マイクロンのテクノロジー用語集

AI accelerators(AIアクセラレータ)

カラフルな波状のシート

人工知能(AI)により、スマートフォンから自動運転車、さらにはエンタープライズAIを支える大規模データセンターに至るまで、私たちがテクノロジーと関わるあり方が一変しつつあります。

そうしたインテリジェントシステムを動かすうえで、AIアクセラレータはモデルのトレーニングや推論の高速化においてきわめて重要な役割を担い、さまざまなデバイスや業界でより高速かつ効率的なAIパフォーマンスを実現しています。

AIアクセラレータの定義、仕組み、活用分野の詳細を詳しく見ていきましょう。より詳細については、マイクロンのセールスサポートチームまでお問い合わせください。

AIアクセラレータとは何か?

AIアクセラレータの定義:AIアクセラレータとは、演算性能と消費電力を最適化することで、AIワークロードの速度と効率を高める専用のハードウェアコンポーネントです。

AIワークロードが汎用プロセッサーで効率的に処理できる範囲を超え、パフォーマンスのボトルネックが計算処理からデータ転送、メモリ帯域幅、レイテンシーへと移行する過程で、AIアクセラレータが登場しました。AIテクノロジーがますます普及する中、スマートフォンやノートパソコンから産業用システムやデータセンターに至るまで、幅広いデバイスでAIが利用可能になっています。

AIの普及が進むにつれ、AIアプリケーションへの要求も高まり、リアルタイムのインサイトやインテリジェントな機能を提供するためにより高速かつ効率的な処理が求められています。

このような変化からうかがえるのは、現代のAIパフォーマンスがもはや計算能力だけでは向上しなくなったということです。AIパフォーマンスの向上は、いかに効率的にデータを移動し、データにアクセスし、データをプロセッサーに供給できるにかかっています。モデルの規模や複雑さが増す中、アクセラレータはデータの到着を待つ間に停滞する可能性があり、結果として、帯域幅、レイテンシー、局所性がシステム全体のパフォーマンスにおける重要な要因となりました。

スマートフォンなどのコンシューマー向けデバイスにおいて、AIアクセラレータは低レイテンシーと高いエネルギー効率を維持することで、音声認識、画像処理、予測分析といった高度な機能を実現しています。

AIアクセラレータを利用する主な利点として、電力消費を最適化できることが挙げられます。データ処理の効率化と計算負荷の軽減により、エネルギー消費を最小限に抑えることができます。これは、電力制約が重要な課題となるモバイル環境やエッジ環境において、きわめて重要なメリットとなります。

AIによる高速化は、スケーラビリティの向上にも寄与します。モデルが複雑化してデータ量が増加する中、アクセラレータを活用すれば、システムはパフォーマンスを損なうことなく、より大きなワークロードを処理できるようになります。このスケーラビリティは、エッジデバイスからエンタープライズデータセンターまで、速度、効率性、適応性が不可欠なあらゆる環境におけるAIの展開にとってきわめて重要です。

AIアクセラレータの仕組みとは?

AIアクセラレータは、大規模並列演算の実行および演算ユニットとメモリ間のデータ移動の最適化という、AIモデルのトレーニングと推論の高速化にとって非常に重要な2つの要素を用いて演算性能を向上させます。

実際には、アクセラレータの性能は並列演算の能力だけでなく、メモリからデータをどれだけ効率的に供給できるかにも左右されます。なぜなら、データパスが停滞すると、演算リソースが十分に活用されなくなるからです。

AIアクセラレータは高度に最適化された回路を用いて膨大な数の演算を並列処理するように設計された専用半導体デバイスであり、その高い性能とエネルギー効率により、データ集約型のワークロードをリアルタイムに処理します。

AIアクセラレータは、メーカーや用途によってさまざまな形態があり、たとえば、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、ニューラルプロセッシングユニット(NPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)があります。アーキテクチャー上の違いはあるものの、こうしたAIアクセラレータには共通の目的があります。それは、システム内のデータ転送に伴う無駄な負荷を最小限に抑えつつ、高い処理能力を実現することです。

AIアクセラレータは、演算スループットの向上とレイテンシーの低減を通して、システムがより少ないエネルギー消費でより迅速に出力を生成できるようにします。エッジデバイスと大規模データセンターの両方にわたりAIを展開するにあたって、この速度と効率性のバランスは不可欠であり、システム全体のパフォーマンスを左右する要となるのは、電力消費、熱的制約、データ移動です。

AIアクセラレータには、どのような歴史があるのでしょうか?

AIアクセラレータは、AIおよび演算テクノロジーが広範に発展すると同時に、並行して進化してきました。21世紀に入り、AIは広く注目を集めるようになりましたが、その基礎となるテクノロジーと専用ハードウェアの開発は、数十年前にさかのぼります。

  • 1970年代、初期のコプロセッサー:最初のコンピューター用アクセラレータは、中央処理装置(CPU)から特定の処理をオフロードするように設計されたコプロセッサーとして登場しました。こうした初期のイノベーションが、高速化にひときわ特化したテクノロジーの基礎を築きました。
  • 1990年代、ニューラルアクセラレータ:AI研究、特にニューラルネットワークの研究が進展するにつれ、トレーニングや推論の効率を改善するためにハードウェアアクセラレータが導入されました。こうした初期のニューラルアクセラレータは、AIシステムの限界を押し広げる一助となりました。
  • 2010年代、AI専用アクセラレータ:ディープラーニングとリアルタイムAIアプリケーションの台頭により、専用アクセラレータの開発が飛躍的に進みました。FPGA、NPU、GPUなどのテクノロジーは、視覚データから複雑なニューラル計算に至るまで、特定のAIワークロードを処理するために不可欠なものとなりました。
  • 2020年代、AIのさらなる高速化:実装環境やパフォーマンス要件に応じて、AIの高速化はますます多様化しています。データセンターやAIトレーニング環境において、アクセラレータは大規模並列ワークロードに対応できるよう進化してきました。こうした環境では、パフォーマンスは大規模データの転送能力による制約を克服するため、広帯域幅メモリ(HBM)の採用が進んでいます。コンシューマー向けのモバイルおよびエッジデバイスにおいて、AIアクセラレータは低レイテンシーの推論と電力効率を最優先し、ピーク帯域幅ではなく、省電力・コスト効率に最適化されたメモリアーキテクチャーを採用しています。

AIアクセラレータの種類には主にどのようなものがありますか?

中央処理装置(CPU)

CPUは、あらゆるコンピューティングシステムの基盤となるプロセッサーであり、幅広い汎用タスクの管理を担っています。一部のCPUはAIワークロードに対応できるよう強化されていますが、現代のAIモデルが求める並列処理の要件に特化して最適化されているわけではありません。その結果、高度なAIアプリケーションの性能や効率の要件を満たすには至らない場合があります。

しかしながら、多くのAIシステムにおいて、CPUは依然としてワークロードの調整、データ移動の連携、アクセラレータの動作を支えるコントロールプレーンタスクの管理という重要な役割を果たしています。

グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)

GPUは、高スループットの並列処理を目的として設計されているため、視覚データやディープラーニングタスクの処理に最適です。AIのトレーニングや推論において広く利用されているGPUは、複数の演算を同時に実行する点で優れており、特にコンピュータービジョンや大規模モデルの開発において非常に有用です。

トレーニングや高スループットの推論処理は帯域幅を大量に消費する場合が多いため、データセンターやAIトレーニング環境におけるGPUのパフォーマンスは、メモリサブシステムが効率的かつ安定的にデータを供給できる能力と密接に関連しています。

ニューラルプロセッシングユニット(NPU)

NPUは、AIワークロード、特にニューラルネットワーク向けに設計されています。最小限の消費電力でリアルタイムのデータ処理を可能にするため、エッジデバイスやモバイルプラットフォームに最適です。NPUは、AIの大規模展開に不可欠な計算効率とエネルギー効率の両方を実現します。

エッジAIアクセラレータ

エッジAIアクセラレータは、スマートフォン、産業用センサー、モノのインターネット(IoT) システムなどのデバイスに組み込まれており、これらのAIワークロードはピーク時の演算スループットよりも低レイテンシーの推論と電力効率が優先されます。このアクセラレータによってデバイス内のAI処理が可能になり、レイテンシーの低減、応答性の改善、クラウドインフラ依存度の最小化が実現します。エッジAIアクセラレータは、インテリジェンスをデータソースの近くに配置することで、エネルギー効率と応答性がシステムレベルの重要な要件となるリソース制約のある環境においてリアルタイムの意思決定を支援します。

AIアクセラレータはどのように利用されているのでしょうか?

AIアクセラレータは幅広いアプリケーションで利用されており、それぞれに固有のパフォーマンス、レイテンシー、消費電力に関する要件があります。

  • エッジデバイス(スマートフォンおよびIoT):AIアクセラレータによって、計算リソースが限られたデバイス内で複雑なモデルを実行できるようになり、クラウドインフラに依存することなくリアルタイムの意思決定が可能になります。
  • 大規模言語モデル(LLM):LLMのトレーニングと実運用には、膨大な並列演算能力と高いメモリスループットが必要となるため、GPUやNPUなどのアクセラレータが不可欠です。
  • リアルタイムAIアプリケーション:チャットボットやバーチャルアシスタントが低レイテンシーで応答性の高いユーザーエクスペリエンスを提供できるかどうかは、アクセラレータの性能により決まります。
  • 自動運転および先進運転支援システム(ADAS)AIアクセラレータは、センサーや視覚データから得られる連続的なストリームを処理し、変化が激しく安全性がきわめて重要な環境において、瞬時の意思決定を可能にします。

これらのどのユースケースにおいても、アーキテクチャーのパターンは一貫しており、AIアクセラレータは、演算スループットの増大だけでなく、システム間でデータをより効率的に移動、準備、アクセスできるようにすることでパフォーマンスを改善しています。実際のAI環境において、演算処理への安定したデータ供給がボトルネックとなる場合が多いからです。

AIアーキテクチャーにおいて高度な並列処理が引き続き重視される中、メモリ帯域幅やデータの局所性に対する需要が高まると予想され、メモリ性能は短期的なスケーリング上の課題というよりも、継続的な制約要因となるでしょう。

よくある質問

AIアクセラレータに関するよくある質問

GPUは、並列処理、特にディープラーニングやその他の計算負荷の高いワークロード向けに最適化されたAIアクセラレータの一種です。GPUは汎用性の高さによって広く利用されている一方、「AIアクセラレータ」は特定の用途に特化した専用ハードウェアのカテゴリ全体を指す言葉です。このカテゴリには、NPU、FPGA、カスタムASICなどがあり、それぞれ特定のAIワークロードを最適化するように設計されています。

AIが進化を続ける中、AIアクセラレータは次世代のモデルやアプリケーションを実現するうえで、ますます重要な役割を果たすと見込まれます。エッジデバイスにおけるリアルタイム推論の実現から、データセンターでの膨大なトレーニングワークロードの処理に至るまで、AIを効率的にスケールさせるためにはアクセラレータが不可欠となるでしょう。

この未来を牽引するうえで鍵となるのはデータ中心のシステム設計への移行であり、そうした設計のもとでは、消費電力、レイテンシー、コストの制約が厳しい中でシステムがデータをいかに効率的に移動・アクセスさせるかがパフォーマンスを左右します。メモリ帯域幅、エネルギー効率、モデルに応じた最適化におけるイノベーションは、今後もAIハードウェアとインフラのあり方を方向付けていくでしょう。