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AIワークロードの実行先がクライアントやエッジプラットフォームへと広がるなか、電力効率は、システムパフォーマンス、バッテリー駆動時間、ユーザーエクスペリエンスを左右する大きな制約となってきています。バックグラウンド推論、コンテンツ作成、オンデバイスアシスタントなど、多くのAIユースケースでは、必要なときに高いパフォーマンスを発揮しながら、アイドル時も動作時も消費電力を最小限に抑えられるストレージが求められています。
Micron 3610は、世界初のPCIe® Gen5 G9 QLCクライアントSSDとして、システムレベルの電力最適化によってこの課題に応えます。PCIe Gen4 TLCクライアントSSDと比べて、アクティブアイドル時の消費電力を最大74%削減し、ワットあたりのパフォーマンスを最大43%向上しています1。こうした進化により、AIを活用するクライアントアプリケーションにおいて、バッテリー駆動時間の延長と安定したパフォーマンスの両立を実現します。
電力がエッジAIの新たな制約となる理由
リアルタイムデータ処理への需要の高まりとエッジコンピューティング技術の急速な進歩を背景に、世界のエッジAI市場は2034年までに1000億米ドルを超える規模へと大きく成長すると予測されています2,3。速度向上とセキュリティ強化のために、スマートフォンやコンピューターなどのエッジデバイス上でローカルに実行されるAIタスクが増えるなか、ユーザーエクスペリエンスを左右する主な制約は、純粋なパフォーマンスではなく電力消費になりつつあります。この変化により、システムデザイナーは、バッテリー駆動時間を犠牲にすることなくデバイスの機能向上を実現できるよう、限られた電力予算をどう配分するかという課題に直面しています。
2025年8月、マイクロンはLPDDR5Xの電圧スケーリングに関するブログ記事を公開し、電圧スケーリングによって低消費電力DRAMであるLPDDR5Xが、スマートフォンで効率的なAI体験を実現する仕組みを紹介しました。技術革新が急速に進むなかでも、最先端のメモリおよびストレージソリューションを提供し続けるマイクロンの取り組みが揺らぐことはありません。
Micron 3610:AI時代に対応する電力効率に優れたクライアントSSD
マイクロンはCES 2026で、Micron G9 QLC NANDを採用した世界初のPCIe Gen5クライアントSSD、3610を発表しました。Micron 3610は、トップクラスのパフォーマンスに加え、アクティブアイドル時の消費電力を大幅に抑え、ワットあたりのパフォーマンスも高めることで、高いパフォーマンスを維持しながらエネルギー消費を最小限に抑えるという、エッジAIプラットフォームの重要な課題に応えます。
アクティブアイドル時の消費電力を低減
NVMe™クライアントSSDにおけるアクティブアイドル電力モードは、データ転送中のアクティブ状態とスリープ状態の中間に当たる動作状態です。アクティブアイドル時の消費電力を低減することで、アクティブ状態からスリープ状態へ移行する際の電力消費が抑えられ、その結果、バッテリー駆動時間の延長につながります。マイクロンのラボテストでは、3610 SSDのアクティブアイドル電力モード時の消費電力はわずか43mWでした。これに対し、Gen4 TLCは166mW、Gen4 QLCは57mW、Gen5 TLCは95mWでした1。このデータは、3610 SSDのアクティブアイドル時の消費電力が、Gen4 TLCデバイスと比べて74%低いことを示しています。この改善は、コントローラ、ファームウェア、G9 QLC NANDにまたがるシステムレベルのアーキテクチャー最適化によって実現されています。
一般的なクライアントの使用パターンでは、SSDの平均消費電力はアクティブアイドル時の消費電力のおよそ40倍であるという前提のもと、以下のバッテリー駆動時間の計算式を使用して算出すると、記載のパラメータ条件下では、SSDのアクティブアイドル時の消費電力を低減することで、3610モデルのバッテリー駆動時間はGen4 TLCと比べて最大3倍に向上する可能性があることが分かります4。具体的には、3610 SSDのバッテリー駆動時間は最大17.2時間と推定される一方、評価対象のGen4 TLCは4.5時間にとどまると予測されます。実際のシステムレベルでの効果は、個々のプラットフォーム構成や使用パターンによって異なる点にご留意ください。
バッテリー駆動時間(時間)=(バッテリー容量(mAh)×バッテリー効率(%)×バッテリー電圧(V))/SSDの平均消費電力(ワット)
ワットあたりのアクティブ読み取りパフォーマンスの向上
ワットあたりのパフォーマンスは、エネルギー効率、発熱量、全体的な運用コストに直接影響することから、最新のコンピューティングソリューションを評価するうえで重要な指標として注目されています。クライアントSSDでは、パフォーマンスは通常GB/秒、消費電力はワットで測定されます。したがって、この指標は次のように表せます。
ワットあたりのパフォーマンス(GB/秒/ワット)= パフォーマンス(GB/秒)/消費電力(W)
ワットあたりのパフォーマンスは、クライアントSSDにとって極めて重要な指標です。この値が高いほど、少ない電力でデータを高速に処理できることを意味します。その結果、バッテリー駆動時間の延長、発熱の低減、デバイスの信頼性向上につながります。
マイクロンのラボでCrystalDiskMarkベンチマーク5を実施し、3610 SSDと他のSSD製品について、パフォーマンスとそれに対応する消費電力を比較しました。たとえば、3610 2TBデバイスのシーケンシャル読み取り速度は11.08GB/秒、平均消費電力は5.56Wと測定されました。その結果、ワットあたりのパフォーマンスは1.99GB/秒/ワットとなっています(上図参照)。この結果は、3610 SSDが評価対象のSSDの中で、ワットあたりのシーケンシャル読み取りパフォーマンスに最も優れていることを示しています。特に注目すべき点として、3610はGen4 TLC SSDと比べて、ワットあたりのシーケンシャル読み取りパフォーマンスが最大43%高いことがデータから分かります。SSDのシーケンシャル読み取りは、大容量ファイルの処理や継続的なデータ処理を伴うタスクで特に重要です。そのため、3610 SSDでこの指標を最適化することは、データアクセスと転送の効率向上に直結し、オンデバイスAIエージェント、画像/動画の作成・編集、ゲームなど、広帯域幅を必要とするエッジAIのユースケースにメリットをもたらす可能性があります。
今後に向けて
マイクロンが3610で実現した電力効率の向上は、継続的なイノベーションへの取り組みの始まりにすぎません。マイクロンのG9 NANDおよび1γ(1-ガンマ)DRAMテクノロジーが成熟し、その成果が次世代のNANDアーキテクチャーやメモリ設計に反映されることで、エッジAIワークロードの複雑化や、クライアントデバイスのさらなる薄型・軽量化、そして厳しさを増す熱的制約に対応するうえで不可欠となる新たなレベルのエネルギー効率を実現する設計が可能になると期待しています。さらに、システムレベルの最適化に関するマイクロンの深い専門知識は、プラットフォームプロバイダーやOEMにとって信頼できるパートナーとしての地位を確かなものにし、急速に進化するAI対応クライアントおよびエッジデバイス市場において、マイクロンの競争力維持を支えています。
詳細については、Micron 3610 SSDのウェブページをご覧ください。
参考資料
- 電力に関する記述は、製品発表時点でマイクロンのラボにおいて、2TB PCIe Gen5 Micron 3610 SSDを、2TB PCIe Gen4 Micron 3500 SSD、2TB PCIe Gen4 Micron 2600 QLC SSD、2TB PCIe Micron 4600 TLC SSDと比較して実施したテスト結果に基づいています。
- Fortune Business Insights、エッジAI市場の規模、シェア、成長率およびグローバルレポート[2034年]。
- Market.us、エッジAI市場の規模、シェア、トレンド | 年平均成長率(CAGR)23.8%。
- 前提:バッテリー容量は10,000mAh、バッテリー効率は80%、バッテリー電圧は3.7Vです。
- CrystalDiskMarkは、標準化されたシーケンシャル/ランダムワークロードにおけるクライアントSSDのパフォーマンスを評価するために、業界で広く採用されているベンチマークツールです。その高い再現性と一貫したワークロード定義により、クライアントプラットフォームにおいて、世代の異なるSSDやNANDテクノロジー間でワットあたりのパフォーマンスを比較するのに適しています。