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グラフィックとDirectStorage:高性能SSDはゲームだけのものではない

サウラフ・ヤダフ | 2023年10月

PCゲームは進化し続けており、ゲーミングPCもその進化に追従することが求められます。現在や将来を考えて、ゲーマーはMicrosoft DirectStorageの強みを活かせるSSDを求め始めています。SSDは、新世代のゲームを動作させるのに必要なシステムハードウェアに欠かせない部品であり、ゲーマーのエクスペリエンスを向上させるハードウェアとして重視され始めています。CPUはゲームに影響を与える最も重要なハードウェア構成部分ですが、多くの重い処理を実行するため、オープンワールドゲームではボトルネックになることが多々あります。DirectStorageを利用することで、SSDはCPUとの通信をバイパスできるようになります。このプロセスの実現により、熱心なゲーマーは多大な恩恵を受けられます。

シームレスなエクスペリエンスと臨場感のあるオープンワールドゲームプレイを求めるゲーマーは、日々のゲームプレイ中に性能の限界に達しており、煩わしい「ロード中…」画面に嫌気が差しています。そのような不満を軽減するため、ゲーマーはPCが過負荷状態になった際のさまざまな回避策を学んできました。たとえば、遅延が起こり始めたらレイトレーシングをオフにする(画面解像度を下げる)必要があります。同時配信を行うときは、2台目のPCを起動してビデオフィードや中央処理装置(CPU)に負荷のかかるその他のワークロードを実行します。しかし、それらの回避策を講じても不十分な場合があります。

今、ゲームが変わる

効率性が向上した新世代のCPUを導入することが問題の解消につながりますが、これまで以上にSSDの重要性が高まります。SSDの効果はゲームのロード時間が少し短くなるだけではありません。SSDは高性能PCに不可欠なものになりました。現在のSSDはシステムのグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)と直接連携できるため、CPUを完全にバイパスできます。この構想は、Microsoft DirectStorage、NVIDIA GPUDirect® Storageなどでサポートされています。簡潔にするため、この記事ではDirectStorageと表記します。

オープンワールドゲームといったゲームプレイの劇的な進化がテクノロジーの躍進を後押ししました。ゲームとCPUは少数の画像や形状を使い回すことで高性能なプレイを実現することができなくなりました。現在のゲームでは、ゲーマーが無限に変化する画面やシナリオの中で動き回ったり、何かに乗ったり、空を飛んだりできます。一般的なゲーミングPCの場合、そのような処理は大きな負荷がかかりますが、今後は、DirectStorageをサポートする最適化されたSSDを搭載することで簡単に対処できるようになります。Forspoken™のような最新のAAA作品(予算をかけた注目度の高いゲーム)ではすでにDirectStorageを活用しているほか、Diablo IV™は今後のゲームパッチでDirectStorageに対応することを明言しています。他の注目ゲームもそれに続くことが予想されます。DirectStorageへの対応を念頭にゲーミングPCを構成することで、ゲーミングPCのパフォーマンスを向上させることができます。

データの迷路に惑わされない

DirectStorageを利用すると、CPUをバイパスしてGPUにグラフィックスデータを直接送信できます。現在のほとんどのPCでは、グラフィックスデータをPCIeバスに送信し、CPUを経由してDRAMに送った後、CPU、PCIeバスへと戻したうえでGPUに渡されます。しかし、オープンワールドゲームといったグラフィックス重視のアプリケーションでは直接送信可能な経路が利用でき、非常に優れた実装が用いられています。

DirectStorageを利用する場合、上記のように別システムのデータの迷路を経由することなく、PCIeバスを通じてグラフィックスデータがGPUに直接送信されます。遠回りや時間の浪費はありません。DirectStorageの利用により、システム帯域幅の向上、レイテンシーの低下、CPU負荷の軽減といった素晴らしいメリットが得られます。DirectStorageにより、高解像度を維持しながら、ロード時間、遅延、システムフリーズを大幅に減らすことができます。

DirectStorageアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を活用してビジュアル、臨場感、プレイの楽しさを高めようとするゲーム開発者が増えています。その結果、ゲーム界隈におけるNVMe™ SSDの需要は今後も急増し続けることが予想されます。

ゲームを先行する

NVMeであっても、どのSSDでも良いというわけではありません。現代のクロック速度ではわずかな遅延や非効率性が増大するため、NVMe SSDには実績豊富なエンジニアリングが求められます。マイクロンでは数十年にわたって取り組んできました。

マイクロンは、各クラスのマイクロン製SSDで最高のユーザーエクスペリエンスを実現することを重視しています。マイクロンのNVMe SSDはDirectStorageをサポートしており、PC相手先商標製造会社、ゲーム開発者、ゲーマーに向けて、シーケンシャル読み取り/書き込みの入出力操作毎秒(IOPS)の大幅な進化をもたらします。これらの進歩は、PCIe Gen4インターフェースの知識が十分に満たされ、DirectStorage APIとの通信が最適化された結果です。そのため、マイクロンは現在、すべてのPC用マイクロン製SSDをDirectStorage向けに最適化しています。

システムのゲーム化

PCゲームやその他のハイエンドグラフィックスアプリケーションの進化は速く、緩まる気配がありません。PC相手先商標製造会社、ゲーム、グラフィックスソフトウェア開発者、さらにはユーザー自身が、システム全体のパフォーマンスを高めるため、あらゆるPCコンポーネントの最適化に取り組んでいます。CPU、GPU、接続速度が重要であることは言うまでもありません。しかし、現在では、SSDのパフォーマンスの最適化や、DirectStorageのサポートも同様に重要です。これらは、現在のオープンワールドゲームやハイエンドグラフィックスエコシステムにおけるゲーミングPCに不可欠なものです。マイクロンのNVMe SSDは、数十年にわたる実績、何世代もの進化、業界をリードするテクノロジーから生まれました。マイクロンにとって、ゲーミングは単なるゲームではありません。

Senior product line manager, Client SSDs

Saurav Yadav

Saurav Yadav is a senior product line manager for client SSDs at Micron Technology Inc. He manages a range of present and future high-performance SSDs focusing on delivering best-in-class user experience. Along with gaming and storage, analytics is also one of his most passionate subjects, which he studied during his Master of Science in Information Management from the University of Illinois at Urbana Champaign and his Bachelor of Engineering in Information Technology from Mumbai University.

Saurav Yadav