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産業界は脱炭素化に取り組まなければならない

アンドリュー・バーンズ | 2023年2月

コーポレートベンチャーファンドは、サステナビリティの新たなイノベーションを加速させる上で、重要な役割を担っている

気候変動は、社会およびマイクロンの所在地、水資源、サプライチェーン、市場に影響を与える世界的な差し迫った問題です。半導体製造にかかるエネルギー消費量も温暖化ガス排出量も多いため、私たちは気候変動への影響を軽減するために積極的な目標を設定しています(2030年までにグローバル事業からの温室効果ガス[GHG]排出量を42%削減し、2050年までに事業および購入エネルギーからの排出量をネットゼロにすることを含む)。

マイクロンは、これらの目標を達成し、気候変動に関連するリスクを管理するため、効率的なエネルギー消費と水使用のためのLEEDゴールド認証に沿った建物の建設や、より排出量の少ない代替製造プロセスを可能にする化学物質の特定など、多くの取り組みを行っています。私たちは、さらに斬新なソリューションを探し続ける必要があります。

そうしたソリューションは、必ずしもマイクロンで生まれるとは限りませんが、私たちであればそれを特定し、開発の支援をすることができます。有望なサードパーティのソリューションを実行可能なものにするには、スケーリングの支援が必要かもしれません。そしてそれは、マイクロンだけでなく、半導体業界全体の気候への影響を軽減するかもしれません。

2021年、マイクロンベンチャーズは、半導体エコシステムの主要企業の他のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)チームとともに、より迅速にソリューションを市場に拡大することを目標に、Startups for Semiconductor Sustainabilityと呼ばれるメンターシッププログラムとピッチイベントを開始しました。このプログラムには、以下4つの主な目的があります。

  1. 半導体業界全体のCVCを集め、スタートアップ企業のコミュニティにアウトリーチする上でのクリティカルマスを作る。
  2. 業界のサステナビリティの課題に対する問題提起を共有し、スタートアップコミュニティに共同でアプローチする。
  3. 魅力的なスタートアップ企業のチームとソリューションを業界の専門家と結びつけ、製品化、市場投入、資金調達、顧客紹介などの支援を行う。
  4. 半導体事業における新しいサステナビリティテクノロジーの可視化、投資、実証試験の活動を推進する。

第1回目はプロトタイプとして実施し、素晴らしい成果が得られました!私たちの経験と参加したスタートアップからのフィードバックに基づき、いくつか改良を加えた上で第2回目を開催できることをとても楽しみにしています。現在、応募を受け付けています!

産業界の脱炭素化は、なぜ大変革の時期を迎えているのか

PWC State of Climate Tech Report 2022の考察によれば、サステナビリティ関連の活動への投資の流れがあることがわかります。つまり、サステナビリティ全体が今かなり熱く、2022年のVC活動の25%以上を占めています。

私の視点(半導体産業の脱炭素化のために大きな変化をもたらすことのできるスタートアップ企業に投資しようとしているCVCとしての視点)では、これは報告書の中で最も重要なデータです。

  1. 世界の気候テックベンチャー投資の52%が、世界の排出ガス85%に対し行われている。
  2. 産業からの排出は、人為的な温室効果ガス排出の34%を占めているにもかかわらず、産業界の脱炭素化に焦点を当てたスタートアップ企業は、温室効果ガス排出削減を目的としたVCからの投資のわずか9%しか受けていない。

この不均衡が、私たちがStartups for Semiconductor Sustainabilityを設立した理由です。

温室効果ガスの排出を回避するという方法で人類の産業プロセスを再構築する産業の脱炭素化は、今後数十年間で数兆ドル規模の転換期を迎えます。しかし、そのインパクトに比べて、VCのこのカテゴリーへの投資は圧倒的に不足しています。

産業界の脱炭素化に存在するこのギャップは、投資家にとってもイノベーターにとっても大きなチャンスです。問題提起と製品化されたソリューションに焦点を当てることで、サステナビリティの目標を達成するための重要な要素をより迅速に発見し、資金を提供し、規模を拡大することができます。

CVCが産業界の脱炭素スタートアップにとって重要なパートナーである理由

VCが産業界の脱炭素化に正当な評価を与えないのには、それなりの理由があります。それは、レガシーシステムという言葉に集約されます。

プロセス手法、プロセスツール、削減システム、水処理、これらすべてがすでに存在し、あらゆる産業事業者の運営モデルに組み込まれています。

凝り固まったレガシーシステムをよりサスティナブルなものにするために、産業界の顧客に新しい手法と共にアプローチすることは、若い企業にとって、技術的にも市場参入までの時間を考慮しても、現実的な障壁のある難しい注文です。成功は不可能ではありませんが、いくつか必要条件があります。

  • 産業界の事業者や対象領域専門家のリスク許容度の向上。
  • スタートアッププログラムの規模拡大を確実にするための組織間の調整。

私たちのプログラムは、参入までのこうした障壁を軽減するために特別に設計されています。対象領域専門家から購買担当者、エグゼクティブまで、組織全体で企業の新テクノロジーの存在感を高めていきます。このプロセスは、多くの労力と調整を要しますが、サステナビリティへの関心の高まりを通じて、利害を一致させ、効果的なソリューションの拡大に必要な歩みを加速させることができます。

マイクロンだけではありません。Intel、Applied Materials、Samsung、Lam Researchなどの参加企業は、このプログラムを通じて、半導体のエコシステム全体の課題をめぐり、同様の存在感を得ています。

なぜ今、産業の脱炭素化が必要か

技術革新は世界のサステナビリティに不可欠です(現実的になりましょう。それは必須条件です)。しかし、これまでのサステナビリティ導入の最大の原動力は、政府の規制とインセンティブでした。

温室効果ガス排出に関する政府の規制は比較的厄介で、規制を実施するとなると、さらに厄介なことが多いのです。

しかし、気候変動は、人類の経済と生活の存続を脅かす脅威となっています。その経済を牽引している世界最大の企業やグループは、現在、気候変動の脅威に注意を払い、今すぐ気候変動対策を講じなければ、経済社会モデルが脅かされることを理解しています。

2020年、マイクロンは、2030年までに温室効果ガスの排出を42%削減し、2050年までに排出を完全にゼロにするというサステナビリティに関わる最初の目標を発表しました。これらの目標は、ポリシーによるものではなく、エグゼクティブの意志と顧客の要望によるものでした。Google、Microsoft、Amazon、Appleおよび地球上のすべての主要テクノロジー企業が、自社とそのサプライチェーンの両方について、気候変動に関する積極的な誓約を行っています。

私たちは、産業界の脱炭素化が今後30年間における世界最大の市場機会のひとつであると考えています。私たちは、事業全体でサステナブルな新テクノロジーの規模拡大を加速させるため、大きな付加価値を生み出せる立場にあります。

投資家である私たちは、産業の脱炭素化を推進するトップクラスのスタートアップ企業を発掘し、投資したいと考えています。それがあなたやあなたの会社であれば、お会いできることを楽しみにしています!

未来に投資する:マイクロン2022年サステナビリティレポートを見る

Startups for Semiconductor Sustainability:SEMIを見る

Director, Venture Capital - Artificial Intelligence

Andrew Byrnes

Andy is with Micron’s AI fund investing in some of the world’s top startups. He’s a recovering startup founder, writer, and solar/battery materials geek, and when he’s not thinking about technology innovation and startups, he’s probably running or doing something weird with his young’uns. And he’s big on words like “young’uns.”