マイクロンのテクノロジー用語集

Federated learning(連合学習)

放射状にぼやけた明るい光

ディープラーニングと人工知能(AI)は日常生活の一部になりつつあり、多くの組織がこうしたテクノロジーを活用してプロセスの改善、迅速化、強化を進めています。一方で、医療や金融をはじめとする多くの業界では、学習データの確保が難しい場合があります。

データプライバシーへの関心が高まる中、組織はAIモデルに学習させるにあたって、適切なデータを十分に集めることに苦労することもあります。連合学習はこの問題に対する解決策であり、データを共有することなく、複数のデバイス上でモデルに学習させるための一元的なプラットフォームを提供します。

連合学習とは?

連合学習の定義:連合学習(フェデレーテッドラーニング)は機械学習の一分野であり、生データを共有することなく、複数のデバイスのデータセットでモデルに学習させることができます。このアプローチは、データプライバシーを保護するだけでなく、データセキュリティを強化し、規制への準拠にも役立ちます。また、連合学習では、データセキュリティを維持しながら多様なデータソースを活用できるため、より正確で信頼性の高いモデルを構築できます。

データプライバシーとセキュリティに加え、連合学習は、複数のソースのデータを使用することで多様性の確保にもつながります。複数のデータセットが学習全体、モデル、最終的な出力に寄与するため、連合学習では、より幅広いデータとデータタイプに基づくモデルを構築でき、モデルの精度と適応性が高まります。

連合学習では、協調学習の手法を使用できます。複数の参加組織が生データを共有せずに、それぞれが持つ多様なデータで単一のモデルに学習させられるため、大規模な組織はグループによる協調的な取り組みからメリットを得られます。

連合学習はどのように機能しますか?

連合学習では、データを発生源で処理することで、機密情報をローカルデバイス上に保持します。生データを共有する代わりに、複数の当事者が共有の基盤モデルをダウンロードし、それぞれのプライベートデータでモデルに学習させたうえで、更新後のモデルを暗号化して共有します。

あるプライベートデータセットを使用したモデルの学習が完了すると、そのモデルを次の当事者がダウンロードしてさらに学習させることができます。すべての当事者がモデルの学習と暗号化を完了すると、そのモデルはさまざまなソースの新しいデータセットを分析できる状態になります。

連合学習には複数の手法があり、それぞれ使用されるデータの種類が異なります。たとえば、大量の類似したデータタイプをさまざまなソースから集めて学習するモデルもあれば、幅広いデータタイプで学習するモデルもあります。

連合学習の歴史とはどのようなものですか?

連合学習は、人工知能システムの進化と急速な普及を背景に、近年登場した機械学習の一分野です。

「連合学習」という用語は、2016年にGoogleが発表した論文で初めて使われました。この論文では、機械学習モデルの分散型学習についての概念が取り上げられています。プライバシー侵害の問題が深刻化する中、Googleは、生データを共有せずに安全にデータで学習させるための新しい手法を開発しました。

連合学習の種類には主にどのようなものがありますか?

連合学習にはいくつかの種類があり、主にモデルの学習方法や、学習に使用されるデータの種類によって異なります。

  • 水平連合学習は、類似した種類のデータを含む複数のデータセットでモデルに学習させる手法です。これらのデータセットは、比較的容易にまとめて処理できます。
  • 垂直連合学習は、互いに異なる一方で補完関係にある複数のデータセットでモデルに学習させ、統一された出力を生成する手法です。
  • 連合転移学習は、事前学習済みの基盤モデルを新しいデータセットに適用し、元のモデルの能力を転移させて新しい機能を実行できるようにする手法です。
  • 集中型連合学習は、すべてのクライアントからモデルの更新情報を収集・集約し、単一のサーバー上で学習プロセスを調整する手法です。このサーバーは、モデルの集約と配信で中心的な役割を担います。
  • 分散型連合学習には中央サーバーがありません。その代わりに、クライアント同士がピア・ツー・ピア方式でモデルの更新情報を直接共有します。このアプローチでは、単一障害点や単一の管理拠点が存在しないため、セキュリティとプライバシーの強化につながります。
  • 異種連合学習は、互換性のない形式の異なるデータタイプを処理しながら、モデルに一貫した形で学習させる手法です。モデルの学習を完了するには適応ステップが必要であり、参加するクライアントは、学習全体の一貫性を保つために、学習中にデータと学習率を調整します。

連合学習はどのように活用されていますか?

連合学習は、さまざまな機械学習アプリケーションに応用できるテクノロジーであり、手法でもあります。データセットを発生元で統合せずに活用できる実用的な方法です。

他の種類の機械学習と比較した場合、連合学習の主な利点は、セキュリティとデータプライバシーにあります。そのため、AIにおける連合学習の主な活用分野は、医療など、扱うデータの機密性が本質的に高く、厳格な保護が求められる業界です。

医療業界の企業は、患者のプライバシーを損なうことなく、患者に関する分散したデータセットを活用するにあたって連合学習を使用しています。例として、健康保険会社が個々の診療記録から顧客に関するデータを集約し、病院や診療所が個人データを安全に共有できるようにするという活用法が挙げられます。

同様に、金融業界の企業も連合学習を使用することで、より多くのデータを共同で活用し、不正防止の強化や金融の安全性向上につなげることができます。これは、機関間のデータ共有によって業界全体の安全性を高められることを示す一例です。

連合学習は、新しいテクノロジーの開発にも有用です。イノベーションの促進に向けて、研究者はデータを安全に共有し、互いのデータからメリットを得ることができます。その好例が、自動運転車の開発に向けた研究です。自動運転車をはじめとする自律走行車両は、リアルタイムで連携する機械学習テクノロジー、モデル、アルゴリズムに依存しており、関連する他のモデルも多岐にわたります。自動運転車とその基盤テクノロジーを開発するうえで、このテクノロジーの各要素を担う組織は、連合学習を通じて連携できます。これにより、自動運転車はいちだんと効果的にリアルタイムの刺激に対応できるようになります。

このテクノロジーをさらに実用的なものへと発展させるためのイノベーションは継続中で、各自動車ブランドはこの分野で取り組みを進め、それぞれ異なる試験データを保有しています。連合学習を使用してこうしたデータを共有することで、人工知能モデルは、自動運転車の開発をさらに前進させるインサイト、予測、分析を提供できます。

よくある質問

連合学習に関するよくある質問

連合学習は機械学習とは別のものではなく、一種の特殊な機械学習です。従来の機械学習の原理を基盤としながら、分散型で安全なデータ処理アプローチを取り入れることで、データ主権を損なうことなく、複数の関係者がデータを提供できるようにします。

連合学習には、データ主権の面で明確な利点がありますが、課題もあります。すべての参加者が合意できる連合学習プラットフォームを構築するのは、難しい場合があります。実用的なプラットフォームには、関係者全員にとって適切な水準を保ちつつ、データセキュリティ、プライバシー、コンプライアンスを確保することが求められます。
 

また、モデルの精度により、プライバシー面の懸念が生じる場合もあります。連合学習は、機密データを扱う業界におけるプライバシー問題への解決策ですが、データ所有者に対して、自身のプライバシーが確実に保護されることを十分に保証する必要があります。

連合学習はディープラーニングモデルに適用できます。複数の提供元から得られるデータをもとに、深層ニューラルネットワークに学習させることができます。