIモデルを読み込むにしろ、次世代ゲームの限界を押し上げるにしろ、Micron 4600 NVMe SSDは、現在だけでなく将来にわたって、アプリケーションが必要とするPCIe Gen5の速度とエネルギー効率を提供します。

Micron 4600 SSD

PCIe Gen5がストレージを変革

Micron 4600 SSDは単なるアップグレードではありません。飛躍的に進化しています。このPCIe Gen5クライアントSSDは、最大14.5GB/秒のシーケンシャル読み取り速度と最大12.0GB/秒のシーケンシャル書き込み速度を提供します。これは、PCIe Gen5の帯域幅の限界に近いパフォーマンスです。これらの結果は、PCIe Gen4 SSDに比べてパフォーマンスが顕著に向上したことを示しており、シーケンシャル読み取り速度については2倍になっています。

今日のすべてのアプリケーションが帯域幅の速度を最大限に使用しているわけではありませんが、すべてのPCアプリケーションでエネルギー効率の向上というメリットを得ることができます。Micron 4600は、前世代のPCIe Gen4 SSDよりもエネルギー効率が107%以上向上するように設計されています1

PCIe Gen5の限界に迫る速度により、Micron 4600 SSDは高度なAI言語モデルをローカル環境で動作させることを可能とします。また、SSDからメモリに大規模言語モデル(LLM)を1秒未満で読み込む性能を備えています。

PCユーザーにとっては、速度に加えてマルチタスクやシステムの応答性も重要です。Micron 4600は、PCMark® 10テストで前世代のPCIe Gen4 SSDよりも約38%高いスコアを取得しています2。これは、競合他社のPCIe Gen5製品を11%上回るスコアです3。このようなユーザーエクスペリエンスの向上は、大量のグラフィックセットを読み込むゲーマー、機械学習モデルを処理するデータサイエンティスト、複数のタスクを管理する実業家にメリットをもたらします。

こうした処理に対する要求が拡大し、より多くのタスクがローカル環境で処理されるようになるにつれて、高速で、容量が大きく、安全なストレージの必要性が高まっています。Micron 4600 SSDは最大4TBの超高速ストレージを提供するため、要求の厳しいアプリケーションや大規模なデータセットに最適です。

このようなAIモデルをローカル環境で実行するには、セキュリティがこれまで以上に重要になります。そこでカギとなるのが、ユーザーデータとAIモデルの両方の保護です。Micron 4600は、セキュリティプロトコルとデータモデル(SPDM)などの高度な機能によってこの保護を強化し、データの認証、整合性、保護を確保しています。Micron 4600上で動作するSPDMは、システムコンポーネントを検証し、改ざんや不正アクセスのリスクを軽減します。

AIテクノロジーの廊下の画像と再生ボタン

AI搭載PCの変革を推進

AIイノベーションはあらゆる場所で出現しており、すでにローカルコンピューティングのエクスペリエンスを塗り替えています。PCの世界では、ストレージパフォーマンスの向上が、マルチモーダルアプリケーション、モデルのローテーション、リアルタイムの生成ゲームという3つの主要分野の進歩を後押しする重要な要素になると考えています。

テキスト、画像、動画、音声など、複数のデータソースやモダリティを使用するマルチモーダルAIアプリケーションについて見ていきましょう。AIを活用して作曲をするテキスト音声変換ツールから、DALL-EやStable Diffusionなどの高度な画像生成ツールまで、AIにより、これらすべてのマルチモーダルアプリケーションを通じて創造性とパーソナライゼーションの様相が変わってきています。

しかし、現在、これらのAIアプリケーションすべてがストレージ向けに最適化されているわけではありません。OllamaやPytorchをベースにしたソフトウェアなどのアプリケーションは、今でもモデルの読み込みに非常に長い時間がかかることがよくあります。モデルが低いキュー深度で読み取り処理を実行するためです。一方で、llama.cppなどの一部のアプリケーションはストレージ向けに最適化されており、高いキュー深度でマルチスレッド操作を実行し、並列処理を増やすことができます。これにより読み込み時間が大幅に改善され、応答時間を短縮できます。Micron 4600は、130億のパラメーターを持つLlama 2を1秒未満で読み込むことができます。読み込み時間はPCIe Gen4 SSDよりも62%高速です2、4

これらのオープンソースモデルは、世界中の何万人もの開発者によって継続的に改良と最適化が行われており、機能と効率の両方で絶えず目覚ましい改善を実現し、パフォーマンスの限界を押し上げています。しかし、次のような疑問が持ち上がってきます。PCのハードウェアは対応できるのか? PCのストレージは対応できるのか?

通常、AIモデル(10GB以上)に依存するアプリケーションを切り替える場合、PCのメモリだけではすべてをキャッシュするのに十分ではありません。このような状況では、モデルのローテーションが全体的なユーザーエクスペリエンスにとって重要です。つまり、すべてのアプリケーションが細かく調整されたドメイン固有のAIモデルを実行し、最も正確で関連性の高い結果を提供する必要があります。Micron 4600によりこのシームレスな高速処理が実現し、専門家が反復とイノベーションを迅速に行えるようになります。詳細については、以前のブログ「未来型AI搭載PCのためのホストサポートを備えたストレージの最適化」をご参照ください。

Micron 4600は、専門家だけでなくゲーマーに対してもその力を発揮します。最大210万回の入出力操作毎秒(IOPS)という優れたランダム読み込み/書き込みパフォーマンスを実行し、AIを活用したゲームの無限の可能性を引き出します。パフォーマンスをさらに最大化するのがDirectStorage対応です。DirectStorageにより、CPUをバイパスしてGPUと直接通信できるようになり、ゲームの読み込み時間と応答性が向上します(Microsoft DirectStorage、NVIDIA® Magnum IO GPUDirect® Storage[GDS]などでサポートされています)5
 
マイクロンのPCIe Gen4 3500 SSDはDirectStorage対応の草分けであり、当初対応していたのはForspokenとDiablo IVの2つのゲームでした。しかし今では、ストレージドライバーが最適化されたことにより、FC™24やAvatarといったゲームを含む30以上のタイトルで、ゲームの高速化にこのテクノロジーが使用されています。土台を作ったのはMicron 3500ですが、Micron 4600ではさらに発展し、次世代ゲームのパフォーマンスの概念を新たにしています。

間もなく、リアルタイムの生成ゲームがAIによってさらに進化し、ゲームはローカル環境で実行されるようになり、ユーザーはプレイするたびにゲームがダイナミックに変わりゆく世界へと足を踏み入れることになるでしょう。こうした集約型ワークロードと短い応答時間という要件を満たすには、Micron 4600のような将来を見据えたSSDが必要です。

将来の展望:将来を見据えたSSDで次世代のコンピューティングに対応

PCとAIのアプリケーションは急速に進歩しており、パフォーマンスと効率の限界を押し上げています。リアルタイムのAI処理から没入型のゲーム体験まで、ワークロードの要求がいちだんと厳しくなる中で、高速でインテリジェントなストレージは、アプリケーションの可能性を最大限に引き出すためのカギとなります。業界は発展を続けていますが、Micron 4600はすでに現在と将来を見据えて精密に設計されており、次世代コンピューティングに必要な速度、効率性、信頼性を実現しています。

新しいMicron 4600 SSDは、現在、世界各地でサンプルが提供されています。

その他のリソース:
Micron 4600に関するプレスリリース
Micron 4600 PCIe Gen5クライアントSSDのウェブページ
Micron 4600クライアントSSD製品概要
Gen5 SSDのインフォグラフィック


1 データシートに基づき、PCIe Gen4 Micron 3500 SSDとMicron 4600 SSDのパフォーマンスを比較しています。
2 マイクロンのラボで実施したベンチマークテストで、Gen4 Micron 3500 SSDとMicron 4600 SSDを比較しています。
3 マイクロンのラボで実施したベンチマークテストで、4600 SSDと競合他社のGen5製品を比較しています。
4 パラメーターが130億、ファイルサイズが10.4GBで、6ビットで量子化したLlama 2とPCIe Gen4 Micron 3500 SSDを使用して、マイクロンのラボでテストを実施しました。
5 Load PC Games Faster: How to Use DirectStorage in Windows 11(PCゲームの読み込みを高速化:Windows 11でDirectStorageを使用する方法) | PCMag

VP and GM for Client Storage at SBU

Prasad Alluri

Prasad Alluri is the vice president and general manager for Client Storage in the Storage Business Unit. Prior, he was our vice president of Corporate Strategy & Incubations. He has worked for Micron and Intel, where he held various positions in product development, product planning and strategy. Prasad obtained his bachelor’s from the Indian Institute of Technology (Bombay), a Ph.D. from Arizona State University, and an MBA from Wharton School of Business. Outside work, Prasad enjoys playing poker and hiking.

Prasad Alluri