ストレージエリアネットワーク(SAN)は、複数のサーバーを集中管理型のストレージデバイスに接続する、高性能な専用ネットワークです。容量の制約やデータアクセス速度の遅さといったローカルストレージの限界を克服するため、エンタープライズ環境で広く利用されています。
SANはストレージを一元化することで、組織が大量の機密データをより安全かつ効率的に管理できるようにします。スケーラビリティを備えたアーキテクチャーにより、データ需要の増加に合わせてストレージを拡張することが可能です。この特長は、顧客情報、財務記録、暗号化されたデータセットなどを扱う業界において特に重要です。
ストレージエリアネットワークの活用法や、お客様のニーズに合わせたカスタマイズの方法を詳しく見ていきましょう。より詳細についてはマイクロンのセールスサポートチームにお問い合わせください。
ストレージエリアネットワークとは何か?
ストレージエリアネットワーク(SAN)の定義:ストレージエリアネットワークとはサーバーと共有ストレージデバイスを接続する専用の高速ネットワークで、ブロックレベルアクセスを利用し、あたかもデータがローカルに保存されているかのようにサーバーからデータにアクセスし、管理できるようにします。
SANと他のストレージシステムの違いを理解するには、ブロック単位とファイル単位のアクセスを比較すると分かりやすいでしょう。SANはブロック単位で動作するため、アプリケーションが必要に応じてフォーマットや整理を行えるよう未加工のデータチャンクとしてデータを管理します。このため、高性能かつ低レイテンシーのアクセスが可能になることから、データベース、仮想マシン、トランザクション処理システムに最適です。
一方、ネットワーク接続ストレージ(NAS)システムで採用されているファイル単位のアクセスでは、データがファイルやフォルダとして表示されるため、ユーザーにとって操作や共有が容易になりますが、負荷の高いワークロードに対しては効率が低下します。
ブロック単位のアクセスは、例えるなら、正確性を重視してページ番号で図書館の蔵書を整理するようなものだと考えてください。一方、ファイル単位のアクセスは、利便性を重視してタイトル順に本を棚に並べることに似ています。
ストレージエリアネットワーク(SAN)の主な目的は、ストレージデバイスを一元管理し、保守やアクセスを容易にすることです。このアーキテクチャーと実装には、以下のように重要なメリットがあります。
- ストレージリソースの一元管理:SANを利用することで、ITチームは単一のインターフェースからストレージを管理でき、運用を効率化し、管理負担を軽減できます。この集中管理により、データの使用状況、パフォーマンス、容量計画の可視性も向上します。これはエンタープライズワークロードを最適化し、運用リスクを低減するために不可欠です。
- リモートストレージによるデータ保護の強化:ストレージをローカルデバイスから切り離すことで、ストレージエリアネットワークはハードウェアの故障や局所的な障害によるデータ損失のリスクを低減します。リモートストレージでは、高度な暗号化、アクセス制御、冗長化戦略も可能であり、規制の厳しい業界におけるコンプライアンス標準の遵守に寄与します。
- 増大するデータ量を支えるスケーラビリティ:ストレージエリアネットワークのアーキテクチャーは水平スケールできるよう設計されており、データ需要の増加に伴い、組織はストレージ容量をシームレスに拡張することができます。これは、AI、医療、金融といった、データの増加が指数関数的に進み、パフォーマンス要件も厳しい分野において特に重要です。
- 信頼性の高いバックアップおよび災害復旧能力:ストレージエリアネットワークは、自動化されたバックアップ手順と複数のストレージノード間でのレプリケーションにより、停電やシステム障害時においてもデータの可用性を確保します。この耐障害性により事業継続が維持され、エンタープライズ環境における目標復旧時間(RTO)および目標復旧時点(RPO)を達成しやすくなります。
ストレージエリアネットワークの仕組みは?
ストレージエリアネットワーク(SAN)は専用の高速ネットワーク接続を用いてサーバーと共有ストレージデバイスを接続し、高速かつ信頼性の高いデータ交換を実現します。ストレージトラフィックを一般的なネットワークトラフィックから分離することで、ネットワークの輻輳を軽減し、システム全体のパフォーマンスを向上させます。
ストレージエリアネットワークは、主に3つのデータ経路を支援しています。
- サーバーとストレージ間の通信:複数のサーバーが共有ストレージに同時にアクセスできるようにし、効率を向上させます。
- サーバー間の通信:サーバー間の低レイテンシーかつ大容量の通信を実現します。
- ストレージ間の通信:ストレージデバイス間でデータを直接転送できるため、サーバーリソースを他のタスクに割り当てることができます。
このアーキテクチャーはボトルネックを最小限に抑え、高速かつ途切れのないデータアクセスを保証します。
ストレージエリアネットワークには、どのような歴史があるのでしょうか?
ストレージエリアネットワークは、スケーラビリティと安全性に優れたデータストレージの需要の増加に伴い進化してきました。
- 1970年代、ストレージソリューションの誕生:直接接続型ストレージ(DAS)の時代は、サーバーに専用のローカルストレージが必要だったため、データのサイロ化を招きました。
- 1980年代、ネットワーク接続型ストレージ(NAS)の登場:ITインフラが成熟するにつれ、NASによってローカルネットワーク上でファイルを共有できるようになりました。
- 1990年代、ストレージエリアネットワーク(SAN)の登場:ストレージエリアネットワークによって、複数のサーバーが共有ストレージにローカルに接続されているかのようにアクセスできるようになり、DASの多くの制限が解消されました。
- 2000年代、ストレージエリアネットワークの普及:データ需要の急激な増加で、ストレージエリアネットワークは企業のITインフラの中核をなすものとなりました。
- 2010年代、クラウドストレージの普及とともに進化:ストレージエリアネットワークは、クラウド環境に対応するよう改良され、スケーラビリティと柔軟性が向上しました。この進化により、SANは最新のデータアーキテクチャーと統合できるようになり、オンプレミスとクラウドの両プラットフォームにわたる膨大な量のデータの効率的な管理が可能になりました。
ストレージエリアネットワークの種類には主にどのようなものがありますか?
SANは、パフォーマンス、コスト、インフラの互換性に影響を与えるさまざまなプロトコルを使用しています。特定のSAN内で使用されるプロトコルは、サーバーとストレージデバイス間のデータ転送方法を規定しています。
プロトコルは、速度、コスト、ネットワーク自体のインフラストラクチャなど、さまざまな要因によって異なる場合があります。
Internet small computer system interface(iSCSI)
iSCSIは、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を採用しているため物理ネットワークに最適で、既存のイーサネットインフラを使えるので低コストかつ容易に導入できます。
ファイバーチャネルプロトコル(FCP)
もともとスーパーコンピューティング分野で使用されていたFCPは、高いスループットと低いレイテンシーにより、現在ではストレージエリアネットワークの標準となっています。ミッションクリティカルなワークロードに対応しており、エンタープライズ環境で広く導入されています。
Non-Volatile Memory Express(NVMe™) over Fiber Channel
NVMe over Fiber Channel は、PCIe®バス上で超高速のデータ転送を実現し、NVMeの速度とファイバーチャネルの信頼性を兼ね備えています。これは人工知能、機械学習、リアルタイムアナリティクスのワークロードに最適です。
ストレージエリアネットワークはどのように利用されているのでしょうか?
ストレージエリアネットワークは汎用性が高く、ストレージの統合、コスト削減、データアクセスの改善を目的として、さまざまな業界で広く導入されています。組織は、財務記録から暗号化されたデータセットに至るまで、膨大な量のデータを安全かつ効率的に保存するために、ストレージエリアネットワークを活用しています。
SANは、分析やバックアップのために膨大な量の構造化データや非構造化データが保存されているデータレイクの基盤として利用されることがよくあります。その高速性と信頼性により、高性能コンピューティング、仮想化、エンタープライズ向けアプリケーションに最適です。
SANはデータ保護においても重要な役割を担い、組織が機密データをセカンダリストレージデバイスにレプリケートし、バックアップや災害復旧に活用できるようにします。
SANの主な目的は、データストレージを一元化してローカルデバイスの容量を解放し、機密情報をリモートで保存してデータ保護を強化することです。SANはブロックストレージへの高速・低レイテンシーアクセスも可能にするため、データベース、仮想化、大規模なエンタープライズアプリケーションといったミッションクリティカルなワークロードにおいて不可欠な存在となっています。
ストレージエリアネットワークはブロックストレージを提供し、サーバーがローカルディスク上のデータにアクセスするのと同じように生データにアクセスできるので、データベースや仮想化といった高性能アプリケーションに最適です。一方、ネットワーク接続型ストレージはファイルストレージを提供し、ネットワーク経由でファイルやフォルダとしてデータにアクセスできるため、ファイル共有やバックアップに最適です。
ブロック単位のアクセスは、例えるなら、正確性を重視してページ番号で図書館の蔵書を整理するようなものだと考えてください。一方、ファイル単位のアクセスは、利便性を重視してタイトル順に本を棚に並べることに似ています。SANはNASより複雑ですが、高いパフォーマンスとスケーラビリティを提供し、一方、NASは実装や管理が容易です。