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ストレージ

I/OサイズによってQLCとHDDの経済性が変わる理由

スティーブ・ヘッツラー

ストレージのパフォーマンスとコストは一般に$/TBで比較されますが、一定のスループットを実現するために必要な容量は、ワークロードのI/Oサイズに大きく左右されます。

すべてのI/Oが同じだと考えてストレージ価格を評価するのはやめましょう。スループットを重視するなら、真のコスト要因になるのはI/Oサイズです。小さなランダムI/Oでは、機械的なレイテンシーが支配的になるため、HDDのスループット密度は大きく低下します。結果として、目標のMB/秒を達成するためだけに、余分な容量を購入することになります。

この全2回のブログ記事では、まずHDDでこのペナルティがどれほど急激に大きくなるかを定量的に示し、続いてG9 QLC NANDを搭載したMicron 6600 I/ON SSDのようなQLC SSDが適切な選択肢である理由を説明します。

I/Oサイズがストレージパフォーマンスに与える影響

ストレージ用途でQLCとHDDのコストを比較する場合、スループットを実現するための実質的なコストは、I/O特性によって大きく左右されます。この影響を理解するために、まず一般的なHDDでスループット密度がI/Oサイズによってどのように変化するかを見ていきます。

I/Oサイズとスループット密度

(MB/秒)/TBで表されるスループット密度は、スケールに依存しないストレージパフォーマンスの指標です。レイテンシーと転送速度を組み合わせた単純なモデルによって、I/Oサイズに応じた挙動を示すことができます。実際のI/Oサイズは対数分布(KiB→GiB)を示すため、I/Oサイズはlog₂で表します。

一般的な28TB HDDにおけるスループット密度曲線とlog₂ I/Oサイズの関係

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図1. 各I/Oサイズで100%ランダムI/Oを想定した場合の、一般的な28TB HDDのスループット密度曲線とlog2(I/Oサイズ)の関係。

図1は、一般的な28TB HDDのスループット密度曲線を示しています。この曲線はS字型をしており、I/Oサイズが小さい領域ではレイテンシーが、大きい領域では転送速度が支配的な要因となります。中間値は1.8MiBで、I/Oサイズが小さくなるにつれてスループットは急速に低下します。この曲線は、次の式でモデル化できます。

A⋅I/(B+I)

ここで、Aは転送速度、Bはレイテンシー×転送速度(中間値)、IはI/Oサイズです。

このパフォーマンス曲線を踏まえ、次に、観測されるスループットを維持するために必要な物理容量を見ていきます。

I/Oスループットに必要な容量

主要なコスト要因の一つは、一定のスループットを実現するために必要な容量です。これは、スループット密度の逆数であるTB/(MB/秒)で表すことができます。

1MB/秒のスループットを実現するために必要なTBで表した、28TB HDDのスループットコスト

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図2. I/Oサイズの関数として、1MB/秒のスループットを実現するために必要なTBで表した、28TB HDDのスループットコスト。

図2は、28TB HDDにおいて、1MB/秒のスループットを実現するためのコストとI/Oサイズの関係を示しています。関数形は1/log(I/Oサイズ)となるため、I/Oサイズが小さくなるほどコストは急激に増加します。

図2(28TB HDD)から、次のことが分かります。

  • 1MiB I/Oでは、1MB/秒を実現するのに0.4TB(ドライブ容量の約1.5%)が必要です。
  • 4KiB I/Oでは、同じスループットを実現するのに70TB(約2.5台分)が必要です。したがって、4KiB I/Oでは、1MiB I/Oと比べて160倍以上の容量が必要になります。

つまり、HDDでは4KiB I/Oは1MiB I/Oに比べて、およそ160倍の容量コストを要することになります。

QLC SSDのパフォーマンス面での優位性

QLC SSDは機械的なレイテンシーの影響を受けないため、I/Oサイズが小さくても高いスループット密度を維持できます。

容量最適化型QLC SSDの読み取り/書き込みスループット密度

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図3. 容量最適化型QLC SSDの読み取り/書き込みスループット密度。

図3は、容量最適化型QLC SSDの読み取り/書き込みスループット密度を示しています。

  • I/Oサイズが小さくても、読み取りスループット密度は高い水準を維持します。
  • 書き込みスループット密度は読み取りより低いものの、それでもHDDを大きく上回ります。
  • 例:QLCでの64KiBランダム書き込み6.7MB/秒/TBを実現しており、HDDの256MiB I/O時のスループットを上回ります。

QLCのスループットに必要な容量コスト

こうしたパフォーマンスの差は、必要な容量の削減に直結します。

容量最適化型QLC SSDのスループットコスト

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図4. 容量最適化型QLC SSDのスループットコスト。

図4は、1MB/秒を実現するのに必要なTB数(コスト)を示しています。

  • 4KiB書き込みでも、QLCに必要な容量はわずか約1.2TBで、HDDに比べて約60分の1です。
  • 1MiB I/O読み取りと書き込みの比率が2:1の場合、
    • QLCに必要な容量はわずか約0.041TB
    • HDDに必要な容量は約0.43TB

結論

I/Oサイズが小さい領域で性能が向上すると、必要容量を大幅に削減でき、その結果、QLC SSDはHDDに比べて総コストを抑えられます。I/Oサイズが1MiBの場合でも、QLCはHDDの10分の1の容量で同じスループットを実現できます。ストレージコストをメディアの$/TBだけで評価すると、こうした影響は見えにくくなります。実際のワークロードではI/Oサイズは分布を持ちますが、それでもこうした影響は大きなインパクトを及ぼします。

近日公開予定の本ブログ第2回では、Micron 6600 I/ON SSDのようなQLCベースSSDをさらに詳しく取り上げます。

Storage Solutions Architect, Micron

Steve Hetzler

Steve Hetzler is a Storage Solutions Architect for Micron and is a recognized inventor and systems architect with more than 100 patents across hyperscale, enterprise, and research environments. Prior to Micron, Steve served as a technical lead at Meta and at IBM Research and holds a Ph.D. in Applied Physics from the California Institute of Technology.

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