マイクロンのテクノロジー用語集

Large language models(大規模言語モデル)

放射状にぼやけた明るい光

大規模言語モデル(LLM)は、今や人工知能(AI)の柱として、さまざまな分野における生成AIの急速な拡大を牽引しています。AIが日常生活にますます浸透し、企業では業務へのAI導入が進む中、AIの成長においてLLMがどれだけ重要な役割を果たしているかを理解することは必須です。LLMにより高度な言語理解と生成が可能になるため、AIの機能と応用分野の発展に不可欠な存在となっています。

大規模言語モデルとは?

大規模言語モデルの定義:大規模言語モデルは、自然言語処理(NLP)テクノロジーを利用して人間の言語を理解・生成するように設計されたAIの一種です。

言語は人間の主要なコミュニケーション手段として、数千年にわたって進化してきました。LLMはこの進化を模倣し、入力データを伝達・処理・解釈して、意味のある応答を生成することができるように設計されています。文脈に応じたトレーニングと継続的な学習を通じてテキストを効果的に理解・生成することができるようになるため、LLMはさまざまな用途で強力なツールとなっています。

このモデルはディープラーニング技術と膨大なデータセットを活用して自然言語を処理・生成することが可能で、多くのAIアプリケーションで不可欠な存在になっています。

大規模言語モデルは、多くの場合、他のAIテクノロジーと連携して動作します。たとえば、ディープラーニングによって膨大な量のテキストデータを分析し、まとまりがあり、かつ文脈に即したテキストを生成できます。新しいコンテンツの作成に特化した生成AIは、テキストベースのコンテンツ生成用に特別に設計されているため、LLMと密接に関連しています。

大規模言語モデルは、どのような仕組みで動作するのでしょうか?

大規模言語モデルは通常、複数の層の​​ニューラルネットワークで構成されており、各層が学習プロセスを通じて微調整されます。学習中、LLMは既出の単語に基づいて、文中の次の単語を予測することを学びます。予測に際しては、与えられた文脈を考慮し、次に出てくる可能性のある各単語に確率スコアを割り当てます。

モデルが学習を重ねるにつれて、予測精度が向上していきます。学習中にモデルが処理する文脈や単語が多ければ多いほど、出力はより正確になります。このプロセスによってLLMは知識を蓄積することができ、その結果、より正確かつ人間に近い出力が得られます。

大規模言語モデルのパフォーマンスを評価するうえで重要な指標は、正解率と精度の2つです。

  • 正解率は、モデルの予測がどれほどの頻度で正しいかを表します。LLMの文脈で正解率とは、たとえば、与えられた入力に基づいてモデルが正しい単語、フレーズ、感情表現などを生成する頻度を表します。正解率が高ければ、そのモデルは正しい出力を頻繁に生成できるということになります。これは、信頼性の高い予測が求められるタスクではきわめて重要です。しかし、正解率を高くしようとすると精度が犠牲になることもあります。というのは、全体としては正しい出力が増えるものの、個々の予測に関する的確性は低くなるからです。
  • 精度は、正しい予測の質を表します。LLMにおける精度は、そのモデルの陽性判定(モデルが基準に該当すると判定した予測)が、どれほどの頻度で正しいかなどを表します。たとえば、モデルが特定のテキストを肯定的な感情表現だと判定した場合、精度は、その判定が正確である頻度を表します。精度が高ければ、そのモデルの陽性判定が通常正しいことを示しており、出力の信頼性が高まります。しかし、精度に重点を置きすぎると、モデルが過度に慎重になり、陽性と判定すべきものを見逃す可能性があるため、全体の正解率が低下することがあります。

モデルのパフォーマンスは時間の経過とともに向上し、最終的にはヘイトスピーチや望ましくない偏見、事実誤認を含む回答を排除できるようになります。物議を醸すような意見がモデルによって生成されるのを避けたいと考える組織は特に、AIテクノロジーの持つこの能力を活用する傾向にあります。この微調整は、開発者やデータサイエンティストがモデルのトレーニング環境で行います。これは一般に「プロンプトチューニング」と呼ばれています。

大規模言語モデルには、どのような歴史があるのでしょうか?

大規模言語モデルの開発にきわめて重要な役割を果たしているのがニューラルネットワークであり、数多くの実験と広範な研究を通じて、人間の言語をより深く理解するというコンピューターの能力が向上してきました。

  • 1950年代、LLMの誕生:IBMとジョージタウン大学の研究者たちが、自然言語処理の最初の形式を作成し、ロシア語を英語に翻訳するシステムを開発しました。
  • 1960年代、画期的な進展:1960年代に世界初のチャットボットELIZAが、MITの研究者たちによって開発されました。能力は限定的だったものの、ELIZAの登場は、現在の大規模言語モデルの幕開けとなりました。
  • 1970年代、SHRDLU:MITで開発されたSHRDLUは、自然言語を理解・処理するように設計されたソフトウェアプログラムです。SHRDLUはユーザーとの会話が可能でした。
  • 1990年代、統計的アプローチの開発:1990年代には統計的アプローチが導入され、大規模言語モデルの有効性が大幅に向上しました。特に大きな影響を与えたのは、シーケンス内の先行する単語に基づいて単語の出現確率を推定するN-gramモデルでした。
  • 2020年代、OpenAIとBERT:2018年にOpenAIが初の大規模言語モデルを発表しました。これと並行して、Googleがトランスフォーマーによる双方向エンコーダー表現(BERT)を発表し、事前学習済みモデルの能力を示すことで、大規模言語モデルの新時代を切り拓きました。

大規模言語モデルには、主にどのようなタイプがあるでしょうか?

大規模言語モデルには、トランスフォーマー型、マルチモーダル型、特化型の3つの主要なタイプがあります。

  • トランスフォーマー型モデルは、トランスフォーマーアーキテクチャーを採用しており、これによって大規模なテキストデータを効率的に処理することができます。以下がその例です。
    • GPT(生成型事前学習トランスフォーマー):GPT-3やGPT-4といったモデルはOpenAIによって開発され、人間が書いたようなテキストを生成し、広範囲の言語処理タスクを実行できるように設計されています。
    • BERT(トランスフォーマーによる双方向エンコーダー表現):Googleが開発したBERTは、文中の単語を文脈に沿って理解するように最適化されており、質疑応答や感情分析といったタスクに有効です。
    • T5(テキスト間転送トランスフォーマー):T5もGoogleによって開発され、あらゆるNLP問題を「テキストからテキストへの変換」問題として扱うため、高い汎用性を備えています。
    • XLNet:BERTの拡張版であるXLNetは、順列ベースの学習アプローチを採用することで、BERTの限界を克服しています。
  • マルチモーダル型モデルは、さまざまなタイプのデータ(テキスト、音声、画像、動画)を統合し、文脈やユーザーとのやり取りをより包括的に理解できるようにします。以下がその例です。
    • CLIP(対照的言語・画像事前学習):OpenAIが開発したCLIPは、画像とテキストを同時に理解することができ、画像へのキャプション付けや視覚的な質問への回答といったタスクに役立ちます。
    • DALL-E:DALL-EもOpenAIが開発しており、テキストによる説明から画像を生成することから、マルチモーダルAIの可能性がうかがえます。
  • 特化型モデルは、特定のタスクや分野向けに設計されており、多くの場合、汎用モデルよりもさらに微調整されています。以下がその例です。
    • BioBERT:これはBERTのバリエーションであり、生物医学(バイオメディカル)の分野におけるテキストマイニング用に微調整されています。
    • LegalBERT:これもBERTのバリエーションであり、法務関連の文書やタスク向けに最適化されています。

上記のモデルは、自然言語の処理と理解が大きく進歩した証であり、チャットボットやバーチャルアシスタントから、コンテンツ生成や言語翻訳に至るまで、幅広い用途で利用可能です。

大規模言語モデルは、どのように活用されているでしょうか?

大規模言語モデルは、AIのきわめて重要な要素であり、さまざまな形で日常的に活用されています。その一例として、音声データの分析が挙げられます。ビデオ通話に統合されたAIツールによって、会議中に録音した音声をメモに変換し、会議の内容を簡潔な項目にまとめ、参加者が後で参照できるようにします。

同様に、LLMにより、テキストや音声を他言語に翻訳することもできます。ユーザーがアクセスしたウェブサイトのテキストが外国語で書かれているときはたいてい、希望する言語を選択してテキスト表示できます。このとき、LLMが搭載されたツールならテキストをほぼ瞬時に翻訳することができ、翻訳の過程で情報が失われることもありません。

サイバーセキュリティもまた、大規模言語モデルによるメリットが大きい分野です。企業は、LLMを活用して膨大な量のサイバーセキュリティデータを分析することで、潜在的な脅威を特定し、未然に防ぐことができます。

よくある質問

大規模言語モデルに関するよくある質問

他のAI分野と同様、LLMにも限界があります。たとえば、文脈なしでは理解しにくい、特定の結論に至った経緯を説明できない、などが挙げられます。

現在、LLMツールはブログ記事の作成など、コンテンツ制作に広く活用されています。ただし、LLMが進化するにつれて、その用途はさらに広がっていくと思われます。