3月20日に開催されたCFMS(中国フラッシュマーケットサミット) | MemoryS 2024で基調講演を行う機会をいただきました。講演のタイトルは「Micron memory & storage: Advancing the AI revolution(マイクロンのメモリとストレージ:AI革命の推進)」です。ぜひご覧ください。
非常に興味深い新興トレンドの1つで、サミットでも話題になったトピックは、データセンターとエッジデバイス、特にAI搭載PC(パーソナルコンピューター)とAI搭載スマートフォンが連携してAIエクスペリエンスを最適かつ効率的に提供し、それによってリソースを節約する方法でした。ほんの数年前までは、すべてのコンピュート機能がクラウドに移行するだろうというのが一般的な考え方であったことを考えると、注目すべき方向転換です。当時のビジョンでは、すべてのエッジデバイスは単なるシンクライアントであり、すべてのアプリケーションはクラウドで実行され、すべてのデータはクラウドに保存され、すべてのデバイスが常に接続されているという世界が描かれていました。
テクノロジーのトレンドは行ったり来たりする傾向にあるため、同じビジョンがこの先いつか再浮上するかもしれません。しかし、近い将来においては、消費電力、コスト、レイテンシー、ネットワーク帯域幅の制限や、人間がデータセンターと通信インフラを構築するスピード(と構築する余裕)に関する現実的問題により、すべてのワークロードをクラウドで実行することは単に実現不可能です。この現実的問題は、メモリとストレージの将来にとって意味があります。
まず重要な認識として、データセンターの消費電力を削減することは、これまで以上に重要になっています。データセンターの総コストを削減し、エネルギーを節約し、二酸化炭素排出量を最小限に抑えることは、これまでも常に重要な指標でした。しかし、今やそれは必須事項になりました。大手クラウドサービスプロバイダーやAIインフラ事業者がインフラを構築する能力を制限する要因になったためです。
これは何を意味するのでしょうか?
- 従来のHDDの代わりに大容量SSDを利用することで、データセンターの二酸化炭素排出量を最大5分の1まで大幅に削減できます。SSDは初期投資が高額になりますが、長期的には間接費や冷却、電力、設置面積に関する費用で大幅なコスト削減となり、1秒あたりのテラ演算(TOPS)処理速度を高めることにつながります。使用可能なテラバイトあたりの消費電力で比較すると、最適なAIワークロードパフォーマンスを実現するためにショートストロークを必要とするHDDは、現在の30.82TB SSDの2.3倍の電力を消費します。1この差は、HDDと今後の高容量SSDを比べた場合、5倍に拡大すると予測されています。つまり、追加のデータセンターや発電所の建設に関するとんでもないコストについて考えると、SSDに投資することは経済的に賢明な選択なのです。
- ローカルストレージ(AI搭載スマートフォンでは主にUFS、AI搭載PCではNVMe SSD)のパフォーマンスと容量の要件が、これまで考えられてきたよりも速いペースで引き上げられるのは避けられないでしょう。過去5~10年間、ゲームやメディア制作(YouTube、Instagram、TikTokのインフルエンサーなど)向けのアプリケーションが、より高いパフォーマンスと容量の需要を牽引してきました。とはいえ、通常、成熟した市場におけるデバイスの全ユーザーのうち、これらのアプリケーションを使用する人の割合は20%未満に留まっていました。AIは誰もが使用するユビキタスなアプリケーションで、これまでのゲームやメディア制作アプリケーションと同様、ローカルストレージの要件をさらに押し上げるでしょう。この分野ではユーザーエクスペリエンスが何よりも重要であり、マイクロンが最も要求の厳しいアプリケーションとユーザーエクスペリエンスを実現する製品の完成に注力する理由はそこにあります。
ストレージやイノベーションに関わるなら、今が最高のタイミングです! インテリジェンスの時代が到来しており、私たちは人類にメリットをもたらす未来を形作ることができます。マイクロンのHBM3E、大容量DIMM、LPDDR5X、LPCAMM、データセンターSSD、クライアントSSD、UFSといったメモリやストレージの進歩は、間違いなくその未来の欠かせない一部となるでしょう。
1. SSDシステムシャーシの消費電力 = 1000W(1システムあたりSSD20台) = 50W/SSD
HDDシステムシャーシの消費電力 = 1200W(1システムあたりHDD30台) = 30W/HDD
SSD W/TB = 50W/30.82TB、HDD W/TB = 30W/使用可能なHDD容量8TB