S = 自動車インダストリーのためのより安全なメモリ — マイクロンSAFERメモリ
現代の車両では、運転手と乗客の安全性を高める制御システムを実現するため、半導体への依存度がますます高まっています。こうしたメリットが原動力となり、車載用半導体を使用するというトレンドはさらに拡大しています。これは、特に高度に複雑な半導体と、それに関連する高性能メモリとおよびストレージの車載利用で顕著です。総じて、このトレンドにより運転手と乗客の安全性は上がります。また、自動車業界が完全自動運転車の実現に向けて加速するなかで、半導体産業内でも最も高い成長率を誇る分野として、半導体消費量の増加を牽引すると予測されています。
ADASとIVEに安全性をもたらす
先進運転支援システム(ADAS)と車載エンターテインメント(IVE)の境界線が曖昧になりつつあります。というのも、これら2つの領域は互いに密接に関連しているため、システムレベルの安全性(自動車安全度水準、ASIL)がIVEでも必要となっているのです。
例として、次世代のヒューマンマシンインターフェース(HMI)であるジェスチャー認識を実現するために不可欠なドライバー監視システム(DMS)を挙げます。図1では、DMSなどの機能で必要とされる機能性に合わせて、ADASレベルが上昇していく割合を示しています。DMSで認識される単純なジェスチャーは、ステレオの音量調整やサンルーフの開閉など、IVEや車体制御機能の操作にも使用することができます。
DMSは、運転手と乗客の物理的な位置も記録できるため、エアバッグが必要となった際に、記録した情報を使用して乗員を守るために適切な展開力を各エアバッグに対して適切に決定できます。各システムメーカーが提供するこうした機能は、ますます密接に関連し合うようになってきました。運転手の意識状態のモニタリング、ジェスチャーの認識、エアバッグの適切な展開力を計算するための情報提供といった機能には、最高度の完全性を備えた機能安全性の必要性が高まっていることが反映されています(図2)。業界の一般的な情報源によると、エアバッグには業界で最も厳格な安全要件であるASIL Dに対応する必要があります。
自律機能と安全コンセプトのレベル
FuSaにより可能となる自律型車両
システム統合に不可欠な機能安全性
要するに、DMSとIVEの統合は、多くの例の一つに過ぎません。この例からは、機能安全システムが車両全体に浸透し、従来はASILサポートを必要としなかったジェスチャー認識などのアプリケーションにおいても、機能安全性が急速に不可欠になりつつあることが明確に示されています。こうしたアプリケーションにASILが必要とされているだけでなく、最高水準のISO 26262の考慮事項やメモリ製造をどのようにサポートしているか見れば、洞察を得ることができるでしょう。
ISO 26262で認められている手法のうち、ASILの要件を達成するために使用できるものには、デコンポジションやハードウェア評価など複数のアプローチがありますが、ISO 26262 ASIL-D認証を受けたDRAMを採用すれば、これら代替アプローチと比較して多くの明確な利点と価値を得ることができます。こうした利点には、市場投入までの時間短縮や安全性の向上などが含まれます。一方でデコンポジションに基づくアプローチでは、余剰の使用によりコストや消費電力が増加する可能性があります。
DRAMに対してISO 26262規格を評価する際、DRAMは業界で当初指定されたクラスIIハードウェアエレメントではなく、クラスIIIのハードウェアエレメントであることを示す事例が複数あります。そのため、ASILの要件を達成するアプローチは、初回の反復設計後のハードウェア評価に基づかない可能性があります。この状況で、設計者には今後2つの選択肢があります。将来の設計のためにISO ASIL認証を受けたDRAMを確保するか、先に述べたようなコスト、電力、リスクの増加を伴う可能性があるデコンポジションに依存するかのどちらかです。
最も安全なDRAM
マイクロンは、2022年6月に業界最高の安全性認証を受けたLPDDRソリューションを発表しました。これは、業界初かつ唯一のISO 26262 ASIL D認証を受けたメモリです。ASIL D認証を受けたLPDDR5ファミリーは、最短の市場投入までの期間、より低いリスク、潜在的に最低の電力とコストを実現しつつ、現代と将来の最も要求の厳しい自動車設計における課題と需要に対応するために開発されました。
業界最高の安全認証ソリューションの詳細については、マイクロンのホワイトペーパー「安全性を最重視する車載システムにおけるDRAM」をご覧ください。本文書では、メモリとシステムに適用する機能安全性について説明し、なぜマイクロンのメモリがSAFER(より安全)な選択肢であるかを解説しています。
その他のリソース
- 自動車産業のメガトレンドとメモリ・ストレージへの影響(ホワイトペーパー)
- 自動車用メモリ:品質 vs. 機能安全、その重要性(ブログ)
- データ集約型の車載アプリケーションには、高度なメモリとストレージが必要(動画)
- マイクロンの自動車産業用の製品ラインナップは、中国のLi Auto L9(理想車L9)、そしてDesay(徳賽西威)SV IPU04で主要装置として採用されました。
- ホワイトペーパー、動画、自動車製品ポートフォリオなどについては、マイクロンの自動車ページと自動車の機能安全 | Micron Technology, Inc.ページをご覧ください。
マイクロン自動車用メモリのSAFERブログシリーズ
このシリーズでは、画期的な車載用メモリソリューションおよびサポートを検討する際のインサイトや指針をお届けします。「SAFER」は5つの重要なコンセプトの頭文字を組み合わせたものです。「S」は業界で現在最も安全な(Safest)ソリューション、「A」は自動車(Automotive)に関する考え方、「F」は故障(Fault)検出、「E」はエンジニアリング(Engineering)リーダーシップ、「R」はリスク(Risk)管理を表しています。SAFERの各頭文字に対応する内容のブログをご用意しています。