多くの人にとってスマートフォンは生活に不可欠なものであり、スマートフォンのおかげでコミュニケーション、エンターテインメント、ニュース、買い物を常に利用することできます。スマートフォンは、私たちが毎日使用するデジタル端末の中で圧倒的な人気を誇り、時計からスピーカー、ホームセキュリティシステム、車に至るまで、あらゆるものと繋がるハブの役割を担います。さらに私たちのスマートフォンは高度に個人化されており、何ギガバイトもの連絡先、ユーザー嗜好、カスタマイズされたデータを保有し、その人だけのユーザーエクスペリエンスを提供します。この偏在性と個人化の組み合わせが、スマートフォンを強力なものにしています。
スマートフォンでこれほどの個人化が可能なら、車における体験も同じであるべきではないでしょうか? 自動車メーカーは何年も前から個人化のアイデアを取り入れてきました。2004年にBMWがAppleのiPodコネクテッドサービスを導入して以来、自動車メーカーは個人化された「スマートフォン体験」を車内に取り入れるようと取り組んできました。早いもので2018年になると、スマートフォン統合機能による車内コネクテッドサービスは、新しい車のあらゆる部分で利用されています(FordのSync,、BMWのiDriveまたはApple CarPlayやAndroid Autoなど)。
個人化:エンタメをはるかに超えるサービス
スマートフォンが自動車技術にもたらすものは、個人化しエンタメをはるかに超える豊かな機能を提供するチャンスです。レンタカーに乗り込み、すぐにスマートフォンとデータを同期すると、シートポジション、温度設定、地図と住所、電話連絡先、よく行く目的地、おすすめのレストランなど、あなたの個人的な好みがすべて車に登録されている状態を想像してみましょう。このレンタカーは一瞬で、あなた個人のニーズに特化したものなります。
もちろん、車にリアルタイムでデータが流入することで、駐車場の場所を素早く特定できるといった、ドライバーの利便性を高める可能性も期待できます。現在、すでに多くの駐車場検索アプリを利用できますが、今ではこれらのサービスはカーナビゲーションシステムにより密接に統合され、最寄りの駐車場をリアルタイムで推奨、案内してくれます。
個人化されたスマートフォンのデータは、道路の安全性向上にも役立ちます。カスタムビルドされたアプリケーションが、スマートフォンの感知、計算、通信機能を活用し、人の運転の質を正確に測定します。これらのアプリは加速度計やGPS測定値を利用し、ブレーキと加速の仕方、カーブの曲がり方、制限速度の遵守のような要素に基づいて運転スコアを提供します。「ドライバースコア」を出すことに対する効果は、より良い運転行動を促すだけでなく、保険会社がより個人に合わせた保険や良い運転に対する特典を提供するのに使用できます。
より優れたメモリー技術を車とモバイル端末に内蔵
これらの機能の多くはすでに実現されていますが、他の機能も将来的に実現される予定です。コネクテッドカーの真の個人化サービスには、車内プラットフォームとスマートフォンアプリケーションの密接な連携が必要です。その上、業界はデータ解釈のための標準化された方法を必要としており、これによりユーザーエクスペリエンスは車両に関係なく同じ内容になります。
この高度な統合と機能の実現における最も重要なコンポーネントの1つがメモリであることを、メーカーは理解しています。
メモリは、先進運転支援(ADAS)、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、ダッシュボードの計器、ナビゲーション、インフォテインメント、パワートレインなど、自動車のほとんどの電子システムに、その基礎となるコードやデータ、パラメータを提供します。
スマートフォンのメモリサブシステムも進化しなくてはなりません。ソフトウェア開発者が、より豊かで個人化された体験の提供に向けて開発レベルを上げるにつれ、より幅広い機能を持つアプリケーションが生み出す大量のデータを処理する能力をモバイル端末に備える必要があります。自動車がスマートフォンのさまざまなアプリケーションや個人化されたデータセットにアクセスする一方で、モバイル端末は常に「ファイルキャッシュ」を行いメモリに読み書きをします。このストーリーでは、メモリサイズ拡大とストレージパフォーマンス向上の両方が必要となります。
マイクロンは、自動車とスマートフォン技術の最適化に対し、ソリューションと専門知識の両方を提供できるユニークな立場にあります。私たちは、品質、信頼性、温度といった独自の要件を満たす高性能DRAMと不揮発性フラッシュメモリの幅広いポートフォリオをご用意しています。しかしさらに重要なことに、私たちは、最も困難な課題の解決に向けて、専門のアーキテクチャーチームによるハンズオン支援を提供しています。
今後、コネクテッドカーにおける個人化の新たなチャンスが広がっています。スループットが既存の4G LTEネットワークの最大20倍という5Gネットワークは、モバイル端末と自動車分野の両方に大きな可能性をもたらします。このような超高速通信により、スマートフォンと自動車の間でより多くのデータがやり取りされるようになり、より高速なメモリと大容量のストレージの必要性が高まります。マイクロンは、LPDDR4x、UFS 3.0、GDDR6およびQLC NANDフラッシュを含む高度なメモリ技術により、未来の課題を解決する体制があります。
自動車とスマートフォンの両方の技術革新が進んでいることは明らかです。完全な自律走行が現実になり、スマートフォンのカメラの解像度が上がり、マルチメディアがより幅広い機能を持ち、自動車のセンサーや加速度計の数が増えることは確かなのです。これらの理由から、未来のドライバー体験を実現するために、自動車により良く、より速く、より洗練されたメモリとストレージサブシステムを常に採用することが極めて重要になります。