今日、ドライバーと同乗者双方のための車内エクスペリエンスに関する要求は高くなっています。自動車メーカーは、ACES(自動運転、コネクティビティ、電動化、共有サービス)に向かうトレンドとその将来的な要件に対応するため、車内エクスペリエンスを再構築しています。
理想汽車が2022年6月下旬に中国の北京で発表したフルサイズファミリーSUVの新型L9がその最新の例であることは明らかです。L9は、3K解像度の15.7インチ有機ELディスプレイ3基、車室全体で使える音声・ジェスチャーコマンド、大型高精細HUD(ヘッドアップディスプレイ)、先進運転支援システム(ADAS)を装備しています。こうした機能満載の車で、そのすべてが機能するようにシステムを支えるテクノロジーの詳細を知るのは興味深いことです。
ADAS機能を可能にするマイクロンの車載グレードLPDDR5とUFS 3.1
今日の自動車がますます複雑化し、機能が豊富になる中で、運転に関するデータの収集、保存、分析、処理の必要性がかつてないほど高まっています。マイクロンは30年以上にわたって車載用メモリとストレージのナンバーワンサプライヤーとして業界をリードし、自動車全体の変革促進や車内エクスペリエンスの向上に貢献してきました。マイクロンは、業界で初めて、車載グレードの低消費電力ダブルデータレート5(LPDDR5)DRAMメモリとユニバーサルフラッシュスレージ(UFS)3.1ストレージを量産出荷したサプライヤーです。
マイクロンのLPDDR5とUFS 3.1は、ティア1パートナーであるDesay SVが設計したIPU04インテリジェントドライビングドメインコントローラとともに、Li AutoのL9インテリジェントドライビングシステムであるLi Auto AD Maxの基盤となり、レベル4までの自動運転に対応できます。
大部分のドライバーと同乗者は、レベル1(自動クルーズコントロール)とレベル2(車線逸脱警告、自動ブレーキ)の運転支援テクノロジーを経験しています。レベル4は飛躍的な進歩です。高度運転自動化とは、想定内の地域で車が完全に自動運転モードで走行することです。必要に応じて、ドライバーが介入することもできます。
マイクロンの製品は、ADASや自動運転アプリケーションへの対応を念頭に置いて定義・設計されています。マイクロンには、自動車業界の厳しい要件を満たす製品ラインナップがあります。たとえば、現時点で業界唯一の自動車安全度水準(ASIL)D認定メモリ製品であるマイクロンLPDDR5などです。
レベル4の自動運転の達成は、自動車のエコシステムにおける素晴らしいイノベーターであるDesay SV、Li Auto、マイクロンの緊密なコラボレーションなしには実現しませんでした。
「Desayでは、イノベーションはDNAの一部です。マイクロンとのコラボレーションで業界をリードするADASテクノロジーが実現し、これまでよりも安全で快適なエクスペリエンスや、燃費とサステナビリティの向上につながりました」と、Desay SVのインテリジェントドライビングアシスタンスビジネスユニット担当バイスプレジデント、レレ・リーは述べています。「マイクロンの車載用LPDDR5メモリとUFS 3.1ストレージテクノロジーは、私たちの最新世代のADASドメインコントローラに最適です。途方もない演算能力を引き出し、レベル4の安全な自動運転への道を開いています」
高品質な車内エクスペリエンスにフォーカスするLi Auto
L9はLPDDR5とUFS 3.1に加えて、DRAM(LPDDR4とLPDDR5)、NAND(eMMCとUFS)、NORフラッシュなど、マイクロンの車載用メモリやストレージデバイスを幅広く搭載しており、まさに車載用メモリとストレージソリューションの「ワンストップショップ」のようです。L9は、先駆的な5画面プラス3次元インタラクティブインテリジェントコックピットを搭載し、没入感のあるドライビングとエンターテインメントエクスペリエンスを実現します。3K解像度の15.7インチ有機ELディスプレイ3基でドライブ中に好きなテレビ番組を見ることが可能なL9のスマートキャビンシステムは、マイクロンLPDDR4メモリと高性能UFS 2.1ストレージデバイスを使用しています。これらのデバイスは強力なパフォーマンスを実現し、ドライバーにも同乗者にも、機能豊富な車載インフォテインメント(IVI)エクスペリエンスをもたらします。
ADASとIVIアプリケーションに加えて、L9のクロスドメインコントロールユニット(XCU)にはマイクロンNORフラッシュも採用されており、システムの応答性を高めて、SUVのシステム起動時間を最短にしています。マイクロンは、最先端の45ナノメートルNORフラッシュのソリューションポートフォリオを提供しています。データ整合性と信頼性を強化した車載アプリケーション向けの専用不揮発性記憶装置デバイスです。
今日の充実した車内空間や高度に自動化した自動車に欠かせないのは、膨大な量のデータが発生するとともに処理し、ほぼ瞬時の意思決定を可能にする、信頼性の高い超低レイテンシーのメモリとストレージです。DRAM、LPDDR、NANDフラッシュ、NORフラッシュ、SSD、MCPなど、マイクロンの車載用メモリとストレージソリューションの幅広いポートフォリオは、そうした計算集約的でデータ駆動型のアプリケーションに最適です。マイクロンの車載グレードの揮発性・不揮発性メモリ製品は、車載アプリケーション向けに徹底的に設計、テスト、最適化されているため、過酷な環境でも安定して機能します。こうしたメモリ製品は、信頼性の向上、起動時間の短縮、高帯域幅、低消費電力、省スペースをトップレベルの車載品質で提供し、車載電子部品評議会の認定規格(AEC-Q100)を満たしています。
品質を保証し、市場投入までの時間を短縮するコラボレーション
自動車のエコシステムは、ACESがもたらした変革によって抜本的に変わりつつあります。この変化が要求するのは、バリューチェーンを構成するあらゆるパートナーがこれまで以上に緊密にコラボレーションし、複雑化していく高性能な自動車システムを実現することです。
マイクロンは、Desay SVやLi Autoのような自動車業界のイノベーターと緊密に連携できることに感謝しています。自動車業界の変革の最前線にある両社がマイクロンを選んだのは、業界をリードする車載用メモリとストレージのソリューションポートフォリオ、世界各地にあるカスタマーラボ、他に類をみないエコシステムパートナーシップが理由です。さらに重要なのは、マイクロンが適切な製品だけでなく、自動車市場が必要とする安定性、品質、熱コンプライアンス、信頼性、長寿命を実現するための自動車に対するマインドセットを社内で構築していることです。
市場をリードするメモリサプライヤー1であるマイクロンは、中国と世界各地の自動車OEM(相手先商標製造会社)、ティア1パートナー、エコシステムパートナーを支援することを約束します。マイクロンのローカルなIATF16949認定カスタマーラボは、徹底した製品設計支援によって顧客に利益をもたらし、製品開発や市場参入計画の貴重な時間を節約するよう努めています。
高い処理能力と効率を必要とする最新の車載システムにおいてメモリとストレージがますます重要な役割を果たす中で、マイクロンは引き続き、車載アプリケーションのイノベーションを推進し、お客様から信頼されるアドバイザーであり続けます。自動車のユーザーエクスペリエンスを変革し、中国と世界各地でコンシューマーのモビリティを再定義する、こうした素晴らしい製品の発表や実現を見るのは、いつも胸が躍ることです。
1. ガートナーのリサーチレポート:Market Share: Semiconductors by End Market, Worldwide, 2021(世界のエンドマーケット別半導体市場シェア2021年版)