テクノロジー業界が次世代コンピューティングの大革命に一歩一歩と近付いていくにつれ、マイクロンに在籍する私たちは、しばしば前衛部隊のような気分になります。今日の世界で日々発生する大量のデータから、価値やインサイトを抽出するために、この革命では先進的なメモリとともに、強化されたコンピューティングパワーが利用されます。
今日のシステム設計者が理解しているように、DDR4 SDRAMは3200 MT/秒の壁を打ち破っており、それと並行してCPUコア数が増加し続けています。そのため、コンピューティングパフォーマンスを継続的に向上させるには、高性能メモリを使用して、CPUコアあたりの使用可能な帯域幅を維持しなければなりません。DDR4を使用してコアを追加すると、実際にはCPUコアあたりの帯域幅が減少します。
電子デバイス技術合同協議会は2020年7月、前世代のSDRAMよりも高帯域幅、大幅な改善というニーズに対応する第5世代ダブルデータレート(DDR5)SDRAMの規格を発表しました。現在、技術的に最先端と言えるDDR5は、発表時のデータレート4800MT/秒でメモリパフォーマンスを85%以上高めることにより、次世代のサーバーワークロードを可能にします。DDR5は、DDR4と比べて2倍以上のデータレートと実効帯域幅を実現し、コンピュートを年々増強させるために必要なCPUコア数の増加を促進します。
新しいメモリテクノロジーによって提起される可能性と懸念事項
メモリテクノロジーが大きく移行する時期には、今までにない特徴や機能が次々と紹介されるにつれ、採用者や開発者の間で、さまざまな疑問や課題が浮上します。熱は以前と比べてどうなるのか? 設計者がシミュレーション用の機能モデルにアクセスするには? 考慮すべき主な技術上の相違点とは? DDR5はDDR4とはまったく違うものなので、設計者やデザイナーが気付いているように、DDR5の採用(実装)には、今までとは違った考え方で臨む必要があります。
具体的な例をいくつか挙げてみましょう。
- DDR5モジュールでは、効率性と安定性を高める目的で、過去においてはマザーボードで採用されていた、電源管理用集積回路(PMIC)によるローカル電圧調節を導入しています。
- DDR5モジュールでは、DIMMあたり2個の40ビット独立チャネルをバースト長16で導入しています。一方、DDR4ではDIMMあたり1個の72ビットチャネル、バースト長8が使用されていました。
- DDR5モジュールでは、DIMM上の個々の独立チャネルに対して個別のクロックとアドレスリソースを提供する、レジスター付きクロックドライバー(RCD)を導入しています。
- DDR5では、高いデータレートにおける符号間干渉(ISI)の影響を軽減するため、デシジョン・フィードバック・イコライゼーション(DFE)を導入しています。
- DDR5には、バンクグループごとに1つのバンクをターゲットにすることで、さらなるパフォーマンスの向上に役立つ、改善されたリフレッシュ方式(Same Bank Refresh)が含まれています。
DDR5コラボレーションのためのマイクロン独自のエコシステムが急成長
マイクロンは、データセンター顧客向けにサンプルDDR5を初めて提供したベンダーの1社でした。しかし、もっと深いニーズがあることを認識していました。「DDR5仕様の開発に携わった主要なベンダーとして、マイクロンはDDR5規格開発の早い段階から、この可能性に着目していました」とマイクロンのCEO、サンジェイ・メロートラは述べています。「マイクロンがDDR5テクノロジーイネーブルメントプログラム(TEP)を発足させたのは、この理由からです。DDR5プラットフォームの統合と最適化に向けて、エコシステム全体が準備を整えられるよう支援するためです」
1年前、数社のエコシステムパートナー(Cadence、Montage、Rambus、Renesas、Synopsysなど)と連名で発表したマイクロンDDR5 TEPは、この種のプログラムとしては業界初にして唯一のものです。今では100社以上に所属する250人以上のメンバーに拡大しています。エコシステムとIPイネーブルメント、システム統合、システムアーキテクチャー、CPUおよびASIC設計など、各分野の多くのリーダーがTEPに参加し、DDR5へのスムーズな移行に取り組んでいます。
開発者と採用者がすべての重要な技術的コンテンツを指一本で呼び出せる、マイクロンのDDR5 TEP「ワンストップショップ」を、エコシステムが積極的に支援していることを私たちは誇らしく思っています。マイクロンは技術情報、サポート、電気/熱モデルへの早期アクセスを提供しています。それだけでなく、マイクロンは工業設計、開発、コンピューティングプラットフォームの成長を支援する目的で、このプログラムを通じてDDR5サンプル製品の配布も行っています。
DDR5 TEPは、次世代製品の発見と開発を奨励します
ハイパースケーラー、大手サーバー企業、PC OEMはすでにDDR5を統合しており、現在DDR4を使用中のワークロードはDDR5に移行される見通しです。しかし、このような新しいシステムは一朝一夕に出現するわけではありません。DDR5メモリはかなり有望です。マイクロンがTEPを立ち上げたのは、この理由からです。パートナー各社がエコシステムでのコラボレーションを利用して、設計や統合上の課題を合理的に解決できるようにするためです。
私にとってもう1つ興味深いのは、DDR5テクノロジーが成熟してTEPのメンバーが増加するにつれ、TEPのニーズが変化し、私たちが新しい情報を提供しつつあることです。DDR5メモリへの移行中、TEPのメンバーがそれぞれ独自の関心分野を見つける可能性が十分にあり、メモリも進化する必要に迫られるでしょう。
TEPは、DDR5の設計と資料のワンストップショップです
マイクロンは、システムメモリにおけるこの重要な跳躍を成功に導くことを確約しています。パートナーのシステムやプラットフォームにDDR5を統合するための各種資料には、簡単にアクセスできるようになっています。プログラムへの加入が承認された時点で、以下のものがメンバーに提供されます。
- 製品開発とプラットフォーム実装に役立つ、データシートや熱および機能シミュレーションモデルなどの技術的リソース
- 特定のDDR5コンポーネントやモジュールのサンプルを随時提供
- DDR5対応プラットフォームの設計と実装を支援してくれる他のエコシステムパートナーとのつながり
- テクニカルサポートとトレーニング資料
DDR5 DRAM規格が熱烈に受け入れられている状況から、この高性能な新しいメモリの重要性や潜在的な破壊力は実際にどれほどのものになるか、マイクロンのDDR5 TEPエコシステムはどれほど素晴らしい成長を示すか、素晴らしい未来が予測されます。来たるべき革命の中で、貴社独自の場所を開拓してください。
DDR5ベースの製品の市場投入、またはDDR5対応のプラットフォームの評価をご希望ですか? 私たちとご一緒しましょう。マイクロンDDR5 TEPへの加入をご申請ください。